気づいたら喋っている? バイリンガルに育てるためには、何歳から英語を学びはじめれば良い? <子どもに本当に必要な英語力 Vol.2>

ENGLISH 【コラム】暮らしをワンランクアップ

2020年の小学校の英語教育必修化まであと一年。グローバル化がすすみ、英語のスキルが当たり前に求められる世の中に変わりつつあることを、肌で感じることも多くなってきたこの頃、お子さんへの英語教育についてお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?

英語と子育てについて、バイリンガル育成スクールの経営をしながら、「日本の子ども英語教育の改革」に人生を賭けて取り組んでいる羽織 愛さんに、4回に渡りお話をいただきます。

2回目となる今回は、英語を学びはじめる時期ついてお話いただきました。
「日本の英語教育」についてお話いただいた1回目は、こちら

目次

英語は何歳から学ぶと良いの?

英語を学び始めるのに、遅いということはありません。興味を持ったら、誰でも、いつでも、始めることができます。そして、成果の出る学習法さえ知って実践すれば、誰でも英語を話せるようになります。

注意していただきたいのは、年齢によって適した学習方法は大きく変わる、ということです。

例えば、読み書きの練習は、年齢を重ねた後の方が成果が早く上がりやすいことが分かっています。読書量もより豊富で、運筆力も高く、試験の経験も経た人の方が、幼い子どもよりも早く上達するんですね。

年齢と環境によって、効率的な学習方法が変わっていきますから、その時々に応じて最も適した学習方法を選ぶことが大切なのです。

だから、英語学習のスタートを検討しているお子様が何歳だとしても、また、これを読んでいらっしゃる方が何歳だとしても、常にベストな方法で学習することで良い結果につながると言うことはまず知っておいていただきたいと思います。

その大前提の上で、例えば今お腹の中に赤ちゃんがいて、これから生まれてくるその子をバイリンガルに育てたいとしたら…… 英語学習のスタート時期を選べるのだとしたら…… そんな前提だったら、そもそも本当は何歳からスタートするのがベストなのか?を考えてみたいと思います。

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知っておきたい「臨界期仮説」

何歳でスタートするのがベストかを考えるときに、まず知っておきたいのが「臨界期(りんかいき)仮説」です。

言語学習には最も適した年齢の時期があり、その時期に学習することで最大の成果が期待できるという考えです。逆に言えば、この臨界期を過ぎると、習得が進まなくなる(進みにくくなる)という考え方です。

臨界期説で最も有名な説は1967年にエリック レネバーグが提唱したCritical Period Hypothesis (臨界期仮説) です。

では言語学習に臨界期があるとして、それは日本人が英語を学習する際に言うのなら何歳までなのか、ということが気になりますよね。

様々な研究成果と見解がありますが、早く臨界期が終わると主張する学者は6歳〜、遅い年齢では15歳くらいまでと主張されています。

つまり、私たちが実践として指導する際に考えるのであれば、ひとつの目安として、6〜15歳の中間である「概ね10歳まで」と思っておくようにすると良いでしょう。 さらに詳しく知りたい場合は、対象の学習者となる子どもの性格や環境などを踏まえて、絞り込んで調べていくことも可能です。

この臨界期仮説の検証の際は、その年齢よりも早く学習をスタートした人と、その年齢を超えてから学習をスタートした人の言語力を比べる学問となります。 ピッタリ何歳までに始めるべき!とは一概に言えないとしても、「10歳よりも早く始めた方が、より高度な言語力が身につく可能性が高い」ということは、ひとつのポイントとしておさえておきましょう。

日本人の子どもが英語をスタートするなら?

一般的に10歳くらいまでにスタートした方が良いということが分かったところで、今度は日本人の子どもが英語をスタートするなら、ということで、さらに絞って考えてみましょう。 結論から言うと、バイリンガルに育てたいのであれば、2〜5歳でスタートすることをお勧めします。

ENGLISHマット

日本で生まれ育つ、日本人の両親を持つお子さんなら、当然のことですが、日本の文化の中で日本語話者として成長していきます。Ethnologueによると、2019年の時点で世界には 7,111の言語があると言われていますが、その中でも日本語と英語は類似性が非常に低い言語です。

このため、日本語がしっかりと習得され、日本人としての人格が形成される前に、英語という言語と文化が生活に入り込むことで、バイリンガルとして成長する過程が自然でより容易になります。

2〜5歳という年齢を勧める大きな理由のひとつが、小学校のスタートが大体6歳からということです。 小学校からは読み書き指導が一斉に始まります。会話ができるようになった後、読み書きを習うことで、その言語の理解が一気に促進されます。これは日本語習得にとっては素晴らしいことで、高い思考力を養うためにも、自分のアイデンティティを確立するためにも、とても良い取り組みと言えます。

バイリンガルとして育てていくことを考えるのであれば、この前段階で、すでに英語を話せる状態まで育ててあげることが理想的です。 2〜3歳でスタートし、4〜5歳のうちに英会話を楽しめるところまで英語力を引き上げておく。もちろん、ここまでの過程で、第一言語として日本語もしっかりとネイティブレベルで話せていることが前提です。 6歳からは、英会話を通して読み書きもスタートする。そこからは知的好奇心を刺激しながら、自ら学ぶ姿勢を育てていく取り組みが理想ですが、これはまた別の機会に。

正しい英語教育法に基づき、適切な年齢でスタートし、適切な学習過程を進むことで、お子様にとっての負担は最小限に、「気づいたら英語を話していた」という英語教育が可能となります。

今は良い情報も手に入る分、信頼できない間違った情報もどんどん入ってくる時代です。 子ども自身が笑顔で、楽しく、のびのびと学びながら、ちゃんと英語でお話できるようになる、そんな良い情報源を見つけて、ぜひ楽しくバイリンガルを育てていただきたいと思います。

参照 ◆ 1967,  Eric Lenneberg,  “Biological Foundations of Language”

羽織愛さん

羽織 愛
SUNNY BUNNYバイリンガル育成スクール代表
バイリンガル育成スクールの経営をしながら、「日本の子ども英語教育の改革」に人生を賭けて取り組んでいる。自身もレッスンに入り、子どもたちに英語を教えることもあり、情報を多角的に取ることを常に意識しながら、日々勉強と実践を繰り返している。

■SUNNY BUNNY バイリンガル育成スクールhttp://sunnybunnyinfo.com

 

■「輝く人の生き方とは?」のコーナーでもご紹介。

羽織愛さん

人生を賭けて取り組んでいるのは「日本の子ども英語教育の改革」。「日本バイリンガル化計画」促進のために日々実践、挑戦!/羽織愛さん(言語教育研究者、英語教師、英語教室経営者)

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