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保険を学ぶQ&A
このコーナーでは、保険の選び方やお金にまつわる情報をお届けします。
さらに、「お金に関するネタ」や「季節のネタ」、「ちょっぴり気になる女子の疑問や悩み」について、全国の男女にアンケート調査を行った結果や解説もご紹介。あなたの「知りたい!」に答えます。このコーナーを読めば、お金や保険、ライフプランについて詳しくなれるはず。
今の会社には昨年10月25日に入社。前職も1年未満の就業で2ヶ月間ほど任意継続期間あります。お金に不安があるので、給付金などはもれなく受け取りたいと思っています。
退職時期はいつがいいか、その後、会社員の夫の扶養に入る方がいいか、国保がいいか、ご教示頂きたいと思います。
健康保険からは「出産育児一時金」と「出産手当金」が支給されます。
出産にともない、支給される給付金、手当金には、いくつかの種類があります。1つずつ、もらえる要件を確認しながら、退職時期を考えてみましょう。
まず、出産をすると、「出産育児一時金」として、原則42万円が支給されます。健康保険の被保険者であること、つまり退職していないことが前提となっていますが、退職後6カ月以内の出産であれば、被保険者期間が継続して1年以上ある場合は対象になります。
上記に該当せず、夫の扶養に入った場合は、夫に「家族出産育児一時金」が支給されます。金額は同じですので、これについては退職時期を気にする必要はありません。ただし、ご自分が加入されているのが健康保険組合の場合は、上乗せ支給があるかもしれません。健康保険組合の場合47万円や55万円など、基準額に上乗せしている組合が多いからです。すでに、退職後6か月以内の条件は満たしているはずですので、支給額の多いほうを選択するのがよいでしょう。
産前休業・産後休業を取得し、その間に会社から賃金の支給がない場合に支給されるのが、「出産手当金」です。原則として産前42日、産後56日が対象で、1日当たりの支給額は支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額を30日で割った金額の2/3です。つまり、それまでの給与の2/3程度と考えてよいでしょう。被保険者期間が継続して1年以上ある場合は、産休に入ってからの退職でも受け取れます。
ただし、「被保険者期間が継続して1年以上」という計算に任意継続被保険者の期間は含まれません。よって、ご質問者様は産休が開始する前に退職をしてしまうと、出産手当金を受け取れなくなってしまいます。子育てに専念されるつもりはあるけれど、出産手当金を受け取りたいのであれば、産後休業終了後を退職日にしてもらえないか、勤務先と相談されてはいかがでしょうか。
雇用保険からは「育児休業給付金」が支給されます。
産後休業の後、子供が1歳になるまで(保育所に入れないなどの事情がある場合は1歳6カ月まで)育児休業が取得できます。その間、休業前の賃金の8割以上が支払われない場合に「育児休業給付金」が支給されます。ただし、休業開始前の2年間に賃金支払い基礎日数が11日以上である月が12カ月以上であることが条件となります。給付金の金額は、180日までは休業開始時の賃金の67%、それ以降は50%です。
ご相談の文面だけでは、勤務日数の条件に該当するかが判断できませんので、2年間の就業状況を確認されてみてください。育児休業給付金を受給できるのであれば、育児休業が終了した時点で退職することもできます。ただ、この給付金は仕事を継続していくために設けられている制度です。復職するといって給付金だけを受け取り、実際には復職しないというのでは、職場ともめる可能性もあります。育休期間は10カ月ありますので、復職する可能性があるのなら、退職と決めてかからずに、仕事と育児の両立ができないか、じっくりと検討されてみてはいかがでしょうか。
また退職した後に求職活動をおこなえば、失業給付を受けられます。ただし、すでに5カ月になられている方が、妊娠中に失業給付を受け取るのは現実的ではありません。そのため、受給期間延長の手続きが必要になります。退職してから30日が経過した後の1か月以内に受給期間の延長手続きを行いましょう。延長手続きをおこなうと、通常は1年以内に受け取らなければならない失業給付の受給期間が最長で4年に延長されます。子育てが一段落して、求職活動を始められるようになったのち、失業給付を受け取れるわけです。
失業給付を受け取っているあいだは、夫の扶養に入れないケースもあります(健康保険組合などでは入れないケースが多い)。その場合は国民健康保険(国保)に加入する必要があることは知っておきましょう。
先述の通り、ご相談者の場合は失業給付を受け取るのは出産後になるはずですので、ご主人が健康保険であれば、その扶養に入って(被扶養者となる)、保険料負担は免除されます。ご主人が自営業者の場合は、ご自分も国民健康保険に加入します。国民健康保険の場合は、退職して収入がないとしても、「均等割」のように加入者全員が支払う分の保険料は負担することになります。
(出典:保険クリニック「現在妊娠5か月です。給付金などはもれなく受け取りたいのですが、退職時期はいつがよいでしょうか?/ファイナンシャルプランナー村井 英一」、FPが教える家計の学校、2017年4月掲載、https://www.hoken-clinic.com/teach_qa/detail182.html)