冬ボーナスの『貯蓄黄金比』を見つけよう!【暮らしとお金のヒント】

貯蓄黄金比 暮らしとお金のヒント

ボーナス前のこの時期は、もっとも家計やりくりに苦慮する季節です。読者の中には「取らぬ狸の皮算用」とばかりにボーナス払いで買い物を済ませた人もいるのではないでしょうか。一方で、ウィズコロナ時代の真っただ中、ボーナスを当てにした買い物は極力減らしたい、できるだけ貯蓄に回したいとお考えの人も少なくないと思います。

このコラムでは、冬のボーナス事情を振り返るとともに、どのようにしてボーナスの先取り貯蓄をすればよいかについて考えてみます。

 

オンライン保険相談

2020年の冬ボーナス事情

ウィズコロナの時代になって初めての冬。「今年のボーナス支給額は一体どれくらいになるだろう?」と不安が拭えない人も少なくないのでは。自分のことが気になるのは当然ですが、とは言え、やはり気になるのが“隣の芝生”です。世のみなさんのボーナス事情はどうなっているのでしょうか? 少し調べてみました。

お金の上に人形

2020年9月に公表された冬ボーナスの調査結果(※1)によると、全産業205社の平均で743,968円、対前年同期比で3.2%減少とのこと。減少幅が大きい業種を見ていくと、製造業では「機械(11.5%減)」「鉄鋼(8.5%減)」、非製造業では「サービス(5.1%減)」となります。

補足ですが、こちらの調査対象は東証第1部上場企業です。ボーナス支給水準の決定時期にも特徴があり、夏冬型の年間協定により決定された妥結水準とのこと。個人的な見解ですが、業種には「そうかもしれないな」と思う反面、コロナ禍の数字としては実態からやや離れた印象を受けます。みなさんはどう思われましたか?

もう一つの調査結果を見てみましょう。
こちらは11月に公表された集計結果で、日本労働組合総連合会(以下、連合)によるものです(※2)。年末一時金の2020年回答は、連合組合員一人あたり加重平均で、支給月数2.26月(2019実績=2.31月)、金額は642,609円(同688,520円)でした。かっこ内の昨年実績と比較すると、それぞれ月数で0.05減少、金額ベースで減少となっています。

詳細データを見ていくと、「製造業」のマイナスが目を引きます。
連合組合員一人あたり加重平均は昨年実績750,210円から大きく下がり、2020年回答675,773円となっています。具体的な計算方法はわかりませんが、「交通運輸」や「商業流通」といった他業種では2020年回答が昨年実績を上回っていることを勘案すると、相当な減少幅だと思われます。

集計結果によると、「製造業」に属する組合は481、人員は290,844人。これに対して回答が寄せられた組合数は658、人員計469,955人です。文句なしで最大規模の業種となります。その影響の深さがうかがわれます。

では、いよいよ我が家のボーナスの貯蓄配分に目を向けていくことにしましょう。

「貯蓄額」で決めるべき? それとも「貯蓄割合」のほうがいいの?

皆さんはもう、冬のボーナス支給額の見当はついていますでしょうか?
「少し減りそうだが、ほぼ予想通り」「職位が上がってから初めてのボーナスで楽しみ!」「半分もらえるだけ有難いと思わなきゃ」など、金額も感想もさまざまだと思います。でも、ボーナスの使いみちを考える前に、ぜひ貯蓄について考えていただきたいのです。

ボーナス

貯蓄の話をするとすぐ思い浮かぶ、先取り貯蓄。では、一体いくら貯めればよいのでしょう。
2万円? 5万円? 10万円? いや、1万円も無理……。実際はどうでしょう。

少し話がそれますが、家計支出を予算化する際、筆者は相談者に「金額ベースで考えましょう」とお伝えすることが多いです。たとえば、食費は手取りの○パーセントまで、と考えるのではなく、具体的に食費予算は月○万円といった形で予算化するよう話します。

金額ベースの予算の良さは、イメージがわきやすく予算管理しやすいこと。
「月末まで○日だけど、あと○千円もある! よく頑張ったなー」「まだ半月しか経っていないのに残り○万円! スーパーの買い物は1回○千円にしよう!」など状況把握がしやすく、家計やりくり行動が思い浮かびやすいのです。

では、先取り貯蓄も金額ベースがよいでしょうか?

