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保険を学ぶQ&A
このコーナーでは、保険の選び方やお金にまつわる情報をお届けします。
さらに、「お金に関するネタ」や「季節のネタ」、「ちょっぴり気になる女子の疑問や悩み」について、全国の男女にアンケート調査を行った結果や解説もご紹介。あなたの「知りたい!」に答えます。このコーナーを読めば、お金や保険、ライフプランについて詳しくなれるはず。
失業給付をすぐにもらえるかどうかは、離職理由によります
ご質問は、求職活動をしても就職できない場合には、妊娠中でも失業給付がもらえるのか?ということですね。
失業給付の受給は離職後、離職票を持ってハローワークで求職の申込をすることから始まりますが、離職理由により給付制限がつき、すぐには受給できない場合と、すぐに受給できる場合に分かれます。
ご質問に「産休のない会社のためということと、立ち仕事で走り回るということもあり少し早めに退職する事になりました。」とありますが、このようにご自分で判断して退職した場合は、妊娠が理由であっても、離職理由は自己都合退職の扱いになります。
したがって、ハローワークで受給資格の決定を受けても、失業給付の給付制限期間(3ヶ月)を過ぎないと受給できません。4月から完全に休むとのことですから、受給制限中に失業状態ではなくなるので、失業給付の対象外になりますから、出産前に失業給付を受給することはできそうにありません。
会社から、妊娠を理由に退職勧奨を受けた、又は、解雇された、ということであれば、会社都合退職になるので、3ヶ月の給付制限はありません。
受給資格の決定を受けて7日間経過した後、求職活動をしたにもかかわらず失業状態であれば、4月の完全休業に入るまでの期間について受給できるでしょう。
失業給付をもらい始めてからでも受給期間の延長申請はできますが、残りの給付日数が30日以下なら、延長申請はできません
病気やケガ、妊娠等が理由ですぐに働けない場合は、その状態になってから30日経過後に、受給期間の延長を申請することで、最長で3年間延長できます。離職理由が自己都合退職でしたら、すぐには受給できないのですから、延長申請をしておき、出産後求職活動を始めてから受給してはいかがでしょうか。
離職理由が会社都合の場合は、すぐに受給できますが、4月から完全に休業する予定でいるわけですから、給付日数分(例えば90日分)すべてを出産前にもらい終わるのはムリでしょう。失業手当をもらい始めてからでも、延長申請は出来ますが、支給残日数が30日以下だと、延長申請は出来なくなりますので、注意が必要です。
つまり、給付日数が90日の場合で、休業に入る4月まで目いっぱい受給しようとして60日分以上受給してしまうと、支給残日数が30日以下となってしまい、延長申請はできなくなり、支給残日数分はあきらめなければなりません。
産前産後休業、育児休業は、法律で守られた制度です
今回のご相談者は、退職をご自身で決めたのかもしれませんが、産前産後休業、育児休業は、法律で守られた制度なので、事業主が「うちの会社には制度が無いから産休、育休はできない。」ということはできません。
また、妊娠を理由として退職勧奨や解雇も禁止されています。
ご相談に「立ち仕事で走り回るということもあり・・・」とありますが、妊娠中の女性は、軽易な業務への職務の転換を請求することもできます。小規模な事業所では、休業者が出ると人員配置など対応が難しくなることもありますが、労使で協力し合い、働き続けられる職場つくりを目指して欲しいと思います。
(出典:保険クリニック「妊娠中でも、失業手当をもらうことができますか?/ファイナンシャルプランナー 守屋 三枝」、妊娠や出産のお金をFPに相談、2017年2月掲載、(https://www.hoken-clinic.com/teach_qa/pregnancy/14.html)