子どもの年齢に合った絵本の選び方とは?<絵本と子育て vol.3>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

絵本を毎晩読み聞かせをしている、もしくはしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
親子の絵本の読み聞かせの時間は、子どもの心を豊かにする手助けをするのはもちろん、親子の愛を育む時間のひとつとなり、そしてやがて大きくなったときに、思い出す愛おしい時間のひとつとなることでしょう。

そこで、本コラムでは、4回に分けて絵本の与え方についてお話しいたします。
第1回目は「絵本の読み聞かせ」について、
第2回目には、絵本には種類があり、子どもの成長過程に合った作りをしていることをお話ししました。

では、具体的にどんな絵本を子どもに与えたら効果的なのでしょうか。
第3回目となる今回は、お子さんの年齢に合った絵本の上手な選び方についてお伝えします。

コラム「絵本と子育て」シリーズ

 

目次

子どもの年齢別 絵本の選び方のポイント

0歳の頃

この時期のお子さんにとって、絵本は「読むもの」というよりも「耳で聞くもの」という位置づけになります。
まだストーリーの理解が追い付かないので、親子でコミュニケーションをとりながら遊べるような視覚や聴覚で楽しめる絵本が良いでしょう。

絵本を選ぶポイントとしては、赤ちゃんの視覚に刺激を与える白や黒、赤など色合いがはっきりとしているもの、わかりやすいシンプルなイラストで描かれている絵本がオススメです。

例)Sassyのあかちゃんえほん「にこにこ」や「もぐもぐ」、「がおー!」(KADOKAWA)
→左右対称のはっきりした顔、コントラストの強い規則的な模様など、子どもの発達心理学を研究しデザインされたトイブランドSassyのキャラクターとグラフィックで描かれた絵本です。

「がおー!」(KADOKAWA)

また、赤ちゃんは雨や風などの自然の音や面白い響き、言葉のリズムなどを楽しむ耳を持っています。
音の響きやリズムが楽しい絵本は赤ちゃんの世界を大きく広げてくれるのでオススメです。

例)「じゃあじゃあびりびり」(偕成社)
→擬音で構成された絵本。言葉の持つ響きとリズムがそのものの名前を結びつけてくれる1冊です。

「じゃあじゃあびりびり」(偕成社)

 

1歳・2歳の頃

1・2歳は、身の回りの世界を認識しはじめる頃です。
見たことのある食べ物・乗り物・動物など、自分が知っているもの、生活の中で使っているものが登場する絵本は、子どもに大きな喜びを与えてくれます。

また、繰り返しの表現を好みます。
繰り返される言葉とストーリーに展開されるユーモアが絡み合った面白さにクスッと笑ってしまうようです。

ですのでポイントとしては、身の回りのものが題材になっているもの、繰り返しの表現で構成されているものが良いと思います。

例)①「くだもの」(福音館書店)
→りんご、もも、ぶどうなど、日常子どもたちが食べる果物を、写実的に描いた絵本。
果物の美味しさを目で味わうことができ、「さあどうぞ」という一言が繰り返されているのも特徴です。

②「だるまさんが」「だるまさんの」「だるまさんと」(ブロンズ新社)
→「だ・る・ま・さ・ん・が」とリズムよく繰り返され、だるまさんが伸びたり、縮んだり、色々と変貌していくシリーズ本です。だるまさんの表情の豊かさと愛嬌が、子どもを虜にします。

3・4歳の頃

この頃になると、言葉の発達が加速し、またお話の内容がだいぶわかるようになってきます。
絵や言葉を楽しむ絵本だったものが、お話を楽しめる絵本に変わっていき、絵本の登場人物の気持ちになって絵本の世界に入り込みます。

絵本を選ぶポイントとしては、わかりやすい言葉で描かれている優しく楽しい物語絵本が良いでしょう。

例)「どうぞのいす」(ひさかたチャイルド)
→語り口が多く、リズミカルなテンポで読み聞かせることのできる絵本。
対象は4・5歳からとなっているものの難しい言葉もなく、「どうぞ」という優しい言葉のオンパレードで綴られる温かい物語。少し早めの年齢から読み聞かせるのも良いでしょう。

5・6歳の頃

更に成長するにつれ子どもの好みもはっきりしてきて、絵本選びがどんどん難しくなる頃でしょう。
子どもが選んだ物語絵本を読むことが主となってくるかと思います。

絵本を選ぶポイントとしては、登場人物の気持ちなどを表現している絵本が良いでしょう。

本来は目に見えない世界を自分の思いで描き、豊かに想像していくことができる年齢ですので、「ももたろう」や「ブレーメンのおんがくたい」などの昔話、また、色々な絵本体験を積み重ねてきた子どもには、挿絵が多い童話の読み聞かせもオススメです。

 

年齢別にオススメの絵本や選ぶポイントをあげてきましたが、あくまでも子どもが主体であることは忘れてはいけません。
ひとり一人成長も異なるので、何より「子どもの興味がある絵本」を優先して読み聞かせすることが、豊かな心を育むことにつながっていくことになるでしょう。

 

伊東恵美

伊東恵美

編集者。東京都生まれ。出版社に勤務し、児童書、絵本の企画編集を行う。
大学卒業後、音の出る絵本や知育玩具などを生産するメーカーにて商品企画に携わる。そこで得た知識を活かし、現在、しかけ絵本をはじめとした子どもの五感をダイレクトに刺激する絵本を企画している。仕事でのモットーは、「子どもが笑顔になれる、楽しいものを提供すること」。学びよりも先に子どもの心を動かす企画を考えることに日々努めている。

■「輝く人の生き方とは?」のコーナーでもご紹介。
https://media.hoken-clinic.com/interview/1710/

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