ビーガンは健康に良いのか?悪いのか?<ビーガンは新しい食事体験となるか vol.2>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

海外から入ってきた習慣として、どこか気取った雰囲気にも聞こえてしまう「ビーガン」。確かにハリウッド女優がやっている食事法!などと聞くと、気取っている感じがなくもない…といった感じですが、もちろん身体のことを考えた上で取り入れている食事法です。

ビーガンを正しく理解するために、株式会社みんなのごはん・代表取締役 岩溪寛司さんに、3回に渡りビーガンについてお話しいただくシリーズ。第1回目は、「ビーガンは新しい食事体験となるか?」というテーマでお話しいただきました。第2回目となる今回は、ビーガンは健康に良いのか?というテーマで、お話しいただきます。

 

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目次

お肉を食べずに健康を維持することができるのか?

「ビーガン」という言葉は聞いたことがない人でも、「ベジタリアン」は聞いたことがあると思います。

ビーガンとベジタリアンの違いは前回のコラムで説明しましたが、すこし興味があったとしても、やはり気になるのはビーガンやベジタリアンはお肉を食べずに健康を維持することができるのか、という点でではないでしょうか。

2016年に発表された米国栄養士協会(注釈:https://www.jandonline.org/article/S0002-8223%2809%2900700-7/fulltext )によると「適切に準備された菜食(完全菜食も含む)は、健康的で栄養的にも十分であり、特定の疾患の予防と治療に有益です。また、入念に計画された菜食は妊娠・授乳期、乳幼児期、小児期、青年期、高齢期を通した全てのライフステージにある個々人、運動選手に適切である。」
とされています。

まず、ここで言われている「菜食」はベジタリアンを指し、「完全菜食」はビーガンを指します。
菜食はすべてのライフステージ、つまり誰にとっても適切であると言うことになります。
では「適切に準備された」という表現はどうでしょうか。

また、「適切に」とは自己流ではなく、栄養学的に必要な栄養素を適度に摂取できるように献立された食事の事を言います。
必要な栄養素は一般的には5大栄養素と言われている糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルですが、ビーガンやベジタリアンは特にたんぱく質、n-3系脂肪酸、鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB12が摂取しづらくなるために特に意識的に摂る必要があると言われています。ここではそれぞれの栄養素がどの様な働きをするのかの説明は他の機会に譲りますが、これらの栄養素を意識的に摂ることができる献立のことを「適切に準備された献立」と表現されています。

母乳は動物性?

数年前になりますが、海外でビーガンの若い夫婦が乳児に豆乳を与えて死亡させてしまったというニュースを見たことがあります。
なぜこの様なことが起きてしまうのでしょうか。

この若いお母さんは、何らかの理由で母乳を与えられなかった、もしくは母乳は動物性という解釈から乳児に母乳を与えなかった可能性が考えられます。

実際に、私が代表を務めるビーガン検定への質問にも「母乳は動物性ですか?」という質問があります。私の回答は、

母乳は動物性であるが、そもそもビーガンが動物性食品を食べないのはその食品が動物性かどうか、ではなく、その食品(または製品)が動物からの搾取において作られた食品かどうか、が基準になっているため母乳は動物性ではない

です。

繰り返しますが、なぜこの様なことが起きてしまうのでしょうか。
それは情報の不足とビーガンへの過大解釈または自己解釈による誤解が原因だと思います。
少しの栄養に関する情報と冷静な判断があれば防げることだと思います。

ビーガンを取り入れている人は、痩せている?

しかしながら、これとは対象的に楽観的な例もあります。

私がビーガンだった頃は30代前半で、この様な知識は全く無い中、私の食生活は自己流で、おそらく上記の栄養素をうまく摂れていなかったはずです。実際に当時の私はすごく痩せていました。これは摂取カロリーの不足によるものです。

栄養学的に平均的な成人男性の1日あたり必要カロリーは、2000〜2300kclです。一部の部位を覗いてお肉にはタンパク質に加えて脂質が多く含まれています。お肉が体に悪いと言われがちなのはこの動物性の脂質とコレステロールがありますが、ここではその点は深堀りせずカロリーに焦点を絞ります。

この脂質がカロリーにつながるのでお肉を食べていると自然にカロリーを多く摂取しています。ちなみに油のカロリーは1gあたり約9kclです。
ビーガンになるとお肉を食べなくなるのである意味手軽に取れていたカロリーが摂れなくなります。
カロリーは糖質からも摂れます。糖質はつまり砂糖そのものもありますが、小麦などの穀物に含まれるグルコースもカロリー源になります。
米やパン、パスタ、うどんなどです。これらの食品はビーガンでも食べられるので主なカロリー減は糖質になります。糖質のカロリーは1gあたり約4kclです。

単純な引き算です。お肉から摂っていたカロリーが無くなり、糖質からのカロリーのみになり、無自覚でいると慢性的なカロリー不足になります。そのために、ビーガンは殆どの人が痩せていることに頷けます。

この様な要因で私も例外なく痩せていましたが、健康上は全く問題なく快適な生活を送っていました。私の周囲のビーガンの友人なども基本的に同様の印象でした。
この様に、私の場合は栄養素に無自覚であっても健康上問題ありませんでした。

健康でいられるために……

現在時点において、ビーガンについて私の総評としては、過剰に心配する必要はないが、必要最低限の栄養素は気にしながら摂るとより健康的でいられる、というのが結論です。

先の乳児の例にもあるように、ある程度の情報を得ることは何事においても重要でしょう。

是非とも私の記事も鵜呑みにせず「本当にそうか?」と疑う位の警戒心で自ら情報を取りに行かれることをおすすめしつつ、ビーガン、ベジタリアンに関わらずみなさんが健康的な生活を送られることを願っています。


岩溪寛司(いわたにかんじ)
京都出身
株式会社みんなのごはん・代表取締役 CEO
ビーガン検定・代表
国境なき料理団・共同代表。
2006年に音楽を志して京都より東京に上京。音楽活動中にビーガンになり、その後NPOを設立し音楽活動と並行して啓蒙啓発活動を開始。ベジタリアン業界では知られたバンドになり海外公演も経験するが2013年に解散。2014年に株式会社みんなのごはんを設立。趣味はランニングからトレラン、今は筋トレがメイン。
株式会社みんなのごはん
https://www.minnanogohan.com/

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