夏ボーナスではじめる、投資はじめてさん向け基本の「き」【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

多くの方にとってボーナス支給月となる6月。
“捕らぬ狸の皮算用”ではありませんが、ボーナスで「あれを買おう!」「支払いを済ませた後はいくら残るかな…」と、心がザワザワする人もいるのではないでしょうか。

その一方で、大きな資金を手にする機会を絶好の投資チャンスと捉える人もいます。ただ、「貯蓄」から「投資」へのハードルは高く、投資のはじめの一歩が踏み出せない人も少なくないようです。

このコラムは、基本の「き」とタイトルに謳うように「超」初心者を対象としています。具体的には、普通預金や定期預金、勤め先の財形貯蓄しかやっていないが、手元の余裕資金で投資をはじめてみたい人、そんな方々です。

難しい言葉は極力省いて、リスク資産とは何か、証券口座の開設方法や上場株式と投資信託の違いなどをまとめていきます。食わず嫌いをしないで、どうか最後までお付き合いください!

 

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預貯金と上場株式は何が違う?

はじめに、預貯金など元本(預けたお金)が保証された資産と株式などのリスク資産などは何が違うのか、ここからはじめます。

「リスク」とは何か。
語弊を恐れずにざっくり言うと「変化」のことです。

たとえば、エアコンやパソコンなど家電の販売価格を考えてみましょう。
インターネットの価格比較サイトである商品を探したとき、品物は同じですが、売値はお店によって異なります。同じお店でも日にちが違えば、値段が上下することもありますよね。

上場株式などのリスク資産も同様に、日によって購入単価が上がったり下がったりします。
A社の株式が、今日は単位あたり1,000円であっても明日1,100円に上がるか、880円に下がるかは誰にもわかりません。どちらの可能性もあります。

このように上下の波があることを「リスクがある」と言います。

ところが、あなたが金融機関に預けた普通預金の残高がこのように減ったりすることはありませんよね。だから元本が保証された資産というわけです。

みなさんは、リスク資産を合計何万円ぐらいまで持てそうですか?

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「変わるのが怖い!」ここが最初のハードルかも?

投資初心者の最初のハードルがこの変動性だと筆者は思います。
投資をはじめた人の中に、時価の変化に毎日気持ちが揺り動かされ、日常生活が脅かされるタイプの人をお見受けすることがあります。そういう気質の方は変化に慣れる期間を十分にとることが大切です。

購入単価の半値まで下がったとしても生活に支障のない範囲の小さな単位で投資をスタートする。
買った後は頻繁に相場を調べない。
購入時単価と時価の差を「これくらい動くんだな」と心にゆとりを持てるようになるまで様子を見る。
別の株式を買い進めない。
不安だからといって、他人の言葉を鵜呑みにして、取っ替え引っ替え売り買いをしない。

投資に回せるお金(余剰資金額)から考えるのではなく、自分の心の平安を崩さない運用額で投資をはじめる。メンタル面を重視した投資スタイルが結局長続きするのではないでしょうか。
考えだすと「石橋を叩いて渡らない」となりがちです。この夏のボーナスからはじめるつもりであれば、つみたてNISAのような積立自動購入形式で月1万円から投資をはじめるのも一案です。

株式はどこで買う?

多少のリスクは承知のうえ、老後資金などを考えて「お金に働いてもらいたい!」そうお考えの方もいると思います。そうと決まれば最初の一歩!株式を買う準備を整えていきましょう。

さて、ここで質問です。
上場株式や投資信託などの金融商品はどこで購入できるのでしょうか?

A.一般的な上場株式の取引には証券会社口座が使われます(NISA口座は銀行で開設することが可能です)。

つまり、最初の一歩は、証券会社(銀行)選びということに。

どの証券会社で口座を開くかを考えるヒントは、あなたの投資スタイル(=どんな投資をしたいのか)にあります。

株式投資をしたいのか、投資信託を選ぶのか。
証券会社によって取り扱う投資信託の数や手数料などが変わります。

とくにNISA制度を利用したい方は、取り扱い商品の種類や数に要注意です。証券会社(銀行)で購入できる商品が異なるからです。

どのような商品が買えるのか、手数料はどれくらいなのか?
最低でもこの2点は確認しておきましょう。

毎月100円から少額積み立てで購入できる仕組みを持つ証券会社もあります。積立投資に興味がある人は、このあたりも考慮して証券会社を選ぶようにしてください。

口座の開設にはマイナンバーや入金するための銀行口座、身分証明書など必要な書類があります。また、銀行口座のように手続きしてその日にすぐ取引をすることはまずできません(審査に時間を要します)。
夏ボーナスで投資をスタートしたい人は、口座開設手続きを早めに行いましょう!

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最初は1株だけ買おう…はできる?

