意外と簡単!? 親として子どもに伝えられるお金の教育【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

お子さんからお金について質問をされることありますよね。

知人は、新型コロナウィルスに対する経済政策である10万円一括給付のニュースを見たお子さんから、「そのお金はどこから出るの?」と聞かれたそうです。

実は、こんな時こそお子さんの金銭教育を始める良いタイミングです。
興味を持った瞬間を見逃さずに、段階的に少しずつ金銭教育を親として行いたいものです。

もし、ご自身の知識不足が気になるのなら、親子で一緒に学びましょう。
海外での金銭教育やわかりやすい参考サイトをご紹介します。
ご家族との時間が多い今の時期に、親子で金融教育を始めてみませんか?

 

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そもそも金融教育って何?

金融教育と言うと、投資をイメージする方もいらっしゃるかもしれません。

ウィキペディアには、

「お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じで自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やより良い社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である。
ウィキペディア「金融教育」より

とあります。

金銭教育とも呼ばれ、お金に関する仕組みを理解して、お金との付き合い方を学ぶものです。
金融教育=投資教育ではなく、世の中の仕組みの中で、お金がどう関係してくるかを知る大切な学びとなります。

コインを貯める瓶

 

なぜ子どもの金融教育はこれから必要とされるの?

金融教育は、世界でも様々な取り組みが行われており、今後ますます必要とされるでしょう。
子どもへの金融教育がなぜ必要になってくるのか、私は以下の2つの要素が大きく影響していると考えます。

1.時代背景の変化
昔は金融教育がなくても、仕事を頑張ることで給与がアップし、退職金が十分もらえ、年金で生活ができた時代がありました。しかし、今や終身雇用はなくなり、退職金は確定拠出年金での運用が増え、老後も年金だけでは生活は不安なため、自助努力が必要な時代になっているのです。

2.キャッシュレス社会でお金の価値を感じにくい
今やすっかり日常生活に定着した電子マネーは、小学生でも使いこなしています。

子どもが電子マネーを使って改札を通過すると親にメールが送られるので、セキュリティ面で安心な一方、気軽に電子マネーを使う機会が増えてくると、現金を目にする機会は減ってしまいます。
「ピッ」とするだけで色々な物が買えると思うと、お金は無限に使えると勘違いしてしまうようで、お金の大切さを感じにくくなっているのです。

それが心配で現金主義にしている方もいますが、日本もキャッシュレス化は今後どんどん推進されます。ここは避けて通れない道なので、ぜひこの機会に電子マネーで見えないお金を使っていることについて教えてあげるのが得策だと思います。

見えないお金を使う時代に誕生した子ども達は、その特性をつかんだ上で、上手に付き合っていく習慣を身に付けることが大切なのです。それが金融教育です。そして、その金融教育は学校だけに委ねるのではなく、子どもの一番身近にいる親の関わり方が大切だと言えます。

しかし、日本ではお金の話は昔からタブーとされ、「うちの資産っていくら?」「お父さんの給与ってどのくらい?」など子どもから聞かれると、「いやらしいなー!そんなこと知らなくていい」などと答えてしまうこともあるのではないでしょうか。

次に、海外での金融教育はどうなっているのかをご紹介します。

お金のことを子どもに教える母親

 

海外では金融教育がどのように行われているか?

a.イギリスの金融教育
イギリスでは5歳~16歳の義務教育の中に金融教育の視点も含まれているのです。主に4つのフレームワークを軸に、年齢ごとに学ぶ内容が深まっていくカリュキュラムが組まれています。

  1. お金の管理の仕方
  2. 批判的な思考のできる消費者になる
  3. リスク管理と勘定
  4. 金融が人々の生活で果たす役割

9歳~11歳の段階では、クレジットカードやデビットカードなど、日本では中学生で学ぶ内容も含まれます。損失やリスク、リターンのほか、貧困やギャンブルなど現代的な問題についても触れていて、知識というよりは社会の中でどうお金が関わってくるのかが系統立てて理解できるような教育になっているのです。
参考資料:イギリスにおける金融教育 北海道教育大学釧路校家庭科教育研究室 鎌田浩子

b.アメリカの金融教育
またアメリカの金融教育は、基本的には州ごとに決まっているようです。お金を稼ぐ、守る、貯蓄・投資する、使う、借りるための『パーソナル・ファイナンス』と呼ばれる知識が中心となります。

