高知県にお住まいで、ボディセラピストとしてご活躍中の小川珠美さん。彼女が、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。
小川 珠美(おがわ たまみ)さん
高知県在住
ボディセラピスト。NPO法人 日本妊産婦整体®︎ JSRA認定妊産婦アロマケア・補完セラピストトータルコース終了自宅、出張にて施術、よもぎ蒸し、女性の身体についてのお話会などを開催。
夫、長男4歳、次男0歳3ヶ月の4人家族。
Asyl(アジール)ホームページ
https://tamasyl.amebaownd.com/
目次
自分の出産経験も生かした仕事
自分自身の妊娠出産体験や、周りのママさん、お客様の不調に対応していくうちに、妊娠中と産後のケアは必須だと感じ、そんな中、NPO法人 日本妊産婦整体®︎に出会いました。
妊産婦整体の技術を取り入れたリラクゼーションで、主に妊娠中、産後のストレスケア、逆子や切迫早産、妊娠中ならではのマイナートラブルのケアをしています。お客様からの安産報告は、他に代え難い喜びです!
妊娠中、母体を整えることが赤ちゃんが育つ環境を整えることになり、妊婦さんが自身の体調に気を付ける事がお腹の中からの子育てに繋がると思います。また、トラブルを未然に防ぎ、安産のための準備になります。最近妊産婦さんのトラブルが増えていますが、出産前からの継続した身体のケアで、現代ならではの安産準備が可能になるのではないかと思っています。妊娠出産を健やかに過ごすことができると元気に子育てに入っていけますので、産後うつも減りそうですよね。
私自身はと言うと、今は0歳児の子育てと家事などで手一杯で、夢中になっていることはないのですが、2人目の妊娠中は、妊娠そのものに夢中になっていました。誰もが無事に出産できるわけではありませんので、不安もありましたが、妊娠しているだけで幸せいっぱいでした!
2回の出産で体感したこと
1人目の出産は、疲労困憊で大変でしたが、周りに自宅出産している友達がいたこともあり、出産にはもっと可能性があるだろうと思い、世界の出産や子育てについて調べたり、良いと思った事は自分の身体でとことん実験したりしました。また、妊産婦整体を自分でも受けて、定期的に身体のメンテナンスをしました。プロの施術を受けると本当にお腹がぐっと上がり、背筋が伸び、体調が良くなるのを自分の身体で体感。特にケアしなくても元気な気がしていたのですが、結構疲れていましたね。私のように自分が疲れていることに気がついていない妊婦さんは多いと思います。疲れたまま出産になったら大変です。改めて妊娠中の身体のケアの重要性が骨身に染みました。
出産準備は完璧にできたと言うわけではありませんが、振り返ると随分取り組んだなぁと思います。おかげで手応えを感じる出産となり、病院に着いて30分で3612gの大きな男の子を産むことができました。陣痛が過ぎ去った後の身体は安らかで、本当に私の身体から出てきたとは思えない大きな赤ちゃんが側で眠っていて、とても不思議でした。
そもそものきっかけは、一人目の産後が辛かった事。妊娠中は元気だったのに、産後は出産の疲れ・初めての育児による緊張・お産のダメージでボロボロに。初産で5時間半とスピード出産で、一見元気に見えていたようですが、立ち直りに何ヶ月もかかりました。その時、急に、「人生って本当に有限なんだ。身体には動ける時と動けない時がある。辛くても自分の身体からは逃れられないんだ」と思ったのです。
それからは、もっと自分を大事にしよう、2人目の時はもっと準備しよう、と思いました。妊娠、出産、産後について自分の体で実験できる機会はなかなかありませんので面白かったです。妊娠後期はいよいよ出産かと思うとちょっとナーバスになったり必死になったりもしましたが。
大切なのは「何を止めるか」を決めること
無理をしないこと、身体と相談すること、エネルギーの使い道をシビアに考えて、何を止めるか決めることを意識しています。私は妊娠している時の方が普段よりも調子が良くて元気ですが、それでも妊娠中は疲れやすくなったり、眠くなったりします。赤ちゃんを育てるために、妊娠しているだけで物凄い量のエネルギーを必要としているんですよね。妊娠が進むにつれて、妊娠だけに集中する時間を増やしていきました。仕事や家族の用事があり、難しかったですが、妊娠中のエネルギー配分は一番大事だと思います。
また無理なく身体作りができるよう、トレーニング表を作り、よもぎ蒸し、こまめに散歩、体操、呼吸の練習をしたり、出産動画や、赤ちゃんの回旋の説明動画を見て何度もイメージトレーニングをしたり。お腹の赤ちゃんとのコミュニケーションも大事ですね。妊娠生活そのものが出産準備なので、何か凄く特別な事をしたというわけでもない気がしますが、特に妊娠後期は身体の状況を丁寧に見ていました。
妊娠中に限らず、自分の身体と心をよく観察する事で、私は健康管理をしています。例えば強烈にアイスが食べたくなった時、食べた後細胞が喜んでいるか、甘すぎて気持ち悪くなっていないか、等体感を観察したり。心に関しては、我慢や、やりたい事をほったらかしにしていないかとか。ちょっとした抑圧も積もると身体に良くないですね。
観察すると大体の自分独自のパターンが掴めてきますので、今の調子がわかります。食生活は5分搗き米にお味噌汁が基本で、その時食べたいものを食べます。地味なご飯が好きで、鳴門わかめにすだちなんか、最高ですね。健康のためというよりは、子どもの頃から好きなものを食べている感じです。
詩吟でストレス解消!リラックス!
