住宅購入時に初めて気づく夫婦の価値観のずれ。どう乗り越える?【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

人生における大きな買い物として「住宅購入」が挙げられます。とは言え、住宅購入資金を現金で支払える方はごく限られた人ではないでしょうか。多くの方々は、住宅ローンという多額の借金を背負ってする買い物となります。不安や心配が大きくなるのもうなずけます。

住宅、あえて“マイホーム”と呼ばせていただきますが、理想のマイホームは人ぞれぞれです。「家を買う?買わない?」「このまま都会に住むべきか?田舎に引っ越すか?」などマイホームに対する考え方は、長年連れ添った夫婦と言えども同じ方を向くとは限りません。実に厄介な買い物と言えるでしょう。

このコラムでは、家計相談事例なども交えつつ、住宅購入時に起きがちな夫婦間の価値観のずれやコミュニケーションの取り方、コストの見積もりの落とし穴などについてまとめました。これから家を買いたい方は是非ご一読を!

 

新型コロナで入院
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子育て世帯の関心事はこの2つ!

子育て世帯の重大関心事は、ずばり「住宅購入」「教育費の準備」です。
関心が深いテーマゆえ、夫婦間で議論がヒートアップしやすいようです。実際に、家計相談時にご夫婦互いに意見を出し合ううちに「えっ?そんな風に考えていたの?」とばかりに驚きをあらわにする場面も……。

住宅街

「子どもの入学までに家を買いたい」妻と「賃貸暮らしのほうが身軽でいい」と考える夫を例に挙げるまでもなく、マイホームについて二人話し合う中で、持ち家に対する互いの考えのずれにはじめて気づくケースは少なくはありません。

長期に渡り準備が必要な資金は、夫婦のどちらか一方の努力で貯めきれるものではありません。夫婦間で早めに話し合いを行い、考え方をすり合わせる必要があります。

今回コラムでは「住宅購入」に的を絞り、どんな点に注意すべきか、コミュニケーションエラーを引き起こさずにどのように話し合うべきかなど順にお伝えしたいと考えています。
最後までどうぞお付き合いください。

「持ち家か、賃貸か?」最初の確認事項はコレ

我が家は、結婚と同時に住宅を購入した口で珍しいケースかもしれません。ですが、その後妊娠し、「子育てをする家として今の住まいは適当なのか」夫婦で話し合った結果、「所有マンションの売却→戸建て注文住宅建築」となりました。

この経験から言えることは、家族構成が変われば住まいの要件は容易に変わり得るということ。理想のマイホームを考えるのはこれからの家族とその暮らし方を考えるに等しいと言えるのではと考えています。
そういった意味で、お子様のいるご家庭とって今後の家をどうするか考えることはとても自然な流れではないでしょうか。

ただ、家を「所有するか」、「借りるのか」。選択肢がありますよね。
住宅ローンの借入をするとなれば、何十年にもわたって住むエリアが固定され、借金を背負うことになります。夫婦でこれからの生活プランを話し合う最初のテーマとして、「持ち家か、賃貸か?」。ここからはじめるのがやはり妥当だと思います。

注意してほしいのは、「持ち家と賃貸、どちらが得か?」といった損得勘定で話しを切り出さないこと。ご夫婦が死ぬまでに必要な住居費というお金ベースで考えると<家ありきの暮らし>となりますが、それがご家族の幸せにつながるかは別物だからです。
この後、あるご家庭のケースをお話させていただきますが、自宅を資産としてみるか、理想の暮らしの入れ物として考えるかで方向性が変わる可能性大だからです。

話し合いの際には、「家族とどのような暮らしをしたいのか?」ここからスタートすることをおすすめします。

戸建てとマンションで異なる総住居費

夫婦で話し合いを進めた結果、住宅購入という結論に達したと仮定しましょう。
よくありがちなNG例をまず書くと、住宅展示場やマンションのモデルルームに出かけてざっくり毎月の住宅ローン返済額を営業職員に試算してもらい、「家賃並みだし買っちゃおうかな」。これは、典型的なNGです。

「いつまでに」「どれくらいの予算で」家を買うか。
我が家の家計収支をシビアに確認する。今後の夫婦の働き方を話し合う。物件のイニシャルコスト、ランニングコストをしっかり調べる。そのうえで購入予算を立てるところからスタートすることをおすすめします。

電卓と間取り図

とは言え、家を買うという経験は人生でそう何度もあることではありません。
物件価格という目立つ大金に隠れ、抜け漏れが多いのが物件価格以外の「イニシャルコスト」、「ランニングコスト」部分です。

詳細な説明は省きますが、こんな項目が発生する可能性があります。購入予定するエリアや物件で下記費用がかかりそうか一度ご確認ください。

【住宅購入時にかかる費用(イニシャルコスト)】
税金(印紙税、登録免許税、消費税、不動産取得税)
登記手数料
不動産仲介手数料
ローン事務手数料
保証料
団体信用生命保険料
つなぎ融資の手数料・利息(注文住宅の場合)
外構工事費用(戸建ての場合)
リフォーム費用(中古物件など必要に応じて)
自家用車購入代金(立地によっては2台目が必要に)
修繕積立基金(一時金/マンションの場合)
水道引き込み工事や浄化槽設置費用(立地による)
カーテン工事・照明工事費
家具や家電等の購入費
引越し費用

