今の目標は障がいがある人向けのグルメサイトを広げること/木内健徳さん(就労支援事業経営)

木内建徳さん ライフスタイル

兵庫県にお住まいで、障がいのある方の就労支援を行う事業を展開されている木内 健徳さん。木内さんが、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。

木内 健徳(きうち けんとく)さん
兵庫県在住。明石市にて、障がいのある方の就労支援を行う事業を展開。 法人名は株式会社ups、事業所名称は就労継続支援A型アップス。

アクセシビリティグルメサイト KiSH

「成長」が事業のコンセプト

木内建徳さん
「就労継続支援」という障害福祉サービスは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に、就労の機会を提供する事業です。弊社の事業コンセプトは「成長」。それは、実践に近い仕事をスタッフ(※利用者の人を弊社ではスタッフと呼びます)が行い、実務経験を積み、卒業していってもらいたいという想いからです。主な仕事内容は、PC作業や工業用製品の生産管理・組立など。

開業して約3年、就職や大学進学などで卒業していった方々がいます。つい先日も、今年4月に次のステップとして健常な人達の中でアルバイトをするといって卒業した方が、その後に就職活動をして、某大手企業の障がい者枠での就職が決まったと報告に来てくれました。

その方は2年半ほどアップスで一緒に過ごしたスタッフであり、卒業した(退職した)後もわざわざ報告に来てくれました。本当に嬉しかったですね。且つ、2年半前のアップス利用開始当初と比べると、その人の人間的成長も目に見える形で感じられるのも仕事のやり甲斐に繋がります。

 

アクセシビリティグルメサイト KiSH

そのような中で弊社が今、最も力を入れているのが、アクセシビリティグルメサイト KiSHの運営です。 これは、障がいのある人が気兼ねなくお店に行きやすくなるグルメサイトです。明石市内の飲食店を中心にお店の紹介ページを掲載しています。

例えば、車椅子ユーザーの方は、初めて行くお店に入りにくいという不安を持つ場合があります。それは、お店の中に段差があるかもしれない、通路が狭くて通れないかもしれない、トイレを使えるかわからない、店員の人や他のお客さんに気を遣わせる、自分も気を遣う、入店を断られるかもしれない…などの理由からです。

そうしたことから、昔からの馴染みのお店やバリアーの少ないファミリーレストランなどの大型飲食店を利用しがちです。でも、「それって勿体ないのでは?」と私たちは思っています。例えば明石には小さいお店から大きいお店まで、沢山のお店があります。それぞれのお店には特徴や自慢の味があります。店の中がどうなっているのかわからないから入らない、というのは些か勿体ないことだと思います。

「いろんなお店を利用してもらいたい」、「今まで行きたくても行けなかったお店に行ってみてもらいたい」という想いからこのプロジェクトを始めました。

お店の掲載ページには、お店に入る姿をイメージしやすくするために、お店の入り口前から店内に入る様子やトイレを使用する様子を動画で撮影・編集し、店内の位置情報や通路幅を見取り図で表現机の高さや扉幅の寸法などを写真で示すなどの工夫をしています。 またお店のメニューも全て掲載してあり、視覚に障がいのある方が音声ソフトやスマホ画面を拡大・色反転して知ることができるようにしています。 バリアフリー完備なお店ばかり掲載しているわけではありませんが、御自身の障がいと照らし合わせて、いろんなお店を利用できるようになってくださればと思っています。

このグルメサイトKiSHは、弊社スタッフが店舗取材を行っています。取材先店舗様の協力のもと、名刺交換から始まり、インタビューをして記事を作り、動画や写真撮影をして編集します。福祉以外の職業の方と接することでコミュニケーション力を養い、文章力が向上し、編集能力が身につく。そして掲載ページとして目に見える形での成果物を作り、お店の方に喜んでもらい、掲載ページを見た人がそのお店に足を運ぶ。理想論かもしれませんが、スタッフにとって少しでもやり甲斐になり、個々人の成長に繋がってくれることを願っての取り組みでもあります。

その他、週1程度ではありますが、知人の経営する障がい者のグループホームで夜勤ボランティアも行っています。知的障がいの人達がほとんどのグループホームです。一緒にご飯を食べたり、コミュニケーションをとるのが楽しみでボランティア勤務しています。

木内建徳さん

 

楽しいのはまさに「今」

楽しいのは今ですね。従業員という立場ではなく、自分がイチから立ち上げた場所で、現場に入ってスタッフと一緒に仕事をしたりもする。大変なときもありますが、振り返ってみるとやっていることの1つ1つが楽しく感じられます。

夢中になっていることは、先にご紹介したグルメサイトの運営です。いろんなお店に営業に行くことで繋がりもでき、スタッフ達と一緒に1つのものを創りあげていっていることが何よりも楽しいです。

多くの人に共感してもらえていることが夢中になったきっかけかもしれません。この試みは元々車椅子の友人が、外食をするときに入れる店が少ないという悩みを聞いたことからスタートしています。そして、アップスのスタッフも同じ悩みを抱えている。他にも仕事上で出会う障がいのある人達も、このようなサイトがあれば便利だと言ってもらえています。

また、障がい分野で働かれている人や、飲食店に営業に行った際にこのプロジェクトの説明をすると、「社会に必要な取り組みだ」と言ってもらえる。そういったお声を頂けると、より夢中になり、さらに優しい社会を創り上げていけばと思うようになります。

 

ボクシングでストレス解消!

学生時代からボクシングを続けています。今は週に1回程度ですが、サンドバッグやミットを叩いていると仕事のストレスも抜けていきます。

木内建徳さん

全身を使うスポーツなので、動いているとすぐにしんどくなって、毎回もう止めたいと思ってしまいます(笑)。それでも、なんか止められないんですよね(笑)。じっとしたりしていると無性に体を動かしたくなります。また、ジムの人達と接したり、マスボクシングの相手をしてもらったりしていると良い気分転換にもなります。

ボクシングは、健康維持のためでもあります。体を動かすことに加えて、人と話すこと、漫画を読むことが「健康」のためにしていることですね。これら3つをまとめると、いわゆる「気分転換の時間をとる」ことだと思います。

大学を出たばかりの頃に働いていた会社では、ひたすら真面目に働くことが社会人の理想形だと、特に根拠もなく思い込んでいたこともあり、土日もずっと働こうとしていました。(まぁ今もあまり休みはありませんが。笑)その結果、心身ともに疲弊してしまい、結果退職することになりました。

実際のところ、その頃よりも今の方が働いていたりするのですが、上記3つの為の時間を極力つくることで、元気を保っているのかもしれません。

 

グルメサイトを広げること、それが今の目標です!

当面の目標は、グルメサイトKiSHが全国に広がること。

今は明石市が中心ですが、全国の就労支援施設と連携して、各地域で協力してもらえる飲食店を掲載させてもらう。その結果、日本全国の障がいのある人が利用するようになる。そうなれば、外出するきっかけができます。外出する機会が増えれば、障がいのある人と接する機会も増えると私は考えています(お店の人からするとお客さんとして障がい者が頻繁に来る、お客さんからすると飲み仲間ができる、など)。

障がいのある人が身近にいるという人は少ないと思います。家族や友人に障がいのある人がいらっしゃったり、障がいの分野で働いているという人以外、自らそのような場に参加していかないと接する機会はほとんどないのではないでしょうか?

このグルメサイトKiSHの普及がきっかけになって、障がいのある人と接する機会が増えることで、障がいへの理解が深まり、社会が変わっていく。そのような社会を築いていくことが私の夢であり、生き甲斐になったらと思っています。