小学生から人生に必要な金融知識を学び始め、中学生では金利やインフレ等金融全般についても学んでいくのです。また、単に情報を与えるだけではなく、生徒が学習を通じて知識を身に付け、生活の中で直面する問題を解決できるようになることを重視されています。イギリスと同様に、授業を聞くというよりは、ロールプレイングやアクティビティ教育を取り入れています。

参考:知るぽると「英・米における金融に関する消費者教育」

 

金融資産の構成比の海外比較

金融教育の差が金融資産の預け先にも影響しているのが、以下の表からも読み取れます。
この表は、2019年8月に日本銀行調査統計局が発表した「家計の金融資産構成」で、日本と米国、欧州の金融資産構成を比較しています。

家計の金融資産構成
出典:2019年8月29日 日本銀行調査統計局資料「家計の金融資産構成」

米国の資産構成を見てみると、株・債券・投資信託への投資が全体の52.8%、保険や年金準備金が31.7%です。米国の現金・預金は約13%であるのに対し、日本は全体の53%以上となり、国による金融教育や親の投資意欲の違いが映し出されていると考えられます。

また、ユーロ(欧州)エリアにおいての現金・預金割合は34%ですので日本と米国の中間位となっています。

米国ではパーソナル・ファイナンスが浸透しているせいか、親が投資をしていることが多く、子どもも投資への抵抗を感じにくい環境だと言えるのではないでしょうか。

このように、世界の金融教育をリサーチしていくと日本とのギャップを感じます。

日本でも少しずつパーソナル・ファイナンスの授業も組み込まれてきているものの、ほんのごく一部に過ぎません。そのため、大事なのは家庭での金融教育です。

教育というと難しそうですが、単純に“親子でもっとお金のことを話していく”ことが大事なのではないでしょうか。

意外に簡単!?今日から始められる親子の金融教育サイト

親として金融教育を行う上で役立つ無料サイトがたくさんありのでご紹介します。
特に、動画やクイズ形式になっているものをピックアップしたので、お子さんの年齢や性格に合わせてご活用ください。

◎知るぽると
金融広報中央委員会による暮らしに役立つ身近なお金の情報サイト・ホシガリ姫の冒険幼稚園や小学校低学年対象。
すぐに新しいものを欲しがったり、物を大切にできていなかったりするお子さん向け。

お金の使い方について自然と身につく漫画の動画です。
物を大切する健全な生活習慣の身につけ方をわかり易く訴えます。

ママ&パパの金融リテラシーはどのくらいか?クイズ形式で診断してみましょう!
質問は5問なので5分もかかりません。お子さんが中学生以上ならぜひ一緒にトライして下さい。https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/literacy_quiz/
出典:知るぽると https://www.shiruporuto.jp/public/

◎ほぼ3分間劇場 熱血ケーザイ家族‼


小学高学年以上のお子さん向け。
全15話の動画。経済や金融について身近な話題からわかりやく学べます。中学生や高校生におススメ!
http://kinyu-navi.jp/movie/index.html
(証券知識普及プロジェクト)

◎こども向けおこづかい帳アプリ「ハロまね~親子で学ぶ子どものお金管理」
おこづかい帳機能だけでなく、お手伝いを見える化できる機能もあります。単価を決めておき、取り組んだお手伝いによっておこづかいを決める成果報酬制にも活用できます。

出典:三井住友銀行https://www.smbc-card.com/mem/cardinfo/cardinfo7010002.jsp
◎金融庁
・カネールのKIN★YOUランドなど
小学生向け。
クイズやゲームで楽しく金融のことを学べます。
ほかにも、中学・高校生、社会人別など対象別のコンテンツが充実しています。https://www.fsa.go.jp/teach/shougakusei.html・最低限身に付けるべき金融リテラシー
生活スキルとして最低限身に付けるべき内容に金融商品を利用する場合の項目などが一覧になっているので、親として知識を整理するのに活用できます。
1. 家計管理…適切な収支管理
2. 生活設計…ライフプランの明確化及び資金確保の必要性の理解
3. 金融教育及び金融経済事情の理解と適正な金融商品の利用選択
4. 外部の知見の適切な活用

