夢はオーガニックビレッジを作ること。家族や友人に気づかされたオーガニックの力を信じて/ボンド亜貴さん(Bond&Co.代表)

輝く人の生き方とは?

福島県で、オーガニックのお米や減農薬のお米を販売している会社の取締役をつとめ、そのお米の加工品を販売する会社の代表もつとめていらっしゃるボンド亜貴さん。彼女が、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。

ボンド亜貴(あき)さん
(有)すとう農産 取締役
Bond&Co.代表(米加工品、酒、農作物加工品販売)
みけつかみ(農業女子を主とした農業の任意団体)代表
小法師46(お米を生産している農家のおじいちゃんグループ)マネージャー
夫、両親の4人家族

Bond&Co. ホームページ
https://www.bondcafeaizu.com/

目次

今の活動スタイルが、自分自身とっても風通しが良いのです

現在、私の活動は主に4つあります。

1つめは、(有)すとう農産の取締役。(有)すとう農産は、主にオーガニックのお米、減農薬のお米を販売している会社です。一昨年から農薬不使用(一部を除く)でエディブルフラワーも生産を始め、現在もう一つの主力製品にすべく、悪戦苦闘しながら育てています。

2つめは、Bond&Co.の代表。この会社では、先のすとう農産のお米を加工したもの(オーガニックのお米を100%使って醸した「ロハ酒」等)を販売しています。私と夫で、2019年12月に立ち上げました。

3つめは、農業女子グループ「みけつかみ。」のメンバーとしての活動。メンバーは入れ替わりながらも、現在はオーガニックを主とした農作物を作っている人々が集まっています。情報交換をしながら、作物をどう健康に育てるか、育った作物でどんな6次化商品をつくるか、どう販売するか、どのようにお客さんと関係をつくるか、などいろいろなテーマを話し合う場所になっています。

4つ目は、「小法師46」という会津でお米を作り続けている農家のお爺ちゃんグループのマネージャーです。お爺ちゃんを元気にイキイキと輝かせたい!と思っています。「お爺ちゃんをアイドルにしよう!」と、野球部のマネージャーのように彼らをサポートしています。

2つの仕事を含め全部で4つの活動を一度にしていますが、私にとってこれは普通のスタイル。10年以上過ごしたポーランドでは、基本的に、皆が仕事を3つ以上持っていました。というのも、仕事を自分のライフスタイルに合わせていくのが一般的なのです。だから私の今の状況は、1つの仕事にずっと従事しているころより風通しが良く、到達目標も成果も見やすく、快適だと感じています。

ポーランドで変わった私、でも折り合いのつけ方が難しいのも現実

実は私、子どものころはすごく内気で、ずっと本ばかりを読んでいる子どもでした。
本を読むこと、その世界を想像することが大好きだったんです。ただ、実世界は想像の世界とあまりに異なっていて。あまり上手に話すことができなかったから、いじめにあったりもしていました。だから、次第に自分の世界を表現できる美術に没頭していきました。

しかし大人になるうちに、だんだんと社交性の無さを克服していき、ポーランドへ渡航。現地での生活で、日本人並み以上の社交性と行動力を身につけました。そして気づいたのは、「自分が想像している世界は、絵や美術作品だけにとどまらず努力次第で現実化することができる」ということ。そして、「それを商品やサービスにすることができれば、人々に喜んでもらえる」ということ。そう気づいたら、子ども時代の自分がまるで虚像かのように、どんどん楽しくなっていきました。

ポーランドでの生活が、今の私を作ったと言っても過言ではありません。
とは言っても、「現実との折り合い」をつけることには難しさも感じています。農作物をオーガニックで育てるには、まだまだ知識や経験が不足。6次化商品を作るにしても、オーガニックの素材ばかりで構成してしまうと、とても一般消費者の手に届く価格ではなくなってしまう。「じゃあ、そこの溝をどう解決するの?」という問題は、いつも直面しています。その解決方法は、その時その時で様々異なりますが、迷った時に私が立ち戻るのが「自分の夫にここまでなら食べさせても、自分は後悔しない」という感覚基準です。愛する人を私はどこまで守れるのか。その「ブレない軸」をどこまでなら自分は許せるのかを常に意識しながら、「お客様に納得してもらえるかどうか」を常々考えるようにしています。

