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保険を学ぶQ&A
このコーナーでは、保険の選び方やお金にまつわる情報をお届けします。
さらに、「お金に関するネタ」や「季節のネタ」、「ちょっぴり気になる女子の疑問や悩み」について、全国の男女にアンケート調査を行った結果や解説もご紹介。あなたの「知りたい!」に答えます。このコーナーを読めば、お金や保険、ライフプランについて詳しくなれるはず。
非常勤勤務に切り替えた際、厚生年金、雇用保険、健康保険は何も変わらないので、特に手続きをする必要はないと言われ、毎月の給与から天引きされていました。
約1年が経過してから、出勤日数が週2日に減り、週労働時間は20時間以下となりましたが、それまでと同様に、年金、雇用、健康保険の保険料は給与から天引きされています。
雇用保険の加入資格基準の時間が満たしていないまま天引きされている場合、短期雇用契約書を取り交わした週2日勤務の時点で離職票をもらい、ハローワークで手続きせずに働いてしまったら、失業手当を受給する資格は無くなりますか?
また、厚生年金や健康保険も、雇用保険とは別に加入条件があると思いますがきっとこの条件も満たして居ないのではないか?と思いますので、手続きが必要であれば怠らずに行いたいと考えていますので、どのようにしたら良いのかお教えください。
ご質問文では、「短期雇用契約書」とありますが、これは、通常は短期間の雇用契約のことを指しますが、ご質問内容から、「短時間の労働契約書を取り交わした」と理解し、お答えいたします。
ご相談からは、どのような理由で雇用条件が変更になったのかはわかりませんが、育児休業後や介護の必要等で正社員からパート勤務、非常勤に切り替わり、労働時間が大幅に減じる場合があります。そのような場合、そのまま雇用保険、厚生年金保険&健康保険(以下、「社会保険」)に加入できるのか、気になるところです。
今回の、週2日の勤務で働き続けている状態では、
失業手当の受給はどうなるのか
社会保険にそのまま加入していてよいのか
がご心配ということですので、この2点についてご説明いたします。
なお、雇用保険、社会保険とも、加入、脱退(正確には、「被保険者資格の取得、喪失」といいます。)手続きは、本人ではなく事業主が行います。
雇用保険と社会保険は、一定時間以上の労働時間がないと加入できません
まず、パートタイマー等正規雇用者でない人が雇用保険と社会保険に加入するためには、それぞれ次の条件を満たす必要があります。
1、雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上
2、社会保険は、労働時間(1日または1週間の所定労働時間)と1ヶ月の所定労働日数が、その事業所で同じような業務をしている一般社員のおおむね4分の3以上
(ただし、これらの基準は、あくまでも目安のひとつであり、これに該当しない人であっても、就労の形態や内容などを総合的に勘案した結果、常用的に使用関係にあると認められれば、社会保険の被保険者になることもあります。)
週20時間未満の働き方なら、求職活動をすることができ、失業給付も受給できます。
おっしゃるとおり、短期雇用契約書を取り交わした週2日勤務の時点で雇用保険の加入条件を満たさなくなり、会社は被保険者資格喪失の手続きをしますから、離職票が発行されます。失業給付の受給期間は、離職日の翌日から1年間で、その間に求職活動をして、再就職できない場合に失業給付の受給ができることになっています。
ですから、ご相談にある「短期雇用契約書を取り交わした週2日勤務の時点で離職票をもらいハローワークで手続きせずに働いてしまったら失業手当受給は無くなりますか?」は、離職票をもらってから1年を経過してしまえば、その通りです。
しかし、週2日の勤務で生活が成り立つのでしょうか?もっと収入が必要と考えフルタイムで働ける事業所に再就職したいとお考えでしたら、週20時間未満の労働時間ならハローワークに離職票を持参して求職の申込をすれば、失業状態とみなして今の職場で働きながらでも求職活動ができ、失業給付の受給ができます。その場合、4週間に1回の失業認定時に、その間の労働日数や時間を申告するので、現在働いて得ている収入の分は失業給付から減額されます。
健康保険料、国民年金保険料の負担の有無は、今後の働き方、立場によります
社会保険も、週2日間の勤務ですから、社会保険の加入条件(上記②)を満たさず、本来なら事業主は被保険者資格喪失手続きを行います。したがってご相談者は社会保険の被保険者でなくなりますから、保険料を給与から控除されることはありません。ちなみに、被保険者資格を喪失すると、健康保険証も返却することになります。
「短期雇用契約書」の内容はどのようになっていますか? 例えば、上記②のただし書き部分にあるように、会社側は非常勤勤務期間を短期間と考えていて、2,3か月後にはまた正社員に戻す予定などの理由で現状のまま社会保険に加入している、というような場合も考えられます。保険料だけでなく今後の働き方も含めて、会社に確認、相談する必要があると思います。
さて、健康保険証を返却した後は、再就職のための求職活動をする場合、失業給付を受給している間は、健康保険の被扶養者にはなれませんから、健康保険に任意継続で加入するか、国民健康保険に加入する必要があります。
今後もずっと非常勤勤務が続く予定で、再就職も考えていないのでしたら、年収的に被扶養者の範囲になりそうですので、親族の健康保険の被扶養者にしてもらうことができそうです。国民年金保険料の支払いは残るものの、健康保険料の負担はありません。ご相談者に会社員や公務員など、厚生年金に加入している配偶者がいるのでしたら、被扶養配偶者になるので国民年金の第3号被保険者となり、国民年金保険料もかかりません。
(出典:保険クリニック「正社員から非常勤になり、勤務日数が少なくなりました。雇用保険、厚生年金保険、健康保険にはそのまま加入できますか。/ファイナンシャルプランナー 守屋 三枝」、雇用保険や失業給付などをFPに相談、2017年6月掲載、https://www.hoken-clinic.com/teach_qa/)