学生時代にテレビでみたパラリンピアンの姿に感動し、義肢装具士に/沖野敦郎さん(義肢装具士)

輝く人の生き方とは?

東京都にお住まいで義肢装具士としてご活躍中の沖野敦郎さん。沖野さんが、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。

沖野 敦郎(おきの あつお)さん

義肢装具士
東京都在住。
妻、長男6歳の3人家族。

目次

義肢装具士として働く

義肢装具士とは法律上、「医師の指示の下に、義肢(義足や義手)及び装具(コルセットやサポーターや足底板など)の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者」と定められています。医師の処方に従いユーザーの採型や採寸を行い、これを元に義肢装具を製作して適合を行います。今までに全国で6000人弱の有資格者がいます。

私はオーダーメイドでスポーツ用義肢装具を製作しています。各競技により異なる動きを理解し、アスリートが少しでも良いパフォーマンスを発揮できるように義肢装具を製作しています。その調整はミリ以下の単位で行います。

アスリートの細かな要望を満たすため、私は全て手作業で義肢装具を製作します。その結果、自分が満足いく義肢装具が製作できたときは良いですが、満足できない義肢装具を製作したときは、容赦なく作り直しをします。製作が終了しても、その段階では未完成です。アスリートの手に渡り、実際に使用し、ベストパフォーマンスを発揮し、年月が経過し、廃棄となって私の下へ戻ってきた時にやっと完成した、役目を終えたという認識で、その時に達成感があります。

プライベートでは陸上競技を行っており、この年なのでなかなか自己ベスト更新は難しいのが現状ですが、100mや走幅跳びの記録を昨年や数年前の自分と比較しては一喜一憂しています。やはり過去の自分には負けたくないですからね。

義足アスリートと一緒に!

中・高・大学生の時に陸上競技部に所属しながら、山梨大学工学部機械システム工学科で勉学に励んでいた時、偶然TVでパラリンピックを見る機会がありました。その時、上半身が筋骨隆々のアスリートが下半身に機械を装着して疾走していました。当時は「義足」という言葉さえ知らなかったのですが、その光景を「かっこいい」と感じ、この義足を自分で製作して、義足アスリートと一緒に走りたいと思い、義肢装具士を目指しました。はっきり言って一目ぼれでした。

その後、ここまで来られたのは、日々の勉強の成果かと思います。最近はSNS等で海外の情報も集めやすくなり、ひたすら義肢装具の情報を集めています。ここで重要なのが、その勉強が「苦痛」ではなく「楽しい」と感じる事ができるかということ。楽しいことは寝る時間を削ってでも費やしたくなりますからね。結局、好きな事を仕事にできるかどうかかと思います。

だから、陸上競技に対するトレーニングも欠かしません。平日は早朝に2時間程度、休日は午前中に2時間程度のトレーニングを週4~5日程行っています。トレーニング自体は身体的に疲労感を伴いますが、精神的苦痛は少ないと思います。むしろ、怪我や仕事が忙しくてトレーニングできない時の方が精神状態は良くないと思います。

ストレスに気づき、断つことの大切さ

私のストレス発散方法は、ただひたすら身体的疲労を課すことです。ジムでウエイトトレーニングを行ったり、外で走ったりします。その間は余計な事は考えず、自分の身体と会話をしています。その結果、他の事を考える余裕がなくなり、身体的疲労の蓄積により夜も質の高い睡眠を得られます。また、好きなドラマ・アニメ・映画を見て、現実逃避するのも良いかと思います。

どちらにしても、ストレスの原因となる物事に対して一度離れることが重要かと思いますね。

さらに、年齢を重ねていくと、強度の高い練習の翌日の疲労が抜けづらくなってきました。その対策として「食事」「入浴」「睡眠」を見直すようにしています。「食事」は身体を作る原料になりますので、しっかりと栄養素を考えて取るようにしています。足りない部分はサプリメントで補っています。「入浴」は手ごろなシャワーで済ませるのではなく、しっかりと浴槽にお湯をため、身体全体の血行を良くします。「睡眠」は身体を再構築する時間です。先ほど「寝る時間を削って」と発言しましたが、やはり睡眠は大事です。私は最低でも6時間は寝るようにしています。

自分が一番楽しめる環境を

現在、タイから、スポーツ用義肢装具製作の講師依頼が来ているので、私の技術をしっかりと伝承していきたいと思っています。語学力も低いので、自分の思いを伝えられる程度の力は身に着けたいと思い、独学ではありますが勉強を行っています。また、少しずつですが海外からの注文も入ってきています。技術力で諸外国と勝負をして、選ばれる立場になっていきたいと思っています。

周囲の状況が大きく変わっていく昨今、自身の目標も日々変化しています。1年後の状況は誰にも予想できません。自分がどのようになっているのかでさえもわかりません。ですので、その時その時に「楽しい」と思える事に挑戦していく事を心がけて日々を送っています。人生、自分が一番楽しむことが最重要事項かと思っています。

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