料理はなぜ介護予防、認知症予防になるのか? <料理で介護予防・認知症予防vol.1>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

介護予防とはなんでしょうか? 認知症予防?
最近、テレビ番組で取り上げられることも多いけれど、よくわからないし、まだまだ先のことでは……などとおっしゃる方も多いと思います。

介護予防とは、これから先の人生で介護を受ける状態にならないよう自分自身で予防をしていくこと。認知症予防も同じです。

しかし、予防のために何をどうすればいいのでしょうか?

運動をする。 バランスの良い食事を取る。趣味を楽しむ。多くの人と関わるなど、とても大切なことです。
それはその方の生活そのものかもしれません。

そして、特別な行動を起こさなくても、それぞれご自身のライフスタイルの中で介護予防を実践することはできるといわれています。

3回にわたってお話ししてくださるのは、主に50代からのプレシニア、シニア世代に向けて、「第2、第3の人生を送る中で、年齢を重ねても環境が変わっても楽しい食生活を大切にしてい欲しい」という思いから、毎日ではなくてもキッチンに立ってお料理をすることを提案しておられる料理研究家・フードコーディネーター・介護予防運動指導員の池田康子さん。人生100年という時代になってきた中、元気で楽しい生活を送っていくために、できるだけ介護状態にならない心と身体を保っていくための手段のひとつとして、「お料理で介護予防 認知症予防」を実践していきましょう。

第1回目の今回は、「お料理をすることがどうして介護予防、認知症予防になるのか」について、教えていただきます。

 

新型コロナで入院
新型コロナで入院

今日、何を食べるかを考える。

みなさんは「今日の夕飯、何にしようかな?」と思った時、まず、どんなことを考えますか?

「昨日は何を食べたかしら?」「冷蔵庫の中に何が残っていたかなあ?」「ええと…すぐには全部思い出せないなあ」と頭の中は少しモヤモヤしますね。そして、「そうだ、〇〇だった!」と昨日の夕飯を思い出します。

ついでに一昨日の夕飯も思い出してみたり。

その時、脳は記憶を辿っていくという作業をしています。そこで、「昨日はお魚だったから今日はお肉に決まり!」となったり。また、冷蔵庫の中を頭の中で描いてみて「ええと、野菜は〇〇と〇〇がまだ残っていた。チーズもそろそろ賞味期限が近かったような気がする。食べなくちゃ!」などと思い、「今日は野菜のチーズ焼きで決まり!」となったり。

この10分くらいの間に脳はフル回転しているのです。

お料理

献立を考える。買い物メモを作る。買い物に行く。

夕飯のメニューがひとつ決まったら、あと1品、2品はどうしよう?と考えますよね。これが献立作りです。

栄養バランスを考えて、家族の好きなものを入れて、一人暮らしだけどせめてあと1品は必要かな?などなど。テレビのお料理番組やお料理アプリで情報を得て献立を考える。そして、必要なら買い物に行く。その時に買い忘れのないように買い物リストを作る。チラシを見てスーパーを選ぶ。出かける。

この普段の何気ない行動も脳トレになっているのです。そう考えると、おそらく多くの方が介護予防、認知症予防はばっちり!なのではないでしょうか。

お料理

帰宅したら買ってきたものを片付ける。

買い物から帰ってきたら、冷蔵庫や冷凍庫に入れたり、たくさん購入した時は冷蔵庫の中を整理整頓するなど、結構大変な作業だったりしますよね。

やっと終わったと思ったら「あ、〇〇を忘れた!」なんてことも。「せっかくメモをして行ったのに…」。まあ、そういうことはよくあることです。どうしても必要だからもう一度買い物に行く。ということもありますが、「代用品でアレンジするから大丈夫!」って考えたり。献立を少し変えてみたり。

「どうしよう!?困ったなあ」と思った時ほど脳を使うのかもしれませんね。

夕飯に使う食材を準備する。

「計画」「段取り」「準備」という言葉。「あ〜聞いただけで面倒になってしまう…」そうですね。よくわかります。

夕飯を作るという作業を振り返ってみましょう。
計画を立てるとまではならなくても、3品作るとしたら何から調理するのか、順番を考える。
1品ごとに使う食材を出してまとめておく。
調味料を出しておく。
調理用具を出しておく。
などなど。

おそらく、普段からお料理をしている方は特に考えることもなく、「準備」や「段取り」をしていらっしゃるかと思います。それって、知らず知らずのうちに脳トレになっているのです。また、あまりキッチンに立たない方は、あえて「準備」をしてみてください。「準備だけで疲れちゃった!」となるかもしれませんが、きっと、その後の調理がいつもよりスムーズに進み「やった〜!できちゃった!」となると思います。

お料理

このように、実は「キッチンに立つ前の準備が脳を活性化!」しているのです。
特別な行動どころか、ごく日常的な行動が、実は介護予防の一助となっているというわけです。ただ健康、栄養管理の面から自炊を見つめるのではなく、介護予防の視点から自炊を捉え直してみると意外な発見があるものですよ。

池田康子池田康子
料理研究家・フードコーディネーター・介護予防運動指導員
2007年〜介護予防の仕事に携わる中で、年齢を重ねても環境が変わっても楽しい食生活を送ることの大切さを痛感。シニア世代に「料理を通していきいきとした生活を送ること」を提案したいという思いからフードコーディネーターの資格取得。2018年10月〜東京都府中市にて「お料理で介護予防 認知症予防をしましょう」がテーマの料理教室「Y+I Kitchen」を開き、「お料理&エクササイズ」「介護予防講座付きお料理教室」「おとな男子のお料理教室」を実施。その他、認知症予防のレシピ、高齢者向けのレシピ開発など。
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