出典:金融庁「最低限身に付けるべき金融リテラシーの4分野・15項目」
https://www.fsa.go.jp/news/25/sonota/20131129-1/01.pdf

いかがだったでしょうか?動画やアニメ、クイズ形式などが多く、親子で楽しく金融について学べます。参考に親子で見てもらい、色々意見を言い合ってみてください。

また、日頃から意識しておきたい5つの行動も挙げてみました。

日頃から意識しておきたい5つの行動

1. 家庭の中でお金の話をたくさんする
例えばお父さんお母さんが働いて収入を得ている こと、そのお金の使われ方について。また、今回の新型コロナウィルスで、どんな方たちが仕事の影響を受けているのか等を話してみましょう。
経済とお金について学べる機会です。

2. 子ども名義の通帳を作り、自身のお金を認識してもらう
通帳の作成から一緒に行うのが好ましいです。
お年玉を親が預かった場合も、勝手に入金するのではなく、子ども自身が預金をする体験をさせてあげましょう。

3.  お金の使い方に口を出さない
おこづかいやお年玉の使い方について、親が口を出すのは絶対にNG。
ただ、あまりにも気になる場合は、お子さんに「これを買ったらどんな気分になる?」や「これを買うとお金はいくらになるんだろう?」と聞いてみましょう。にその時の気分を確認したり、お子さん自身でお金計算したりして、それでも欲しいと思うのであれば子どもの意思を尊重します。

4.  将来使いたいものをイメージしながら貯める感覚を身につける
小学生の間などでは、お金をもらうと欲しいゲーム機など全部使ってしまう子もいるかもしれません。そんな時には、中学や高校になった時をイメージしてもらいながら、高額でも好きなものを買うためを貯めていくという意識を教えてあげることが大事です。
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5. 投資をする
お金に働いてもらうために、預金以上に利回りを出せる可能性がある投資について知識を持っておきましょう。
高度成長時代の日本では、銀行に預けていても金利が3%や4%となる時期もありましたが、現在の日本の預金金利は年0.001%と低いです。長期に渡って預貯金だけでなく投資を活用することで、将来的な資産を3%や5%にしていく可能性が高まります。

以上5つを揚げましたが、既に実行しているものなどありましたか?

金融教育も一辺倒ではなく、子どもの性格に合わせていくのが良いかと思います。
しっかり者の子もいれば、ざっくり勘定で後先考えない子もいます。その子のペースに合わせてやり、そして継続していくことが大事です。

先日、株式投資に興味があるわが娘へ、大好きな歌手のグループが所属する株式会社を例に話をしてみました。
上場株式や非上場株式、配当金について、たぶん普通に話をしていたら難しくて途中で会話がストップしていたかもしれませんが、好きなことだと頭に入りやすかったようです。
一度で完全に理解はしていないと思いますが、少しずつでも親として伝えていくことで子供は身についていくのだと感じた瞬間でした。

子どもが興味を示すものから、大人もその経済や社会へのかかわり方へと発想を膨らませていけたら、親子できっと有意義な時間が過ごせそうです。そうした小さな学びをコツコツと重ねていくことで、将来は大きな資産となります。

もし、投資をしたことがないのであれば、子どもと一緒に経験を積んでいくことからスタートしてみても良いでしょう。

最近は、共働き家庭も増えています。働いていることで、社会と接点が多くなるからこそ、お金を稼ぐ大変さを身に持って伝えたり、会社の成長性についても子どもと語れます。

世界の金融教育を見ると、日本は随分遅れていることは気がかりですが、少しずつでも時間を作り、子どもと一緒に金融教育に取り組んでみてください。

<出典>
・知るぽると:https://www.shiruporuto.jp/public/
・ハロまね~親子で学ぶ子どものお金管理:
https://www.smbc-card.com/mem/cardinfo/cardinfo7010002.jsp

 

水野圭子
水野圭子
金融機関を経て2010年にFPとして独立。マネーセミナーや企業研修講師として、賢いお金の使い方や貯め方、増やし方のノウハウを延べ3000人以上にお伝えしている。

最近ではキャリアとライフプラン、金銭教育をミックスさせた女性従業員向け研修も増加傾向ある。

FP相談歴は10年以上。

女性が経済力をつけて人生の選択肢がふえることを願い、去年からはネットラジオでの番組にて毎週マネー情報を毎週配信。

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