デュアルライフで起こる様々なハプニングを乗り切るコツは?<デュアルライフの魅力とは? Vol.3>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

デュアルライフ(二地域居住)を満喫される方も多く見るようになった昨今。とはいえ、大変なことはないのでしょうか? 現在東京と福島の2ヶ所を拠点として生活していらっしゃる池田淳さんに、デュアルライフの実態を伺うこのシリーズ。今回は、デュアルライフで起こる様々なハプニングをどう乗り越えたか、そのために必要なことは何なのか、お話いただきました。

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命を救ってくれたデュアルライフ先の若い友達

東京と福島でのデュアルライフも10年を過ぎると、福島では「よそ者の目を持った地元人」的な扱いで、行政主催のグリーンツーリズム会議や地元団体などから、意見やアドバイスを多く求められ始めました。

その日も市役所での会議を終え、駐車場で自分の車に乗ろうとしたのですが、なんか目の前がクラクラと歪み始め、運転できそうもなく思えたので、車を置いてオフィスのある元駅前旅館まで歩いて帰りました。普通なら5分もかからない距離なのですが、この時は、駅前通りの外灯ごとに柱に寄りかかっては、休み休み歩かざるを得ない状態だったので、けっこうな時間がかかったように思います。

オフィスの元旅館のガラス引き戸を開け、もう一つのドアを開けるとそこは元食堂のスペースで、日頃は中高生のための自習室として開放している場所でした。この日は、高校1年の男子1名と女子2名が宿題をしていたようです。

私が、自習室に入るや否や、近くの長椅子に倒れ込むと、男の子が「池田さん、二日酔いですか?」というようなことを言って、女の子たちが笑っていたのは覚えているのですが、その後、私が「マジで気持ち悪 い、吐きそう……」と言うと、女子二人が駅前の自販機から天然水を買ってきて飲ませてくれたようです。

でも私が嘔吐してしまい、しゃべれなくなってしまうと、三人は私に声をかけながら、急いで救急車を呼んでくれたようです。そして男子が付き添いで救急車に同乗し、倒れた時やその後の状況を説明してくれていたようでした。そして私は郡山市の大きな病院に運ばれました。検査の結果は、後頭部の脳内出血でした。

人生63歳にして初めての入院が脳内出血でしたが、倒れてすぐに病院に運んでもらえ、すぐに処置してもらえたことで、私は命を落とすこともなく後遺症を患うこともなく3ヶ月ほどの入院とリハビリで退院し、通常生活に戻ることができました。

しかし、もしあの時、あの三人の高校生がおらず、私一人があの部屋の中で倒れ込んでいたままだったら、嘔吐物が喉につまったり、脳内の出血も多くなって、1時間後には死んでいたかもしれません。

私は、デュアルライフ先に構えたオフィスを中高生の自習室にと開放していたことは本当に良かったと思っています。そして三人と友達になれていたことには感謝しかありません。これってある意味「デュアルライフがもたらした幸運なこと」と言って良いと実感しています。デュアルライフでは、人と人との繋がりが、とても重要なのです。

さらなる逆境にもめげないデュアルライフ♫

無事に退院できた後も、家族や多くの友達の応援もあって、私のデュアルライフは順調に進んできましたが、さすがに2020年からのコロナ禍の影響は大きかったです。集まりや密室利用を避けるということで、中高生たちの自習室もバンドの練習室もその利用を自粛してもらいました。そしてデュアルライフ先での収入源の1つだったミュージシャンを呼んでのライブステージ開催も中止せざるを得ませんでした。

もちろん、東京の自宅や仕事先にも行き来できなくなり、フリーランスディレクターの私の仕事も減り、収入は激減しました。よって貯金を切り崩す方法でデュアルライフを続けていくしかありませんでした。さらに不幸なことに、借りていた元旅館の大家さんの事情で、元旅館から退去せざるを得なくなりました。

今までの8年間。元旅館という広い家屋を借りていたことに安心して、馬鹿みたいに集めてしまった趣味のモノや、バンド練習のドラムとかアンプとかキーボードなどの機材類。それにライブステージ用のスピーカーやPA機材などなど。「これらをいったいどこに運ぶんだ?」と多くの友達に心配されましたが、私には、狙っていた引越し先がありました。それが、もっと駅前にある元学習塾の建物です。原発事故後、市民の引越しなどがあって生徒数が激減し廃業になってしまったところでした。

デュアルライフ継続・新しい基地づくり♫

引越し先を元学習塾にしたのは良いのですが、問題は引越し費用とか改装費とかこれからの家賃をどうするかです。幸運なことに不動産屋さんが友達の知人で、いろんな情報とその利用を提案してくれました。その一つが、市役所からの補助金を利用するというものでした。

