親の介護費用と住み替え費用は、子どもである私たちも負担すべき?【お金と保険のQ&A】

お金と保険のQ&A

目次

保険を学ぶQ&A

このコーナーでは、保険の選び方やお金にまつわる情報をお届けします。
さらに、「お金に関するネタ」や「季節のネタ」、「ちょっぴり気になる女子の疑問や悩み」について、全国の男女にアンケート調査を行った結果や解説もご紹介。あなたの「知りたい!」に答えます。このコーナーを読めば、お金や保険、ライフプランについて詳しくなれるはず。

Question
結婚後もずっと、実家の近くに住んでいます。子どもが小さい頃は、親に面倒をみてもらったので、その感謝の気持ちもあって、現在は自分が親の面倒を見ています。父、母とも要支援の認定を受けていますが、今は夫婦で暮らせています。私もできる限りのことはするつもりですが、どちらかの介護状態が重くなったら、高齢者施設への住み替えも視野に入れなくてはならないように感じています。親の年金は2人分で20万円台の前半くらいだと思いますが、我が家のような場合は、親の住み替え費用をどのように考えるとよいでしょうか。

 

親の介護費用は親の年金プラス貯蓄内で賄えるプランを立てる

親御さんの住み替え先の費用を負担した“親孝行なお子さんたち”が、自分たちの老後資金が不足してしまい、老後の生活に窮するケースをたくさん見てきています。
そのような現実からわかるのは、親の住み替え費用は、親側の年金や貯蓄内でまかなえるところを、力を尽くして探すのが大切だということです。

そのためにまずしていただきたいのは、「20万円台前半くらい」という年金額について、お父様とお母様のそれぞれが、いくらの年金をもらっているのか正確に把握することです。

できれば年金事務所などに出向き、お父様が亡くなった場合、お母様はいくらの遺族年金をもらえるのかまで確認していただくと、なおよいと思います。
お父様が亡くなった後、お母様は遺族年金を受け取れるはずですが、遺族年金額は年金事務所などで確認しないとわからないのが一般的です。逆のケースの場合、つまりお母様が先に亡くなられた場合は、お母様の年金額がなくなり、お父様ひとりの年金になりますので、こちらはお父様の年金額が把握できれば大丈夫です。
お二人分の年金を受け取っているあいだはともかく、受け取るのが遺族年金になると、入所先に支払える金額が下がります。

いつかは、どちらかが「おひとりさま」になるわけですから、年金額の変化も踏まえて、支払える金額を正確につかんでおくことが欠かせません。

 

お金の面での安全を取るなら、縁もゆかりもない場所も許容する

要介護状態になって住み替えを希望する場合、首都圏や関西圏など、都市圏で探す場合は、介護付き有料老人ホームにご夫婦二人で20万円台前半の予算では厳しいのが現実です。ご夫婦部屋などへの入居を希望される場合、少なくても20万円台の後半くらいは必要だと考えたほうが自然だと思います。

また介護に加え、メディカル的なケア(医療的措置)が必要になり、施設内でケアを受けたい場合、費用はより高額化します。医療的なケアに対応できず、再住み替えになるケースも多い現実も知っておくべきだと思います。

一般的に介護付き有料老人ホームであれば、迷惑行為をしない限り、介護状態は重くなっても継続して入所できます。ですが、医療的な措置については、施設ごとに対応は異なります。
医療的な措置までを望むのであれば、親御さんが縁もゆかりもない場所に住み替えるのは気が進まないとしても、少し地域を広げて、年金内で夫婦が入居できそうな高齢者施設を探してみてはいかがでしょうか。

費用を調べる際は、入居時にどのくらいの費用を支払うかの検討も欠かせません。国の指導もあって、入居時に支払う一時金はゼロのプランも提示するようになっています。

ですが、当然のこととして、入居時の一時金を支払わなければ、月々の負担が重くなります。
入居時に支払う一時金と、月々の支払額をいくつかのプランから選択できる施設も増えていますので、「入居時に支払えるのは○○万円まで、月々は○○万円まで」という予算をはっきりさせておくことが、入居先の候補を見つける際にとても重要になります。

 

見学先はネットだけに頼らないで、自分の足でも探していく

費用面が把握できたら、次は実際に見学に行ってみてください。
「まだまだ、先のことだから・・・」と考えて、見学を先送りにしていると、病気で倒れて、いきなり住み替えが必要になってしまうかもしれません。「いざというとき」は、いつ、どのような形でおとずれるかわかりませんので、健康なうちに見学しておくことが欠かせないのです。

見学先を探す際は、ネット検索で見つけられる施設から見学するのが簡単だと思いますが、そうした施設の多くは、検索サイト側に費用を支払っています。つまり入居者を紹介したら、いくらの費用を払うという契約になっているわけです。

多くの高齢者施設を見学して感じるのは、人気があって、コストも安い施設は、広告宣伝費をほとんどかけていない事実。最初から、人気の施設を見つけるのは難しいですが、エリアごとの相場を調べて、ある程度住み替え先の候補地が絞れて来たら、集中してそのエリアの施設を見学してみると、口コミ情報なども集まりやすくなると思います。

見学する際は、クリニックなどの小規模医療施設ではなく、総合病院との距離がどのくらい離れているかも、必ずチェックしてみましょう。
大きな病気をした場合、総合病院にお世話になる可能性が高いと思います。病院に行くのに、かなりの時間がかかると、タクシー代などの負担も高額化します。費用の安さだけを考えて、辺鄙なところを選んでしまうと、病院までの交通の便が悪すぎる可能性も。いずれにしても介護になった場合の住み替えは、考えなければならないことはたくさんありますので、それほど遠くないうちにご両親も交えて、住み替えに関しての相談をしてみるとよいでしょう。

 

(出典:親の介護費用と住み替え費用は、子どもである私たちも負担すべきでしょうか?/ファイナンシャルプランナー畠中 雅子」、FPが教える家計の学校、2016年6月掲載、https://www.hoken-clinic.com/teach_qa/detail150.html

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