自分を愛する力って何? <子どもが「自分を愛する力」を育むために親ができることVol.1>

笑顔の女の子 【コラム】暮らしをワンランクアップ

自己肯定感や自尊感情という言葉を聞いたことありますか?
「自己肯定感は大事!」ということを育児本などで見た!という方もいるかもしれませんね。

今回は、小学生2人の子育てをしながら、学童保育施設3校舎を運営し、一人ひとりの才能を引き出し・活かすためのワークショップ、自己肯定感アッププログラム、キャリア教育プログラムを提供している、赤井友美さんに、「自分を肯定する感覚」自己肯定感について教えていただきました。

 

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「自己肯定感」って何?

欠点や短所も含めた、今の自分を「ここは良い、これは良くない」等のジャッジもせずに全て受け入れて、そのままの自分を愛する、大事にする感覚を「自己肯定感」といいます。

私はこれを「自分を愛する力」と呼んでいます。

自己肯定感って「自分を肯定する感覚」と書きますよね。この漢字の通りに考えて、「私、自分を否定することはないです。肯定できています。」という方もよくいらっしゃるのですが、実際の自己肯定感は高くないという方を実際多く見かけます。

「自己肯定感」という言葉の罠もあるなーと思っているので、私は「自分を愛する力」と呼ぶようにしているのです。

とはいえ、日本人の感覚だと「自分を愛する」「自分を大事にする」っていうと、「ワガママ・自分勝手に生きる」とか「ナルシストみたいな特殊な人」って思われてしまうこともあるのですが、少しそれらは横に置いてくださいね。

LOVEと書いたオブジェ

ちょっと想像してみましょう。
生後すぐの赤ちゃんは、おっぱいやミルクが上手く飲めない時がありますよね。

でも「ミルクやおっぱいが飲めないなんて、なんて自分はダメなんだ!」と、思っているでしょうか。
そんなそぶりはなく、飲み疲れるまでずっと吸っていますよね。(私の子どもは空になったミルク瓶もずっと吸ってました(笑))

1-2歳の小さいお子さんの場合はどうでしょうか。
自分の能力の限界に疑問や不安を感じ、遊びを止めたり、歩くのをためらう姿を見たことありますか?

この頃の小さい子どもたちは、とっても勇敢!
転んでもぶつかっても、ちょっと嫌なことがあっても、気にせずまた立って、遊びに行こうとしますよね。

水遊びをする子ども
このような、無条件の自己信頼が「自分を愛する力」です。

自分のある部分はゆるし、ある部分は認め、そしてすべてを受け入れる「愛」という言葉がぴったりなので、私は「自分を愛する力」とお伝えしています。

「自己肯定感は育むもの」という言葉をよく見かけるかと思いますが、私自身のこれまでの様々な経験から、自分を愛する力(自己肯定感)は、生まれた時から赤ちゃんはみんな持っていると考えています。

 

日本の若者の自己肯定感はとっても低い

みなさん、日本人の若者の自己肯定感は国際比較の中でも特に低い、ということをご存知でしょうか。

5年ほど前に行われた、日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査を、ぜひ見ていただきたいと思います。
(■参照:内閣府内閣府ホームページ:『今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~』

特に注目していただきたいのは、

  • 「自分に満足している」若者は、7カ国で唯一の50%以下。
  • 「うまくいくか分からないことにも意欲的に取り組む」若者は、7カ国中最下位。
  • 「つまらない、やる気が出ないと感じたこと」「ゆううつだと感じたこと」がこの1週間あった若者は、どちらの項目も日本が7カ国中トップ
  • 「自分の参加により、変えて欲しい社会現象が変えられるかもしれない」と感じている若者は7カ国中最下位

という、子育て中の私たちにはちょっとショッキングな結果です。
自己肯定感の低さだけでなく、やる気のなさ、将来への不安が突出している状態なのです。

悩む若者

 

これからの時代はどんな時代?

これからの時代は「VUCA時代」と言われています。

VUCAは、

  • Volatility(変動性・不安定さ)
  • Uncertainty(不確実性・不確定さ)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

という4つのキーワードの頭文字から取った言葉。

例えば、

  • 2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に、今は存在していない職業に就く。(米デューク大学キャシー・デビッドソン氏が、2011年8月のニューヨークタイムズ紙インタビューで語った言葉)
  • 2025~35年、日本の労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能。(2015年12月、野村総合研究所が国内601種類の職業について試算した結果)
  • 2045年「人工知能・AIの知性(性能)が地球上の全人類の知性を超える」シンギュラリティが起きる。(人工知能研究の世界的権威レイ・カーツワイル氏の言葉)

など、すでに世の中に出ている情報だけでも、想像ができない時代が来ることは確かなのです。

しかしよく考えてみると、突然新しいものが出てくる、というわけではないのですよね。
私たちの周りには既に、Googleスピーカーや、iphoneのSiri、ソフトバンクショップにいるPepperや、人工知能・AIがすぐそばにあります。これらの性能が急激に上がるだけなのです。

でも、先ほどの調査結果の通り、日本の若者の「自分を愛する力(自己肯定感)」は低い。
とすると、これまでとは少し違った子育て、関わり、教育が必要であることは確実ですし、自分を愛し・信頼し、苦難があっても、自分で考え、選択していける子どもたちが育っていくことが大事になってくるのです。

では、この「自分を愛する力」はどのようにして育くんでいくのか。
それは、次回のコラムでお話していきたいと思います。

 

赤井友美
赤井友美
株式会社4smiles代表取締役、一般社団法人子供教育創造機構 理事.
東京都生まれ。(株)リクルートに新卒入社し、約12年間でIT部門、広報、人事などを経験。その途中、中学生向けキャリア教育プログラムを新規事業として起案・立ち上げを経験し、教育の世界に足を踏み入れる。その後、教育系NPO法人設立準備に参画し、初代理事に就任。2度の出産をきっかけに人材育成にますます興味が移り、2012年に一般社団法人子供教育創造機構を設立。翌年リクルートを退職し、東京都中央区に民間学童施設「キンダリーインターナショナル」を仲間と共に設立。
根底にある思いは「一人ひとりが自らの才能を生かして主体的に生きること」「才能の多様性が活かされる文化をコミュニティで育むこと」
現在は小学生2人の子育てをしながら、学童保育施設3校舎を運営し、一人ひとりの才能を引き出し・活かすためのワークショップ、自己肯定感アッププログラム、キャリア教育プログラムを、東京・九州・東北を行き来し、各地で提供している。
http://learningcreation.org/

■子どもが「自分を愛する力」を育むために親ができること をまとめて読む

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