2020年の小学校の英語教育必修化まであと一年。グローバル化がすすみ、英語のスキルが当たり前に求められる世の中に変わりつつあることを、肌で感じることも多くなってきたこの頃、お子さんへの英語教育についてお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
英語と子育てについて、バイリンガル育成スクールの経営をしながら、「日本の子ども英語教育の改革」に人生を賭けて取り組んでいる羽織 愛さんに、今回から4回に渡りお話をいただきます。
1回目となる今回は、日本の英語教育についてお話いただきました。
目次
現在の日本の英語教育に潜む問題点
突然ですが、あなたは今の日本の英語教育は、良いと思いますか?
この回答、ほとんどの方が「No」というのが、今の日本の現状です。
私は英語教育一筋で生きてきたので、この20年間、英語教育に関わる様々な方とお会いして来ました。
それだけの人にお会いして来たというのに、英語教育に関心のある方で「日本の英語教育はこのままで最高!」と思っている方には、まだ一人も出会ったことがありません。
日本の英語教育が良くないと感じる大きな理由とは?
日本の英語教育が良くないと思っている「理由」にも、一つの共通点があります。
それは、「英語を話せるようにならない」ということ。
英語教育の関係者の方々は、「受験英語のための学習となっていることで、英語の実践力が身に付かなかった結果、国際的な舞台でのスピーチやディベートが壊滅的に出来ないことが問題だ」など、もっと難しい切り口で解説されますね。
教育関係者ではない方々も「中学、高校、大学まで行ったのに、英語しゃべれないもんね」などのコメントをよくされています。
このことから、日本人の大多数の人が、「学校で英語の授業を受けたのに、英語を話せるようにならない」という点においては共通した問題意識を持っている、ということが言えるかと思います。
これは、私達の抱える日本の英語教育問題の本質を突いています。
課題は誰もが知っている。
でも、解決策が全く知られていない、というのが、日本の現状です。
現在の日本の対応は?
「日本の英語教育では、英語を習っても話せるようにならないことが問題である」
今回は、この前提を元に、日本の早期英語教育に対する取り組みと、その課題について考えて見たいと思います。
1. 国の対応
実は文部科学省でも同じ見解をもっており、そのことから様々な取り組みが行われています。
2020年には小学校から英語科を必修化が決まっています。
小学校の指定英語教科書も、これまでの「異文化に親しむ」スタイルから大きく変わり、しっかりとした学習ベースの教科書へと変わりました。
また、ALTと呼ばれる外国語指導助手を増員し、外国人講師を招待!など、様々な対策が取られています。
この働きによって、直接的、また間接的に英語教育に関わる全ての人にとって、「日本の英語教育は変わらなければならない」「日本の英語教育をどうにかしないとならない」という意識がさらに強くなりました。
しかしもう一度、根本に戻ってみましょう。
果たしてこの取り組みが、子どもたちが自分の言葉として「英語を話せるようになる」ことに繋がっているのでしょうか?
2. 親としての対応
疑問をしっかりと残したまま、今度は親の対応について見ていきましょう。
国の政策はほとんどの日本人に影響があります。
当然、小さなお子さんをお持ちのご家庭の多くが「小学校から英語が本格化する」という情報をキャッチして、英語教育に対する関心を強めています。
幼児の頃から英語を習わさないと!と思って、子ども英語教室に行く方。
自分で教えてしまおう!と、子ども英語サークルを開く方。
最近では「いやいや、お家で英語を教えることこそがベスト!」というママさんがブログで情報を発信して、なんと団体として勢力を増し、「お家えいご」という新ジャンルまで確立されつつあるとか。
ご家庭で英語に取り組む方法もそれぞれで一概には言えませんが、やはり私は根本的な質問を問いたいと思います。
「それで日本の子ども達が、英語を話せるようになっていますか?」
3. 民間の教育提供者の対応
民間の英語教育はどうでしょう。
この記事のパターンが分かって来ましたか?
この際、省略して、単刀直入に行きましょう。
子ども英会話スクールって「英語を話せる子が育っていますか?」
本当に必要なのは「話せる英語」
様々な日本人の大人が、様々なアクションで反応をします。
でも、日本の子ども達が英語を話せるようになっていないのであれば、それは日本の英語教育の改革としては失敗です。
国際社会は進み、日々、英語の需要は高まっています。
英語はもはや、帰国子女だけの特権能力でもなければ、話せるとカッコいいオシャレな技能でもありません。
まして、日本国内でしか通用しない学力試験のためだけの教科でなどあってはなりません。
英語は現代社会で必須の能力であり、もっと生活に根ざしたコミュニケーションツールであるという認識が必要です。
そのためには「英語を話せるようになる」英語教育が必要なのです。
日本の英語教育に必要なのはイノベーション
今の日本の英語教育についての問題意識は、実は多くの方が本質を突いて理解している。
海外に行ったことがある方なら、英語圏でもないのに人々が英語を話す国が多いことに驚いた経験があるのではないでしょうか。
残念なことですが、日本人の英語コミュニケーション能力の低さは世界中で有名です。
これまでの英語教育法のまま、学習時間だけを伸ばしても、期待するような革新は起こりません。
日本人の英語教育は、海外の方法論をそのまま持ってきただけでは通用しないのです。
既存の方法が通用しないことも、また明らかです。
日本の英語教育のこれまでの歴史を紐解き、また、世界の英語教育法を学び、その中で日本人に有効なエッセンスを取り出し、最適な形で指導法として確立する、新しいアプローチが求められています。
つまり、ここで肝要なのは、問題提起でも改善策でもなく、「解決」のための戦略です。
今の日本の英語教育に必要なのは改善策ではなく、破壊的な創造、つまりイノベーションなのです。
指導法と学習法、外国語に対する意識を根本から変える大革命が求められています。
理論と方法だけは分かっているので、これからの連載で、その手法について解説していきたいと思います。
次回は英語は何歳から学ぶと良いの?日本語に影響はあるのか、についてお話をします。
羽織 愛
SUNNY BUNNYバイリンガル育成スクール代表
バイリンガル育成スクールの経営をしながら、「日本の子ども英語教育の改革」に人生を賭けて取り組んでいる。自身もレッスンに入り、子どもたちに英語を教えることもあり、情報を多角的に取ることを常に意識しながら、日々勉強と実践を繰り返している。
■SUNNY BUNNY バイリンガル育成スクールhttp://sunnybunnyinfo.com
■「輝く人の生き方とは?」のコーナーでもご紹介。
https://media.hoken-clinic.com/interview/8006/