毎月の手取り収入から積み立てる場合はYESです!
しかし、ボーナス支給額が年によって、あるいは夏季と冬季で、かなり金額にブレが生じる、そんなご家庭の場合はNO。「割合」で考えることをおすすめします。

それはなぜか?

コロナ禍の今年を例に挙げるまでもなく、一般的にボーナスは給料に比べて変動幅が大きいもの。金額ベースで貯蓄目標を立てると、支給額が変動する度に予算を組み直すことにつながります。
「手取りが○十万円だったから、まず○万円を教育費として貯蓄口座に入れて、車の買い替え資金は○万円くらいにしよう。来年買い替え予定だから、このままパパ口座に残しておいて…」などと考えている間に時間が経ってしまいがちです。結局、資金移動をする前になし崩し的に使いはじめた、なんて人もいると思います。

そこで、『貯蓄黄金比』の出番です!
聞いたことがないと思いますが、『貯蓄黄金比』は筆者が名付けたもの。簡単にまとめると、ボーナスなどまとまったお金が入ったときに適用する貯蓄ルールです。最初にしっかり考える必要はあるものの、収入に幅のあるフリーランスの方や細かい管理が苦手な方、忙しい方にピッタリな先取り貯蓄法です。

将来に備えてお金を貯めたい若い世代の方にも『貯蓄黄金比』はおすすめです。なぜなら、貯蓄額に縛られず、ルールにのっとり、手取り額の一定割合を貯蓄口座(あるいは定期預金など)にお金を移動するだけなのですぐ始めやすく続けやすいからです。

円から双葉

「貯めるお金」と「使うお金」の比率を決める準備

『貯蓄黄金比』をどのように決めればよいか、順に考えてみましょう。

用意するものは、世帯全員分の通帳(記帳済みのもの)と、昨年の賞与支給額がかかれた明細です。それに加えて計算用紙(A4程度)1枚を用意してください。

最初に、去年1年間でどれくらい預金が増えたか、通帳から計算します(=年間貯蓄額)。
計算方法は簡単です。昨年の同じ月の預金残高をすべて足して、今年の残高からそれを引くだけでOKです。

続いて、夏冬のボーナス手取り額を足します(世帯分)。

さて、年間貯蓄額とボーナスの手取り合計額を比べたとき、どちらがいくら多かったでしょうか?

例えば、昨年から今年にかけ、あるご家庭の預金残高が120万円/年増えたとします。それに対して、昨年のボーナス(手取り)の合計が96万円/年だったとします。

このケースでは、ボーナスの手取り額以上に貯蓄できた、ということになります。当然ですが「120-96=24万円はどこからきた?」となりますよね。よくあることとして、学資保険の満期金など一時所得があった場合が考えられます。その分は年間貯蓄額から差し引きましょう。もしもそういった類の収入がなければ、毎月の家計収支の剰余、あるいは、積立預金など毎月の貯蓄で増加した分となります。

さて、どのような計算結果になったでしょうか?

『貯蓄黄金比』は何対何がベスト?

コインとひらめき
前述のご家庭のように、実際にボーナス手取り額以上の金額を貯められている場合の『貯蓄黄金比』は、「貯めるお金」が主で「使うお金」は従でも成功確率は高いはずです。ご家庭によって事情は異なりますので、あくまで目安ですが、「貯めるお金」6割~8割、「使うお金」は2割~4割ぐらいで先取り貯蓄額を設定してみましょう。

「ボーナスの手取りの4分の1も貯まっていない!?」「あれっ?毎月2万円ずつ積み立てを続けているのに年間収支がトントンだったなんて……どうしてだろう?」
こんな感想を持たれた方がいるかもしれません。

年間貯蓄額がボーナスの手取り額より少なかったご家庭の場合、有り体に言えば、毎月の家計赤字をボーナスで補てんしている状態と言えるでしょう。

そうしたご家庭が一足飛びにボーナスの半分を貯めようとしても、必ずどこかで支障をきたします。無理をせず、昨年より少し上を目指す気持ちで、年間貯蓄額の半分+αの金額となるよう『貯蓄黄金比』を定めてみましょう。

例えば、年間貯蓄額が10万円で、世帯のボーナス手取り額が70万円だったとすれば、今年は「貯めるお金」3割、「使うお金」を7割と考えてみる。仮に手取りが少し減り世帯あたり30万円ずつボーナスが2度支給されたとしても、30×0.3×2=18万円です。それほど暮らしに大きなストレスを与えずに達成できる金額ではないでしょうか?

