このコーナーでは、保険の選び方やお金にまつわる情報をお届けします。さらに、「お金に関するネタ」や「季節のネタ」、「ちょっぴり気になる女子の疑問や悩み」について、全国の男女にアンケート調査を行った結果や解説もご紹介。あなたの「知りたい!」に答えます。このコーナーを読めば、お金や保険、ライフプランについて詳しくなれるはず。
目次
保険を学ぶQ&A
夫21歳、会社員。妻20歳、アルバイトです。最近、妊娠が判明して喜んでいるところですが、貯蓄が少ないため、出産までにどのくらいのお金がかかるか心配しています。また、夫婦とも保険には入っていないので、どのような保険に加入すべきでしょうか。[/box]
【現在の家計収支】 | |
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収入(手取り) | |
夫 | 15万円 |
妻 | 8万円 |
合計 | 23万円 |
支出 | |
家賃 | 4万円7000円 |
食費 | 2万8000円 |
外食費 | 5000円 |
電気 | 5000円 |
ガス | 5000円 |
水道 | 4000円 |
通信費(2人分) | 1万2000円 |
日用品費 | 4000円 |
被服費 | 4000円 |
交際費(定期代含む) | 1万3000円 |
医療費 | 5000円 |
保険料(車) | 8000円 |
お小遣い(夫) | 1万円 |
お小遣い(妻) | 1万円 |
貯金 | 2万円 |
支出合計 | 18万円 |
貯蓄(夫) | 20万円 |
貯蓄(妻) | 50万円 |
妊婦健診費や出産準備費用は8~12万円くらい
まずは、ご懐妊おめでとうございます。ママが働けないあいだのやりくりは大変だと思いますが、若いパパとママで、元気に子育てができそうですね。まずは妊婦健診の費用から、出産までにかかるお金を説明します。
すでに妊娠届を役所、あるいは保健所に届け出られているはずなので、妊婦健診の受診票を受け取られたことと思います。この受診票は、14回程度の妊婦健診費を助成してくれる金券のようなものです。自治体によっては、受診回数に制限を付けず、無制限の助成をしているところもあります。
ただし、受診票で助成を受けられるのは基本的な検査項目についてです。すべて無料というわけではなく、受診票に記載されていない検査を受けたり、妊娠経過に異常が生じた場合には、自己負担が発生します。通常の妊婦健診は自由診療となり、健康保険が使えませんが、医療行為に当たれば、健康保険の対象となって3割負担になります。
妊婦健診費の助成が拡大されたことにより、妊娠が判明してから出産を迎えるまでにかかる個人的な支出は減っています。超音波検査についても、無料で数回、受けられるのが一般的です。妊娠を確定するための初回の健診費は自費になりますが、それ以降は妊娠経過が順調であれば、妊娠に関する健診費用の自己負担分は合計で2~3万円ですむと思います。出産準備品などの購入を含めても8万円から12万円くらいで収まるケースが多いでしょう。
なお、里帰り出産を考えている方への注意点をひとつ。里帰り先の自治体が居住地とは異なると、妊婦健診の受診票は使えなくなります。里帰り先の産院では、健診費も自分で支払います。
ただし、受診票が使えないといわれても、捨てずに必ず保管しておいてください。自費で払った分の領収書と未使用の受診票を、出産後に居住地の自治体に持参すると、その自治体の助成金額に合わせて、現金で払い戻してくれるからです(振り込みのケースもあり)。精算には出産後6カ月や1年などの期限がありますので、出産を無事に終えられてしばらくしたら、役所に出向いて手続きをしてください。
出産費用の全国平均額は50万5759円、42万円を超えた分が自己負担に
ここからは出産費用について、ご説明します。出産費用の全国平均額は、公益社団法人国民健康保険中央会の平成28年の調査によると、50万5759円になっています。都道府県別で出産費用が一番高いのは、東京都の62万1814円、逆に安いのは鳥取県の39万6331円です。平均額に20万円以上の差が出ています。
出産に関する助成制度としては、出産育児一時金があります。これは国が定める最低基準で、42万円の一時金が受け取れるという制度。健康保険組合や共済組合などでは「付加給付」と言って、出産育児一時金額が47万円や55万円になるなど、上乗せ給付をしているところもあります。
出産育児一時金の受け取りについては、直接支払制度を利用するのが一般的です。直接支払制度とは、産院から提示された承諾書にサインをするだけで、出産育児一時金を産院側が請求してくれて、受け取りもしてくれるというもの。出産育児一時金額を出産費用から差し引いてくれるため、退院時には出産育児一時金では不足する金額だけを窓口で支払えばよくなっています。
ここでも、里帰り出産をされる方への注意点を。ギリギリまで働いてから里帰りをするなど、転院先の産院では直接支払制度の手続きが間に合わなかった場合などは、自分で出産費用の全額を支払うことになります。出産入院の前に、30万円程度の入院保証金も必要になるでしょう。そして出産を終えたのち、加入先の健康保険に自分で出産育児一時金の請求をすることになります。なお、事前の手続きでも事後の手続きでも、受け取れる出産育児一時金額は同額です。
出産育児一時金がもらえることで、出産にかかる自己負担は軽減していますが、全額を補えない事実はあります。そこで産院を決められたら、「出産費用はどのくらいかかりますか?」と確認しておくことをお薦めします。確認する際は、平日の日中の出産だけではなく、休日や深夜になった場合の割増料金についても確認しておくのが望ましいでしょう。
ご主人様の死亡保障は、最優先で確保
最後は、保険の加入について。奥様が妊娠された時点は、ライフプランにおいてご主人様の死亡保障ニーズが最も高い時期に当たります。無保険のままでは、リスクが高すぎるということです。定期保険や収入保障保険などで、3000万円以上の死亡保障を確保しましょう。タバコを吸わず、中肉中背、血圧も高くなければ、リスク細分型保険を選択すると、保険料を抑えられます。医療保険の加入も検討してみてください。
妊娠中の奥様は、加入する保険を自由に選べませんので、無事に出産された後、医療保険への加入を検討したいところ。お二人目以降の出産の際に、入院や帝王切開手術なども保障も得ておきたいからです。ただし、お一人目の出産が帝王切開になった場合、お二人目以降の帝王切開手術については保障の対象外(免責)になることも知っておきたいところです。
(出典:保険クリニック「20代前半の新婚夫婦。出産までにどのくらいの費用がかかるかを知りたい。/ファイナンシャルプランナー 畠中 雅子」、妊娠や出産のお金をFPに相談、2018年2月掲載、(https://www.hoken-clinic.com/teach_qa/)