情報の積み重ねで韓国の食文化全体への理解を深める取り組みを/八田靖史さん(コリアン・フード・コラムニスト)

八田靖史さん 輝く人の生き方とは?

東京都にお住まいでコリアン・フード・コラムニストとしてご活躍中の八田靖史さん八田さんが、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。

八田 靖史(はった やすし)さん
コリアン・フード・コラムニスト
東京都在住。妻・長女・長男の4人家族。

■韓食生活
https://www.kansyoku-life.com/

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韓国料理の魅力を多角的に発信

私は、韓国料理を専門とするライターとして活動しています。韓国料理の魅力について、単なる料理の美味しさだけでなく、背景となる文化も含めてお伝えできるように心がけています。また、文章を書くのみならず、講演やトークイベント、あるいは旅行会社とのコラボで韓国のグルメツアーをプロデュースするなど、韓国料理を切り口として多方面で活動しています。

八田靖史さん
韓国の地方に出かけて、その土地ならではの郷土料理を味わう機会が多いのですが、地元の方から話を聞いたり、いろいろ調べたりする過程で、その料理がなぜそこで親しまれているかの背景が見えてきます。土地の地形や気候を活かした特産品がポイントだったり、歴史的なエピソードとかかわりがあったり、人々の交流によって生まれた新たな文化だったりと、ひとつの料理を通じて、訪ねた地域をより深く知ることができたと思える瞬間がいちばん楽しく感じます。また、そういった情報がひとつひとつ積み重なって、まったく違う地域の情報と結びついたり、韓国の食文化全体への理解につながったりするなど、発見がどんどん増えていくのも喜びのひとつです。

地方都市にも韓国の魅力は満載

韓国料理の魅力にのめり込んだのは、1999~2000年までソウルに語学留学したのがきっかけです。帰国してから韓国料理をテーマとしたメールマガジンを書き始め、それがそのまま現在の仕事につながりました。韓国の郷土料理を追いかけるようになったのは2003年のはじめからで、このとき約1ヶ月かけて重点的に地方を食べ歩きました。留学中のソウルでは見たこともないような料理が多く、地域ごとにまったく違った食文化があるのを知り、それからはソウルよりも地方に出ることが多くなっています。伝統的な郷土料理だけでなく、土地ごとに根付いたB級グルメだったり、老舗のベーカリーや菓子店が人気だったりと、意外に切り口も多く楽しいです。

地方都市に出かけるときは、地元の方からできるだけたくさん話を聞くようにしています。美味しい料理やおすすめの飲食店を知るのも目的ですが、その地域がどういう特徴を持っていて、何が有名なのか、地元の方はどんな部分が地域の誇りと考えているのかを知るように努めています。複数の人から話を聞くと、よく出てくる地名や人名、歴史的なエピソードが把握できるので、そのうえで地域の食文化を眺めてみると、いろいろなつながりが見えてきます。また、初めての土地ではまず伝統市場を訪ねるようにもしています。市場にはその土地の特産品が集まるので、食文化の傾向が見えますし、市場関係者の方との会話は絶好の情報収集になります。

お酒でストレス解消、睡眠でリフレッシュ

私にとってお酒を飲むことがストレスの解消であり、英気を養う手段になっていると思います。ひとりでのんびり飲むのもいいですし、気の置けない友人とわいわい飲むのも大好きです。いまはなかなか外に出て飲めないので、自宅での晩酌が1日を締めくくる楽しみになっています。また、昨年から自宅での時間が増えたことで、それまでほとんど接してこなかった韓国ドラマを見るようになりました。それも仕事の一部にはなってきていますが、ほろ酔いの状態で韓国のドラマやグルメ系のバラエティを見るのが最近の習慣です。興味深い料理が出てくると、ついつい仕事モードになってメモをしたり、調べものをしたりと、必ずしもリラックスにはなっていませんが。

八田靖史さん
だからこそ、睡眠はできるだけしっかり取るようにしています。仕事が忙しくなるとなかなかそうもいかないのですが、それでも夜遅くまで仕事をすることはしません。むしろ忙しいときほど早めに寝て、普段よりも早起きをしてリフレッシュした状態で仕事をするようにしています。食事に関しては、食べることも仕事の範疇なので、必要以上に食べていることも多いのですが、仕事を言い訳にあまり節制できていないのが現状です。他ジャンルのグルメライターさんに比べれば、韓国料理は野菜が豊富なのでバランスがとれている、というのもよく使う言い訳のひとつです。日中はデスクワークが中心なので運動も課題ですが……

八田靖史さん

韓国全市郡を食べ歩きで制覇したい!

今は、韓国にある162の市郡をすべて食べ歩くのが目標です。これまで127市郡を食べ歩いたので、残りは35市郡。これをぜひ制覇したいですね。ただ、ひとつ町を訪ねると、そこでいろいろ情報が得られるので、その地域で食べたい料理がどんどん増えます。それを目指してつい何度も足を運んでしまう地域があったりするため、全市郡制覇まではまだまだ時間がかかりそうです。目指す地域と料理によっては、食材の旬が細かく限定されるものもあるので(例えば、マツタケだったらシーズンが9月中旬から10月上旬までとか)、それを考えると何年がかりになるのか想像もつきません。焦らずゆっくり楽しみながら制覇していければと考えています。

八田靖史さん

韓国のあちこちを食べ歩きながら得た情報を、自分なりにどうアウトプットするのかが大きな課題のひとつです。2014年に「韓食ペディア」という百科事典風のウェブサイトを作り、地方料理の情報や、料理そのものの情報をまとめています。仕事の合間に少しずつ書いているので、その作業は遅々として進みませんが、これもライフワークのひとつと考えてじっくり臨むつもりです。また、韓国料理にかかわる韓国語を日本語に訳した、「韓国語食の大辞典」というコンテンツも制作しています。これは始めたのが2001年からというもっと長い作業になっていますが、少しずつ収集単語を増やしながら、同じく人生をかけてなし得たい仕事と考えています。

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