「貯められた!」この感覚は貯め続ける原動力になります。
お金を貯める楽しさを味わうためにも、無理のない設定で早い段階で達成感を得ることが重要です。

働き始めたばかりの人や転職した人は2対8をまず目指そう

働き始めたばかりで参考となる年間貯蓄額が出せない人や今年転職したばかりで今後の見通しが立てられない人もいることと思います。
そうした場合、少し荒っぽいやり方ですが、『貯蓄黄金比』は2対8からスタートしましょう。つまり、「貯めるお金」2割、「使うお金」8割を死守するところからやってみて様子を見てみましょう。

仮ですので、予定通り貯まらなくてもOKです。焦らずにこの比率を再設定していけばいいだけのこと。お金とのつきあいは一生続きます。気長に、コツコツ積み上げていくことを優先してください。

貯めると決めたら、ボーナス支給日に即行動を!

ここが肝心なのですが、我が家の『貯蓄黄金比』を決めたらボーナス支給日に即行動です!

「貯めるお金」をすぐに貯蓄用口座に移動する。忙しくて他の金融機関に行く時間がない人でも、総合口座をお持ちであれば普通預金からとりあえず1カ月定期預金に移し替えることは可能です。生活口座からすぐ切り離して管理するように心がけましょう。

生活口座に余剰資金を置いておくと使ってしまいがちです。貯めると決めたらすぐ資金移動すること。生活口座と貯蓄用口座の色分けをして管理する。これもお金の貯まるご家庭に共通するポイントです。ぜひこの冬のボーナスから素早い資金移動、お金の色分けを意識してみましょう。

貯蓄用口座それぞれに名前をつける&国の制度を活かす

お金を色分けするのなら、貯めるモチベーションが上がる、こんな方法もおすすめです。それは、口座に名前を付けてあげること。

例えば、【教育資金用口座】ではなく、【△△君を大学に入れる用口座】。マイホーム取得用に貯めたいのであれば、【○○駅近にマンションを買うぞ口座】。定年までに住宅ローンを完済したいのであれば【目指せ、60才でローン完済口座】。

通帳に直に文字を書くのは憚られるという方は、通帳ケースに文言を書いたり、お子様の写真や理想の別荘の写真を貼ったりしてもいいのではないでしょうか。
イメージトレーニングではありませんが、具体的にイメージを思い描く行為の貯蓄効果は侮れないと思っています。

「教育資金に投資も組み入れたい」「老後資金を貯めたい」などお考えであれば、貯め方にも工夫の余地があります。例えば、ジュニアNISAやiDeCo口座を貯蓄用口座として活用するパターンです。

ただし、こうした制度をする際は、メリットばかりでなくデメリットもしっかり調べてからはじめましょう。せっかく貯めても、引き出し制限を知らずにいて必要な時期にお金が受け取れずに困った事態を引き起こしてしまう可能性があるからです。

まとめ

コロナ禍の下、待ちに待った冬ボーナスですが、だからこそ「不測の事態に備えて少しでもいいから貯めたい!」と思う人は少なくないはずです。ただ、闇雲に貯めると決めても生活スタイルが変わらないと出ていくお金を絞ることは難しく、貯めたはずのボーナスを取り崩して落胆することになります。

『貯蓄黄金比』などと大上段に構えたネーミングですが、どれくらいお金を貯めていくかを決めるのは案外難しいものです。貯蓄額ではなく貯蓄割合で考える。年間貯蓄額に基づいて割合を決める。こうした手順を踏むことで、家計の現状把握ができ、身の丈に合った貯蓄習慣が身につきやすいと考えています。一人でも多くの方に、来年の今ごろ「今年はちゃんと貯まった!」と笑顔が生まれることを願っています。

<参考サイト>
※1一般財団法人 労務行政研究所ニュースリリース「東証第1部上場企業の2020年年末賞与・一時金の妥結水準調査」
※2日本労働組合総連合会ホームページ「年末一時金(第1回)・企業内最低賃金協定(最終)回答集計(2020年11月4日集計・11月10日公表)」

海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

(「千葉 家計相談」で検索)