不動産屋さんから教えられた通りのURLをパソコンにいれると、市の「市内の空き店舗を再活用するための改装費に補助金を出す」「開業後 3年間の家賃に補助金を出す」というシャッター街復活の施策を見ることができました。この情報は私に引越しと室内改装を決断させました。

ちなみに、この情報は、教えられた長いURLを入れると見られるのですが、市のホームページのトップから検索していっても、施策情報まではたどり着けませんでした。つまり目的先までの案内リンクが表示されていなかったのです。後に市役所勤めの友達に理由を聞いたところ、市のHPの更新時に問題があったのでは? とか、担当者が異動になって情報が更新されなかったのでは? とかいう言い訳を聞かされました。

新しい居住先を探す時、その目的地の市役所や役場のホームページはとても役に立ちますが、そこに書いてあるものだけが全てだと鵜呑みにするのは間違いだと気づきました。一度は必ず電話をし、直接担当者に「どういうバックアップ施策があるのか? その内容は?」を聞き出すことをお勧めします。私の場合の、市のHPトップページからは辿り着けなかった情報も、担当者はちゃんと知っており、打ち合わせに足を運ぶとその施策の条件や有益な提案まで多く教えてもらえました。 そして2021年の4月に新しいオフィス・基地づくりを開始しました。

私のデュアルライフの今!

元学習塾の講義室は、専用スピーカーを設置してミニライブの会場としたり、地元の文化芸術をもっと知ってもらいたいので講演会やセミナー室として利用できるように改装しました。個人的には、仕事終わりに、DVDの映画やYouTubeで大好きなバンドのライブ映像などを爆音で聴いて楽しんでいます。

塾の元メイン教室は、バンドの機材をすべて持ち込んで、練習スペースにしました。壁が白くて綺麗だったので、そこに写真や絵などを飾れるよう展示レールを設置し、地元のアーティストさんに駅前アートギャラリーとして利用してもらえるようにしました。

一番広い部屋は、オフィスやミーティングの場として使用していますが、私はここに新たにキッチンとカウンター席を作りました。理由は友達の地元の農家さんから採れたての新鮮野菜が届いたら、すぐに、洗って、切って、煮て、焼いて、盛り付けて、その美味しさをみんなで楽しみたいから。そしてその素晴らしさを地元内外に伝えていきたいからです。先日も、今後の可能性を試すべく、イタリアンシェフとコラボして、冬野菜をふんだんに使ったお料理をいただくパーティーを開催しましたが、大好評でした。その美味しい地元の野菜を子どもたちに食べさせたくて、その農家さんまで買いに行かれたママもいました。

私の本業の方はというと、高校時代の友達や、新しく友達になった若い方々からの紹介もあって、企業の商品紹介動画や、音楽イベント告知映像&記録撮影だったり、地元商工会の紹介動画製作など、少しずつですが確実に増えてきていて、本当に感謝の気持ちで一杯です。
さらに、これも紹介があって、映像制作に興味のある地元の中学生4人とのコラボで、地元の魅力紹介映像づくりチームを進めていくことになったり、自習室を利用してくれる学生も増えたりして、私にはまた若い友達が多くなりました。今、私は「これなら、また脳内出血で倒れても大丈夫♫」とか冗談が言えるほど、この生活環境に満足というか未来の希望を抱いています。

私がたまたま始めたデュアルライフで得たものは、生活環境の変化や面白さもありましたが、なんと言っても大きいのは、旧友たちや新しく出会った友達からの良い刺激、そして深まっていく良い信頼関係という宝物です。私はこれらをずーっと大切にしていきたいと思っています。
もはやあと数年もしたら、私のデュアルライフは、地元ライフに一本化されそうですが、その時は、東京で料理教室などをしている妻にも来てもらって、オフィスのキッチンで地元野菜を美味しく料理してもらおう!  と計画しています。

デュアルライフ。居住先がどんな場所であろうとも、一番大切で、あなたの生活と人生を豊かにしてくれる価値あるものは、その土地で知り合った新しい友だち達です。さぁ、皆さんもデュアルライフの新しい出会いで、人生をより豊かに、楽しいものにしていってください!

池田 淳(いけだあつし)
福島県出身
東京都と福島県での二地域居住 福島県の田村地方を紹介するインターネットTV局
alltamura.tv オールタムラ ドット ティーヴィー 主宰ディレクター。 東京でフリーランスのテレビ番組ディレクターを生業にしつつ、 2008年から、自宅と仕事場のある東京と実家のある福島県田村市との二地域居住を始める。2013年、田村市船引町駅前にもオフィスを構え、YouTubeなどで地元田村地方関連の情報発信をしたり、いろんな人とコラボする親父バンド活動をしてきている。そして、バンドの練習室などを地元中高生たちの勉強自習室として無料開放し、今も続けている。
福島県田村地方関連の情報発信局 alltamura.tv
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