東京と福島の二地域で生活するようになったわけ<デュアルライフの魅力とは? Vol.1>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

みなさん、「デュアルライフ」というライフスタイルをご存じですか?
デュアルライフ(二地域居住)とは、2つの地域に拠点を持って生活すること。最近は、働き方が多様化したことで、ライフスタイルも柔軟になってきました。コロナ禍で「都心にとどまらなくても良い」と考える人が増えてきたのも背景にあります。
しかし、実際のデュアルライフはどんなものなのでしょうか?
このコラムでは、現在東京と福島の2ヶ所を拠点として生活していらっしゃる池田淳さんに、デュアルライフの実態を伺いました。
第1回目の今回は、池田さんの実際のライフスタイルに迫ります。

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何気に始めた二地域居住とは?

最近は、平日は都心部で暮らし、会社に通い、週末は田舎で過ごす、といったデュアルライフを満喫している人も増えてきました。
私の場合は、長女が社会人、次女が大学生、三女が高校生になった2008年頃、年老いた両親のことも気になり始め、妻の理解もあっ東京の自宅と福島県の実家を行ったり来たりする二地域居住を始めました。私は長男なので、両親を支えたいという気持ちがあったのです。

その頃、東京では、フリーランスのテレビ番組ディレクターとして番組制作に携わっていました。海外ロケなどで世界中を飛び回っていましたが、テレビ番組や他の映像作品の演出と編集作業という仕事が一段落した時は、1週間ほど実家で両親と暮らすという生活を送っていました。当時はもうネット環境も普及し始めていたので、パソコンさえあれば、仕事先とのやり取りなどはメールで済ませることができていたのです。


感動に出会える昔の仲間と再会

それから何度か実家に帰り始めると、それをどこで知ったのか、幼馴染みや元クラスメイト達から多く声がかかるようになってきました。これが実に心をワクワクさせてくれました。だって、小学生の頃、近くの山の中に秘密基地を作ったり、一緒にクワガタ虫を採ったり、川で水遊びをしたりした親友達です。愉快な思い出話をたくさん聞かせてくれるに違いありません。

しかし、数十年ぶりに会うと容姿が変わってしまっていて、なかなか思い出せない友達もいて、数分かけてやっと名前を思い出した時など、気まずさというか申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、名前をやっと思い出せた時、それはそれでとても面白い瞬間でした。

田舎に故郷を持つ人の特権

その後も、東京や海外で撮影した映像データを持って実家に戻るたび、東京の雑居ビルの中から、田舎の空気の良い広い古民家の一室へと環境が変わり、気持ちよく映像編集作業に没頭できる日々が増えました。

そして古くからの友人達と会っては、昔の自分を取り戻す時間も長くなっていきました。これが実に、何ともいえないくらい心を安らかにしてくれました。

とはいえ、時には編集作業中に行き詰まる時もあります。そんな時は、昔懐かしい田舎道をドライブするだけで、気分転換なりました。行く先々で、例えば夏休みに早起きして行った小川で捕まえた羽化したばかりのオニヤンマは、黒い縞模様が薄く、30分から1時間ほどかけて段々色濃く黒くなってきたことなど、いろんなことが思い出されて嬉しくなりました。(今は50ccのバイクで、さらに細い畑道まで走り回っています。)
これは田舎に故郷を持つ者の特権だと思います。この特権を使わないのは、非常に損な人生だと思いますよ。

東日本大震災と原発事故があって

こんな感じで、東京の自宅と福島の実家を行ったり来たり二地域居住にもすっかり慣れた頃。話を避けて通れないのが2011年3月11日に起きた東日本大震災と福島第一原発事故です。この時、私は東京調布市でインタビュー撮影をしていて、かなりの大きな揺れに驚きました。この地震が福島県に大きな被害をもたらしていることを知り、すぐに両親に電話をかけました。無事が確認できて安心しましたが、この地震と原発事故の後から、福島での生活日数がグッと多くなったのです。

そして2013年。私は、実家のある町の駅前に、自分の仕事のオフィス兼趣味に没頭できるスペースを作る決心をしました。理由はいくつかあります。まず1つは、まだまだ元気とはいえ両親が二人とも80半ばを過ぎたこと。2つめは、ネット環境がさらに良くなって自分の育った故郷の魅力をYouTubeなどで情報発信し続けられること。3つ目は、自分の趣味で集めたモノが増えに増えて保管場所が必要になったこと。4つ目が、昔からの友達と親父バンドを結成することになったこと。そして5つ目が、廃業してしまった駅前の元旅館二棟を安く借りることができたこと。

昭和31年に建てられた旧館は1階が食堂と調理場と帳場。2階に6畳の和室が4つ。8畳の和室が3つ。昭和40年に建てられた当時の“新館”は、1階にお風呂場、トイレ、6畳の和室が4つ。宴会用の食器保管部屋と洗い場。2階に40畳の大広間がありました。これら全ての部屋とスペー スを、私は安く借りることができました。

そして、ここから、さらなるデュアルライフの面白さが広がっていきました。この広いスペースが、人と人を、私たち年配者と若い人たちを結びつけてくれたのです。

デュアルライフは人生を豊かにする

とにかく、家族を守り、子ども達を育てていくために、仕事一筋! という長年パターン化してしまっていたこれまでの生活に、デュアルライフでもう一つの新しい生活が加わるというのは、実に刺激的で、良い意味で人生に変化をもたらし、人生を面白くしていく! と確信できました。

一度きりの人生です。みなさんも人生に変化を求めたいのでしたら、子育てなどが一段落した時がチャンスですよ。自宅や実家の他にも、住んでみたかった場所とか憧れていた場所へ通い、そして住んでみるという二地域居住デュアルライフ。地域との繋がり、人とのつながりが、人生をより面白く豊かすると確信しています。
次回のコラムでは、デュアルライフのメリットと共に、少なからず存在するデメリットのことも含め、デュラルライフを成功させるための秘訣ポイントなどをお伝えしたいと思います。

池田 淳(いけだあつし)
福島県出身
東京都と福島県での二地域居住 福島県の田村地方を紹介するインターネットTV局
alltamura.tv オールタムラ ドット ティーヴィー 主宰ディレクター。 東京でフリーランスのテレビ番組ディレクターを生業にしつつ、 2008年から、自宅と仕事場のある東京と実家のある福島県田村市との 二地域居住を始める。2013年、田村市船引町駅前にもオフィスを構 え、YouTubeなどで地元田村地方関連の情報発信をしたり、いろんな 人とコラボする親父バンド活動をしてきている。そして、バンドの練習 室などを地元中高生たちの勉強自習室として無料開放し、今も続けている。
福島県田村地方関連の情報発信局 alltamura.tv
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