【住宅購入後にかかる費用(ランニングコスト)】
固定資産税(毎年)
火災保険料(保険期間による/最長10年毎)
管理費(マンションの場合)
修繕積立費(マンションの場合)
駐車場代・駐輪場代
ケーブルテレビなどの雑費
町会費

ご相談者のお話を聴いていて気がかりなことに【住宅のランニングコスト】の想定が少し低めのご家庭が多いように感じています。

たとえば家の設備が壊れた場合、賃貸住宅であれば、仮にエアコンが壊れたら貸主負担で直してもらえばいいところを、持ち家となればすべて自腹です。憧れのウッドデッキも、メンテが必要ですしいずれ木材が腐り撤去費用が発生するかも。ボイラーなど水回り設備が壊れたら修繕費用や最悪交換費用が発生します。安易に「家賃並み」の住宅ローンが組めないのはこうしたことから明らかですよね。

また、マンションを購入したい方が特に気にすべき点として、「管理費」や「修繕積立費」が挙げられます。この2つは正確には固定費ではありませんが、固定で考えている方が多いからです。

管理内容や受託会社が変われば管理費は変わりますし、修繕箇所が多くなれば先々修繕積立費が値上がる可能性も秘めています。そもそも長期修繕計画上10年毎の費用改定が想定されている物件もあります。計画をきちんと確認してみてくださいね。

購入したい物件の管理費や修繕積立費だけでなく、同じエリアの他の新築物件や購入エリアの築年数の古いマンションの管理費なども確認されることをおすすめします。

一般的にはマンションの先々の総住居費は、ある程度の値上がりを想定してシミュレーションすることをおすすめします。戸建てなら、修繕費用も見積もったうえで家計収支がプラスになるよう見積もるようにしてください。40代に入っての購入であれば住宅ローン繰り上げ返済用の貯蓄が可能な返済プランかどうかのチェックも欠かせません。

家=資産という考え方がもたらすもの

家を買うか賃貸に住むか以外にもご夫婦の争点となり得るテーマがあります。
それは「家の資産価値をどう考えるか」ということ。

個人情報に触れない程度に一般化した事例として書かせていただきますね。
都心の一等地に立つ高層マンションを買った理由がまさに「資産価値のあるマンションだから」。そう考えるご主人に従い、やや郊外の地から引っ越してきた奥様。引越し後何年か経った後ご夫婦で相談にお越しになったことがありました。

お子様が小学校に入りご近所づきあい、ママ友との交流などに何かとお金がかかり、気も使うようになった奥様。スーパーの食材価格も総じて高く、月数千円ですむような習い事もなく習い事代も格段に増えました。何より毎月の住宅ローン負担が大きく、返済ありきの家計やりくりに節約に限度を感じており、住宅を売却しても住宅ローンが残らないのならまっさらな状態になりたいとの希望がありました。

引越しに伴う環境の変化、家計の変化は存外大きなものです。
「家賃支払いもなくなり、将来的に物件購入価格より高く売れれば良いのではないか。」
ご主人からするとそういう考えなのかもしれませんが、それはご家族、少なくとも奥様の望む暮らしぶりではなかったようです(片手落ちになりますのでご主人の意向も書き添えます。単に儲けるためでなく、お子様に資産を残してあげたかったからというのが住み続ける動機とのことでした)。

不動産の資産価値を考慮して住宅購入すること自体間違いではありませんが、ここまでボタンの掛け違いが目立ってくると、優先すべき事柄はほかにもあったのではないかと。筆者が住宅購入前相談に力を入れるようになったきっかけともなった事例でした。

家は家族の暮らしの器であり、何十年もの家族の思い出が積み重なっていく場です。ご夫婦の考え方に大きな隔たりがあったまま暮らしていくのは「しんどいこと」だと推察します。住宅を購入する前に、ご夫婦で今後の暮らしについてしっかり話し合ってみてください。

ただし、相手の希望や意見の否定はしないであげてくださいね。夫婦になる前はまったく別の場所で暮らし、育てられ方も違う二人です。その考えに至る背後に相応の理由があり、何より「ご家族のために」家を買うという想いは夫婦一緒だと思うからです。

感情的な言い合いになるのを避けるため「どうしてそう思うの?」「なぜそうしたいの?」と理由をたずねるコミュニケーションを心がけてみてください。理由を知ることで理想の我が家に対する考え方もきっと深まるのではないでしょうか。

まとめ

住宅購入は、夫婦になってから行う経済活動の中で1,2を争う大イベントです。それだけに、住宅購入計画はこの先何十年ものライフプランを念頭に慎重に検討すべき事柄です。

計画はややもすると物件価格や資産価値といった経済的側面が重視されがちです、しかし、ご夫婦の暮らしで大事にしたいこと、価値観をすり合わせることがより優先されるべきだと筆者は考えます。

コロナ禍でリモートワークになり理想の住まいについて考えるようになったご家庭もあるのではないでしょうか。俗に「衣・食・住」とまとめられるように、どんな家で暮らすかで暮らしの質は大いに変わります。

住宅は決して安い買い物ではありません。しっかりとご夫婦のベクトルを合わせ、幸せな暮らしの器となる住まいが得られることを心より願っています。

間取図
海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

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