目次
保険を学ぶQ&A
このコーナーでは、保険の選び方やお金にまつわる情報をお届けします。
さらに、「お金に関するネタ」や「季節のネタ」、「ちょっぴり気になる女子の疑問や悩み」について、全国の男女にアンケート調査を行った結果や解説もご紹介。あなたの「知りたい!」に答えます。このコーナーを読めば、お金や保険、ライフプランについて詳しくなれるはず。
現在、臨時任用教員として仕事をしており、任期は4月1日から3月28日までになっています。次年度も更新の予定ですが、次の仕事は同じ職場の場合でも、4月1日からです。
そこで空白の3日間が生じ、国民年金の3月分は支払っています。
数年前に役場に相談した際、担当者さんが直接年金事務所で年金を支払うようアドバイス頂き、国民年金は支払いましたが、健康保険は支払っていません。
しかし、今回数年に遡り支払うように言われました。
突然のことでどうしてよいかわかりません。役場から保険証も頂いていません。
「4月1日から3月28日までの契約で数年にわたり臨時任用教員をしている。毎年、3月29日から31日までは雇用されないこととなり、厚生年金保険は“空白の3日間”になっていた。
国民年金と国民健康保険はセット、空白の3日間は国民健康保険への加入が必要です
日本は国民皆保険制度ですので、わたしたちは社会保障の給付を受ける権利と同時にその保険料を負担する義務を併せ持っていて、必ずどれかの公的保険制度に加入することになっています。
健康保険などの保険制度に加入することを「被保険者資格の取得」、制度から脱退することを「被保険者資格の喪失」といいますので、ここからはこの言葉も使います。
厚生年金と健康保険、国民年金と国民健康保険はセットで、どちらか一方だけ被保険者資格を取得したり喪失したりすることはできません。
ご相談者の場合は、雇用契約期間の4月1日から3月28日までは厚生年金と健康保険の被保険者資格を取得していましたが、契約期間が終了した翌日の3月29日から3月31日までの3日間は、厚生年金と健康保険の被保険者資格は喪失し、代わりに、強制的に別制度、今回の場合は国民年金と国民健康保険の被保険者になるわけです。
さて、保険料は、月単位で発生し、資格を取得した月から喪失した日の属する月の前月分まで負担する決まりです。
ご相談者の場合は、毎年、被保険者資格取得月の4月から、資格喪失月の前月である2月分までの厚生年金と健康保険の保険料は払っていますが、3月は被保険者資格を喪失した月なので保険料の支払いはなく、その代わりに強制的に加入することになる国民年金と国民健康保険の保険料の支払いが、たとえ3日間ですが資格取得月として、発生するわけです。
国民年金と国民健康保険とも資格取得、喪失の手続きは本人がしなければなりませんが、手続きの有無に関わらず、国保の被保険者になっているので、過去に保険証の交付がなくても、保険料の支払いは発生していたのです。
保険料徴収の消滅時効は2年間、しかし、時効が中断されると、請求が続きます
数年に遡り支払を求められたようですが、保険料徴収の消滅時効は2年です。
ただし、その2年間に徴収の告知や督促があった場合は、時効が中断し、そこからまた時効開始になるので 数年に遡り請求されることもあります。
しかし、遡及請求分の中には告知や督促が無く、時効が成立している分があるかもしれませんので、まずは窓口でご相談されてはいかがでしょうか。
健康保険の被保険者期間と傷病手当金の受給について
最後に、ご相談から外れますが、傷病手当金について触れておきます。
健康保険では、病気やケガで休業した場合に、その間の所得補償として傷病手当金が支給されます。
万が一療養が長引き、傷病手当金を受給中に離職(健康保険の被保険者資格を喪失する)する場合は、離職後も継続して給付を受けることが出来ますが、条件として、継続した1年以上の被保険者期間が必要です。
今のままですと、空白の3日間のために、毎年、必ず1ヶ月の被保険者期間の空白が生じ、何年勤めても健康保険の被保険者期間が1年未満の繰り返しになり、傷病手当金の離職後の継続給付を受けられません。雇用主に、臨時任用教員の雇用契約期間の末日を3月末日にしてもらう、つまり、空白の3日間を無くす相談をしてみることをおすすめします。
(出典:保険クリニック「空白期間の国保の支払いについて教えてください/ファイナンシャルプランナー 守屋 三枝」、FPが教える家計の学校、2014年10月 掲載、https://www.hoken-clinic.com/teach_qa/health_insurance/6.html)