ワクワクの創造、宇宙を考えることに全力を尽くす/岩崎祥大さん(宇宙開発ベンチャー企業 最高技術責任者)

輝く人の生き方とは?

大阪府にお住まいで研究者、ベンチャー企業(最高技術責任者)としてご活躍中の岩崎祥大さん。岩崎さんが、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。

岩崎 祥大(いわさき あきひろ)さん

研究者
宇宙開発ベンチャー企業 株式会社Yspace CTO (最高技術責任者)
関西大学非常勤講師
大阪府在住。母(64歳)、叔父(69歳)、叔母 (66歳)。

学研家庭学習応援プロジェクト マナビスタ「ロケット博士イワサキの宇宙Q&A」 

新型コロナで入院
新型コロナで入院

惑星探査用のロケットを設計開発しています

2020年秋から、株式会社Yspace (ワイスペース) にて、月惑星探査に有用なロケットの開発事業を立ち上げています。従来のYspaceは、合同会社として宇宙に関するVRコンテンツを提供する会社だったのですが、私の入社と共に大きく方針転換をしました。

ロケット事業に対する私のモチベーションは、宇宙開発の中でも地球周回軌道を超えた「月や火星などへの人類のフロンティア領域を拡大すること」です。しかし、それに挑戦しようとすると莫大なコストと技術力、失敗にもめげない挑戦力が必要となります。

私は前職の宇宙航空研究開発機構 (JAXA) にてロケットの研究開発に携わっていましたが、それだけではフロンティア拡大には何もかも足りず、民間企業の立場でたくさんの人たちと協力し、時に地道に研究開発を進めることが大切だと考えるようになりました。

現在の私の主な仕事は、JAXAや宇宙開発企業の方々と一緒に惑星探査用のロケットを設計開発することです。どういうロケットを作ればよいか計画を練ることもしますが、実際にロケットエンジン開発やロケットに搭載する電子機器開発ではエンジニアとして動きます。 この仕事は、以前に宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 宇宙科学研究所においてロケットエンジンの燃料に関する研究で博士号を取得し、同研究所の研究開発員としてロケットの研究開発や惑星探査プロジェクトの立ち上げを行ってきた経験に基づいています。 そのほか、地球と月や火星などの間でたくさんのロケットが往復するような、100年先の世界はどのようなものか想像をめぐらし、今の技術では太刀打ちできないことには先手を打って大学で研究を行っています。

仲間と一緒に「火星サンプルリターン計画」

今、大学院の近い世代の研究者仲間たちを中心に、火星からの土壌サンプルを持って帰ってくる計画 (火星サンプルリターン計画) を立てています。まだ人類すらも降り立ったことがない火星から土壌サンプルを持って帰ってくるためには、人がいなくても自動で火星地上から飛び立つロケットが必要です。

最近、NASAの火星探査機「Perseverance (パーシビアランス) 」が火星地上に降り立ちましたが、土壌サンプルを持って帰るというのはNASAでもまだ計画段階です。それでも、日本でこれまで達成してきた技術レガシーをかき集めれば、NASAができないことだってできると確信しています。

私が夢中になる火星サンプルリターンの計画は、JAXA所属時に同じくJAXAで研究していた大学院の同期から誘われて2人で始動しました。元々、同じ関西出身ということもあって仲が良かったのです。同期からの口説き文句は「生命の欠片が入っているかもしれない火星の土壌サンプルを狙う。世界で初めて地球外生命体を見つけたら、人間の価値観は大きく変わるよ!」でした。 それまでの私はロケットに関する研究開発や基礎研究が興味のほとんどで、宇宙探査ミッションは「科学技術の究極で、心身ともに疲れ果てるもの」と思って避けていました。しかし、同期の言葉はそんな当時の私にとって衝撃的で、もう一度自分の宇宙開発へのモチベーションを確かめるきっかけになっています。

JAXAを辞めて、ベンチャー企業でのロケット事業を立ち上げたのも、全てはこの火星サンプルリターン計画がきっかけです。自分の得意な分野で研究しているだけでは、誰もしたことがない宇宙探査ミッションなんてできるはずがありません。ベンチャー企業として背水の陣のつもりでロケットを一から考え直しています。 また自分やその周りの人だけで頑張っていても、世の中は何も変わりません。勇気を出して、これまで宇宙開発とは関わりが薄かった業種の方や今の日本の宇宙開発を創り上げてきた偉人の方々、たくさんの人tたちとコミュニケーションを取って宇宙開発のあるべき姿を考えています。

マッサージでリラックス、健康管理も大切な仕事

リラックスタイムと言えば、家の近くにある個人経営のリラクゼーションマッサージのお店に通う時間でしょうか。マッサージで身体をほぐしてもらうことも勿論ですが、お店の素朴で柔らかいエスニックな雰囲気や、施術が終わった後の仲の良い店長さんとのお茶の時間が、仕事を忘れさせてくれます。 研究者という職業上、何をしていても壮大な宇宙探査計画から目の前の研究結果の考察まで様々な事柄が頭から離れてくれません。そのせいもあって、店長さんの施術で自律神経を整えてもらい、アロマのことを教えてもらったり、雑談を交わしたりしていると頭がスッキリしてきます。店長さんがどんどん宇宙に興味を持たれており、結局雑談の話題が宇宙になるときもありますが、それはご愛嬌です。


また、私にとっては健康管理も大切な仕事です。と言うのも、ロケット開発というのは、つまるところ体力勝負の部分があります。ロケットの打ち上げや実験ができる場所というのは国内でも僻地ばかりで、しかも長期間実験施設と近くの宿との往復のみになります。危険と隣り合わせの開発の中で疲労や心労がどんどん溜まってしまい、体調を崩すどころか、正しい判断ができなくなったりもします。私もある時宿に帰ると突然高熱を出して動けなくなってしまい、大変な目にあった経験があります。 それ以降、開発業務中は意識して、まずは体調を崩さないように、朝はしっかりシャワーを浴びて目を覚まし、冬は身体を冷やさないように万全の防寒対策をします。またストレスにも気を付け、お昼休みには実験場内を一人で散歩することにしています。

月面都市を作るのが夢

これから先、世界中の企業・学術機関と協力して、月面都市を作りたいと思っています。その中でも月面にスペースポート (宇宙港) を作って、月の上でロケット機体を組み立て、ロケットの燃料を充填して、自由に宇宙空間に飛び立つようなシステムを作りたいです。人が月や宇宙で暮らすなんて空想の世界と思われるかもしれませんが、その空想の世界を本物にしていってくれるのがロケットだと思っています。実際、地球は大気がある分ロケットで宇宙へ飛び出すには効率が悪くて、大気の無い月の方がロケットを飛ばしやすいとにらんでいます。 まさかと思われるかもしれませんが、全国の学者・有識者が集まって、本気で月面都市計画を考えている最中なのですよ。

私は宇宙の不思議や謎よりも、宇宙実験で成功した時の飛び上がりたくなるような喜び、またその喜びを分かち合った仲間とまた次の挑戦をするワクワク感が好きで、宇宙開発をしています。その時の感情というのは何物にも代えがたいですね。一方で、宇宙開発はどうしても苦労や下積みと合わせて語られがちです。ですから、心身共に健康に気を付けて、自分も仲間もドロップアウトしないような働き方で挑戦ができればと思っています。決して一部の人の夢ではなく、多くの人たちそれぞれの等身大に合わせた「ワクワク」を繋げていき、最後に大きな人類の第一歩になれば嬉しいです。できれば、その第一歩が火星から世界初の地球外生命体を持って帰る、私の作ったロケットであるように頑張ります。

 

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