<耳(心)を開かせる>ことで、上手く聴いてもらう <伝え上手になるヒミツ Vol.2>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

「伝え上手」になるための3つのステップを、伝達のプロ・板羽 柚佳(いたは ゆか)さんに3回に渡って伝授していただくシリーズ。第1回目は、伝える作業は伝える前から始まっていること、そして、きちんと最後まで伝えきるために必要な準備の部分、すなわち<目的意識>について教えていただきました。

第2回目となる今回は、より、聴き手に興味を持ってしっかり聴いてもらうための極意を、伝授していただきます

 

新型コロナ自宅や療養施設でも保険金・給付金は請求できる
新型コロナで入院

「上手く話す」ではなく、「上手く聴いてもらう」と考える

誰かに話しをするときに、ちゃんと言いたいことが伝わっているのだろうか? 話しの内容を理解してくれているだろうか? あるいは、そもそも、ちゃんと聴いてくれているのだろうか? と感じたことはありせんか?

コミュニケーションコーチングやトレーニングをお受けしているクライアントさんの多くが、上手く伝えらえる人になるために、うまく話せるようになる方法を教えてほしい、といってスタジオにお越しくださいます。では、どのような”上手い話し方”をすれば、より伝わりやすくなり、より聴いてもらいやすくなるのでしょうか?

実は、上手く話す、という考え方ではなく、上手く聴いてもらう、という考え方にシフトすることで、より伝わりやすい人になることができます。子育てや家族関係、PTA活動、スタジオにお越しになるクライアントさんとの面談やコーチング、また、監督やクライアントさんとの打ち合わせなど、仕事でもプライベートでも、すべての現場において、いかに相手の意向を汲みつつ、こちらの伝えたいことを、どうすれば、相手にすんなり伝えることができるのか。私自身が、この20数年のキャリアの中で、気づき実践してきたこととは何だと思いますか?

それが、今回のテーマ、伝え上手になる3つのステップのセカンドステップでもあるのですが、<耳(心)を開かせる>です。中でも、各シチュエーションでコミュニケーションを取るうえで、特に大切にしてきた3つの方法を、以下では3つの段階に分けて、お伝えしていきます。

 

聴き手に興味を持ってしっかり聴いてもらうためのセカンドステップは、<耳(心)を開かせる>

ここからは、伝える側としてだけではなく、話しを聴く側にもなって、双方向で考えていきましょう。

point

 

聴き手の側に立ってみる

まずは聴き手として思い返してみてください。
子どものころ、朝礼台や体育館の舞台の上で話す校長先生のお話で、何か印象に残っていることはありますか? あるいは、学校の先生の授業や親の小言、家族のことなどをとめどなく話すママ友やお決まりの流れで展開される会議などに、時間を長く感じたり、うんざりしてしまった記憶はありませんか?

その反対で、とても仲良くしている友人や普段からよく会って話しをする人と会話をすると時間があっという間に過ぎていってしまったり、会社の会合や何かの集まりだったり、初めてお目にかかる人であるにもかかわらず、話を聴いてグッときた、などという記憶はありませんか?

これらの違いはどこにあるのでしょうか。

ずばり、興味を持ったか持たなかったかです。では、人はどんなことに興味を持つのでしょうか。人は自分の感情が動くものに興味をもちます。感情とは喜怒哀楽ですね。楽しさと喜び、これらの感情が湧きおこることに、面白さと感じますし、内容によっては、逆に怒りや悲しみ、これらの感情が湧きおこることもあります。

では、どんなときに湧き起こるのでしょうか?

それは、共感あるいは差異を感じるとき、つまり自分や自分の周りの環境などと照らし合わせ、考えることができるときに沸き起こります。それを私は「自分事」と呼んでいます。この自分事になった瞬間に、大抵の人は興味を持ち、面白さを感じます。これが、時間が長いと感じうんざりしてしまう話とそうでない話の違いなのです。

さて、ここまでお話ししてきて、もしかすると、気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんね。そうです。本当に伝えたいことがあるならば、まずはいかに聴き手の興味をひくか、つまり言いたいことを言う前に、相手の思考や感情を動かすアプローチをして、自分に興味を持ってもらうということをすればいいのです。それが、<耳(心)を開かせる>です。これができれば、あなたの伝えたい話は、ほぼ伝わると思っていただいて間違いありません。

 

<耳(心)を開かせる>コツ

では、<耳(心)を開かせる>コツを、ご紹介しますね。とても簡単で今すぐできる方法です。

実はこのコラムにもその方法が何度か使われています。わかりますか?

「問いかける」です。何かしら質問を投げかけることで、聴き手は聴くだけでなく、考えることを始めるので、伝える側の言葉が自分事となっていきます。また、聴き手が共感したり差異を感じそうなエピソードなどを話すのも良いですね。感情が動いて、自分事になります。なるほど、でも、そんなすぐに、質問したりエピソードなんて浮かばない、と思いますよね。

そうです、そのためには準備が必要です。それは、前回にもお伝えした、準備8割・現場2割。<耳を開かせる>ためにも準備が必要です。慣れるまでは、目的意識、耳を開かせる、本題と、準備に時間を要しますが、慣れてくるとその場の雰囲気や人の様子で何を投げかければいいか、徐々にわかってきますので、それまでは、しっかり準備をして取り組んでみてくださいね。

次回は3ステップの最終ステップ。最後まで飽きさせずに伝えるコツを、お伝えしています。

 


板羽 柚佳(いたは ゆか)

オフィスシナジー代表伝達のプロ。「いたはゆか」としてレポーター、ラジオDJとしてデビュー。以来、関西をベースに、ナレーター、声優として活動。有名企業のCMや番組などを多数担当。現在は、MBS系で人気のスポーツ番組「戦え!スポーツ内閣」を担当している。パラレルキャリア推進派。自宅にフラスタジオを構えフラを教えるかたわら、コミュニケーションコーチングやスピーチトレーニングなども行っている。20年以上のキャリアの中で確立させてきた、さまざまなシチュエーションでの、効果的な伝え方を、誰にでもできる方法でわかりやすく教えている。1973年生まれ、乙女座、B型、2人の娘を持つ母でもある。
教育資金バナー