上場株式は、“上場”という名の示すとおり、市場(マーケット)参加者が広く買える株式のこと。具体的には、東京証券取引所や名古屋証券取引所、マザーズなどの証券取引所に上場すれば取引が可能になります。

証券会社は、取引所への売買注文を取りまとめる役割があり、開設する証券口座がどの証券会社であってもさまざまな上場株式を買うことができます。ただ株式の売買には単位があり、バラ売りしていません(2018年10月より株式の売買単位=単元株は100株に統一されています)。

たとえば今1株1,000円のA社株を、1,000円札を1枚出して「買います!」というわけにはいかないんですね。

また、上場株式の購入や売却には株の代金(約定代金)以外に売買手数料がかかります。

先ほどの例であれば、1,000円×100=100,000円、加えて売買手数料(仮に100円とします)がかかります。合計100,100円必要になるわけです。

デイトレーダーのように株式取引を頻繁にするならば売買手数料は馬鹿にできません。
証券会社によっては、注文毎に手数料が発生せず、1日単位の定額手数料プランもあります。

また売買手数料は通常、証券会社の窓口でオペレーターを介するのか、電話で注文するのか、インターネット経由か等々注文の仕方で手数料率が変わります。人手を必要としない方法ほど割安になる傾向があります。24時間スマホやPCから、家でも外でも注文可能で手数料が安いネット証券は、忙しい会社員さんや子育てママさんにもおすすめです。

上場株式と投資信託の違い

さて、ここまで上場株式を主としてお話をすすめてきましたが、実は個別の企業に投資をせず、もっと大きなエリアや業界に投資をする手法があります。

それが、投資信託(投信)への投資です。

一定のルールで株式や債券、不動産などの現物資産に投資をするファンドをいくつかパッケージにして1つの大風呂敷に詰め込んだ金融商品=投資信託です。包むルールはいろいろ考えられ、実際に公募投信の数はおよそ5,881本もあるそうです(投資信託協会のデータ「数字で見る投資信託」より)。

個別株の場合、その会社が成長すれば配当金や株の値上がり益として果実を得られます。しかし、もし倒産してしまったら株券は紙切れと化します。その会社次第の資産運用というわけです。

一方、投資信託の場合はたくさんの商品の詰め合わせですので、仮にAファンドが値下がりしても、為替が功を奏してBファンドは絶好調!その結果、投資信託全体では好成績だった、なんてことがありえます。

あれこれ解説する前に、ここで具体的な投資信託の商品名をいくつか挙げますね。
※注:筆者が購入をおすすめする商品という意味ではありません。商品名の例示です。お間違えのなきよう願います。

インデックス投資を世に知らしめたAxsisシリーズからまず2つ。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」

一方、毎月分配型の投資信託と言えばグロソブと略されるこちらが有名でした。
「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」

投資信託の商品名を最初に挙げたのには理由があります。

商品名を今一度、見てください。
「全世界」、「国内」など、この投資信託はどのエリアを投資対象としているかわかります。また、「株式」「ソブリン(=債券)」などアセットと呼ばれる資産ジャンルが書かれておりリスクの想定もしやすいですよね。

このように、全世界市場か、先進国新興国か等、投資したいエリアを決めた投資ができます。
一般的に値動きが債券より大きいと言われる株式がメインか、債券か。あるいは個人では手を出しにくい国内不動産(J-REIT)に投資するのか。資産を特定した投資が可能です。

ピンポイントで1社を選ぶ上場株式とは異なり、成長すると思われるエリアやジャンルを決めて投資できる使い勝手の良さが投資信託にはあります。どの企業に投資をしたらよいかわからない、悩んでいる人にとって選びやすい商品かもしれません。

投資信託は、単位あたりの価格の決め方も上場株式とは異なります。
前日の売り買いや所有する個々の資産の時価計算などをして1日に1回、その投資信託の1口当たりの価額=基準価額が決まります。

株価の上がり下がりが心臓に悪いという人は、そういう意味でもゆったり過ごせる投資先ではないでしょうか。

お札

まとめ

この夏からの投資スタートに向けて、資産運用に必要な基本的事項をいくつかのパートに分けてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

子育て世代にとって、老後のお金は正直イメージしにくいと思います。つまりそれだけ遠い将来の話というわけです。

コロナ禍で経済ダメージが各所に現れている現状ですが、日進月歩という言葉があるように、普段の暮らしは長い目で見れば発展していくものと筆者は考えています。
生活向上は経済の発展とは切っても切り離せないもの。将来に向けてお金に働いてもらうなら、時間を味方につけ、若いうちから資産運用をスタートするほうが成功する確率もアップするのではないでしょうか。

手元の余剰資金で、まずトライしてみる。
仮に多少の痛手を被ったとしても、投資に必要な知識は増えていきます。ただ預金口座にお金を預けるだけでは得られない、将来のあなたが喜ぶお金の使い方とも言えるのでは?

 

海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

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