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保険を学ぶQ&A
このコーナーでは、保険の選び方やお金にまつわる情報をお届けします。
さらに、「お金に関するネタ」や「季節のネタ」、「ちょっぴり気になる女子の疑問や悩み」について、全国の男女にアンケート調査を行った結果や解説もご紹介。あなたの「知りたい!」に答えます。このコーナーを読めば、お金や保険、ライフプランについて詳しくなれるはず。
育児休業給付金と傷病手当金を詳しくみてみましょう!
初めての育児に奮闘なさっているところへ手術とは、本当に大変でしたね。公的な給付金をダブルで貰えるのか?というご質問ですが、結論からいいますと、雇用保険制度の育児休業給付金と健康保険制度の傷病手当金は、別の制度なので、同時に受給することができます。
それぞれの制度を、簡単にご説明していきましょう。
育児休業給付金は、出産を経ても退職することなく、継続して同じ職場で働けるように設けられた制度です。休業中の所得補償の役割を果たしてくれる制度で、雇用保険から給付されます。もちろん、男性も育児休業をすることができ、育児休業給付金も受給できます。受給のためには一定期間以上の雇用保険の加入など条件を満たす必要がありますが、受給期間と受給額は次の通りです。
- 受給期間
産後休業が終了した翌日から(男性は、出産当日から)子が1歳になるまで。一定の要件を満たした場合は1歳2か月まで。保育所に入所できない等育児休業を延長せざるをえない場合は、1歳6か月になるまで。 - 受給額
育児休業開始前6か月間の平均月給の50%を、育児休業した期間の月分と端数の日数分
一方の、傷病手当金は、会社員が加入している健康保険の制度で、病気やケガで連続して3日以上休業し賃金がもらえないとき、加入者の生活の保障をするために、休業4日目から給付されるものです。在職中であれば、加入してすぐの病気やケガでも受給できます。〇ヵ月以上の加入期間が必要、といった制限はありません。もちろん、労務に服することができないという医師の証明が必要ですが、入院中だけではなく、自宅療養でも支給の対象になります。(自営業者などが加入している国民健康保険、勤めている人でも国保組合の加入者には傷病手当金制度はありません。)
受給期間と受給額は次の通りです。
- 受給期間
受給開始日から1年6ヵ月まで(この間の休業した日が受給の対象) - 受給額
休業1日当たり、標準報酬日額の3分の2
(標準報酬日額とは、毎年4、5、6月に支払われた、諸手当や残業代も含めた給与額の平均額から決定されます。 例)4,5,6月の平均額が255,000円の場合、標準報酬月額は260,000円 標準報酬日額は8,670円)
女性には、産前産後休業期間の所得補償として健康保険から標準報酬日額の3分の2が出産手当金として支給されます。雇用保険からの育児休業給付金は、産後休業終了後の育児休業開始から支給されますので、産前休業から育児休業まで出産・育児期間を通して経済的な支援があるということです。産前産後休業・育児休業期間の給付は図のようになります。
出産手当金と傷病手当金は、健康保険という同じ制度から支給されるもので支給額も同じですから、支給事由が同時期に発生した場合は、出産手当金が優先され傷病手当金は支給されません。ご相談者の場合、産後休業中に手術をした場合、出産手当金が優先されまので、出産手当金を受給している間は傷病手当金は受給できないことになります。
育児休業期間中に病気で入院をするとなると、赤ちゃんの面倒を見てくれる人の手配も必要ですし、精神面だけでなく経済的な負担も多くなることと思います。制度を利用することで、少しでも助けになるといいですね。
(出典:保険クリニック「育児休業給付金と傷病手当金は同時に受給できる?/ファイナンシャルプランナー 守屋 三枝」、FPが教える家計の学校、2013年9月 掲載、https://www.hoken-clinic.com/teach_qa/pregnancy/4.html)