大好きな読書、一人でのダンス、それが私の健康法

自分自身が変わったと思う部分は多くありますが、やはりいくつになっても「一人きりで読書に浸る時間」というのも、私が私に立ち返る場所になっています。時間がなくても、朝か就寝前の15分だけは読書時間を設けたり、余裕があるときは喫茶店へ本を読みに行ったりしています。

あとはダンスをすること。これも、私のストレス発散方法です。農作業は男性性が強い作業が多いので、意識していないと「女性らしい仕草」などが消えてしまうような気がしています。特に私の場合は、「自分でバランスがとれていないな……」と感じることがあります。だから、男性性・女性性のバランスが取れていないと思ったら、一人で音楽をガンガンかけて10分でもダンスを踊るようにしています。

家族の病気、友人の病気をきっかけにオーガニックを強く意識するように


健康のために私が意識的に行なっているのは、できる限りオーガニックの食べ物を育て、家族で食べること。できるだけたくさん幸せを感じる努力をすること。できるだけ笑顔でいること。農作業をたくさんすること、農作業がない日はジョギングなど有酸素運動をすること。

私がこんなにもたくさんのことを、日常生活の中で心がけるのにはいくつかの理由があります。

ひとつは家族のこと。私の父は末期がんで、お医者さんからはもう治療法がないと言われています。また主人も多発性硬化症を患っていて、人体が耐えうる限度が3回といわれているハードな治療を既に3回してしまい、もう他の治療法はない状態です。

もうひとつは、12年間住んでいたポーランドでの出来事。現地の友達が、2012年に29歳の若さで白血病になり、余命1年を宣告されました。その時ポーランドのお医者さんは「できるだけオーガニックのものを食べなさい、衣類もオーガニックコットンを主に。シャンプーや石鹸、洗剤などもオーガニックにして身体への負担を極力抑えてください」と友達に伝えたそうです。私が彼女にできたことは、一緒にマーケットへオーガニックの野菜や、野生の動物、健康な野菜を食べて育った動物のお肉、天然の魚を買いに行き、一緒に料理して食べること。そうこうしているうちに1年が過ぎ友達が精密検査を受けた結果は、なんと「白血病細胞がなくなった」のです。こんなことはお医者さんも前例がなく、どうしたらいいのか分からないとも言っていたそうです。

もし、彼女の奇跡の一部がオーガニックによるものなら、私はそれを大事にしたい。ポーランドの友人の一件から、日本の医療関係における食べ物に関する言及は「魚はいいけれど、お肉はダメ」という基準になりがちですが、そうではない「健康を守る基準」の存在に私はびっくりしました。そしてその時、自分の両親の行動を思い出したのです。なぜ両親が、必死になってオーガニックを守ってきたのか、とても納得がいきました。だから今、私は「オーガニックの力」というものを、一人でも多くの人に伝えたいのです。

いつかはオーガニックビレッジを作りたい

いつかオーガニックビレッジを作りたいですね。
イメージは、オーガニックに興味があり、そこでの衣食住を楽しみたいという人々が集まる場所です。住んで農業をしてもいいし、オーガニックのシャンプーなどの商品を作ってもいい。オーガニックの知識を伝えるワークショップやサービスを生業にしてもいい。もちろん、非日常を味わいに一度だけ観光にきてもいい。「オーガニック」をキーワードに、環境を壊さずサステナブルにどう生きていけるかを創造的に作る場所を目指したいです。

同時に、健康のためには私が意識的に環境に対する知識を深めたいと思っています。私がやりたいのは、人を守り、環境を守ること。私はまだまだ環境に対する知識が少ないので、何をすれば環境を汚し、何をすれば改善していくのかを知っていく必要はまだまだあると感じています。

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