私の一番のリラックス方法は、車の運転中に詩吟を練習する事。知人に誘われて4年ほど続けています。
詩吟は地声で歌うのですが、身体が楽器のように気持ちよく鳴るので、スッキリしますね! 歌っていて涙が出るような、自分を引き上げてくれる歌にも出会うことができました。もともと三味線をしていたのですが、赤ちゃんとの暮らしの中では楽器練習が難しくて詩吟を始めました。
詩吟は身一つで隙間時間に練習でき、子育てしながらでも充分スキルアップできるのが魅力です。詩吟を始めるまでは人前で歌を歌う位だったら逃げ出したいほどの音痴でしたが、今は1人で舞台で歌っているのでちょっと信じられない感じです。
また、着物を着るので身体が修練されますし、呼吸法としても優れています。陣痛が来た時は人目を気にせず、ずっと詩吟を歌っていました。なんと、痛みが軽くなるんですよ! 助産師さんに「呼吸法完璧ですね!」と褒められました。他には家の近くを散歩して田舎の絶景を眺める事、運転しながらのYouTube学習も、子育て中にホッと一息つけるリラックスとストレス解消になっています。
やりたいことは、まだまだたくさん!!!
今後は家庭と仕事をうまく回して行く事が、私にとっては物凄い冒険だと感じています。しばらくは家庭生活に重心を置きながら、コツコツとスキルアップを積み重ねて、いずれは妊婦さんと産後の女性がプロの手で継続的なケアを受ける事が当たり前という文化を作っていけたらいいな、と思っています。
特に産後1ヵ月はただ休養するだけではなく、出産のダメージから回復し、次もいい状態で妊娠できるように身体を作り直していく時期。女性の一生を左右する非常に大事な期間だと思いますが、ケアを受けるよりも睡眠をとりたい、というのが現状かなと。できる限り安全に、産む人が安心して妊娠、出産、産後を過ごせる環境を、少しずつ作っていきたいです。赤ちゃん、子どものケアもチャレンジしたいですね。
今後やりたい事は沢山ありますが、今は目の前の赤ちゃんとの暮らしを粛々と、という感じです。乳児育児は大変ですが、1人目の時とは考え方も変わり、「頑張って生まれてきたね! 私たちの所に生まれて来てくれてありがとう!」という気持ちが根底にあります。
何にチャレンジするにも家族がベース。よく振り回してしまいますが、夫と子どもとは家庭という濃密な文化を共有できる仲間ですので、これからも仲良くしていきたいと思っています。
子どもたちを育み、家庭という地盤をしっかり作るのが、直近の目標。小さな子と暮らす事で、世の中の見え方も暮らしもすっかり変わったので、夫と子どもにはとても感謝しています。畑仕事が好きなので、畑も欲しいですね。赤ちゃんの授乳やお世話で家から出ずにクタクタになる日も、着物をビシッと決めて舞台でライトを浴びる日も、全て大切な人生の1ページ。キラキラした華々しい時間、ぐちゃぐちゃでお疲れの時間。どちらも受け入れ、面白がってワクワクしている自分でありたいです。