給与明細から見えてくる社会保険と税金のキホン【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

2022年に入り、円安やロシアのウクライナ侵攻などの影響から、電気代やガス代、多くの食品や日用品、火災保険料などの値上げに関するニュースが毎日のように取り上げられています。値上げされる項目の中には私たちの生活に直結するものが多いですよね。
家計の見直しをする上で、「収入と支出のバランスを考えなおさなくては・・・」と考える方も多いかもしれません。

値上げラッシュの中で「少しでも支出を減らす」ためには、収入がいくらあるのかを把握することが大切です。例えば、会社員の方が収入の金額を確認する場合に必ず確認するのは、『給与明細』ですね。
とは言え、口座に振り込まれる金額に目がいってしまい、『給与明細』をしっかり見たことのない人も少なくありません。

そこで今回は、「給与明細から見えてくる社会保険と税金」をテーマに、健康保険や年金、税金についての基礎知識をまとめました。若い方にもっと関心をもっていただきたいテーマ。あなたの稼いだお金から、どのような名目で、どのようなお金が差し引かれるのか?このコラムをきっかけに学びを深めていってくださるとうれしいです。

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給与明細をじっくりながめてみよう

お給料日に配られる(インターネット経由で各自ダウンロードする会社も最近多いようですが)『給与明細』。なかに「これ、何だろう?」と思った項目はありますでしょうか?

会社により名称や手当の種類は異なりますが、大きく分けて、「基本給」や「残業手当」、「通勤手当」といった会社から支給されるお金の明細と、「厚生年金保険料」や「健康保険料」、「所得税」、「○○組合会費」といった天引きで差し引かれるお金(積み立てるお金)があることに気がつきます。

つまり、会社から支給される給与が丸々自分のものにはならず、控除分を差し引いて従業員口座に振り込みをするため、手取りはより少ない金額になります。

こう書くと手取り収入が減って悲しい気分になりますが、そのお金はあなたやあなたの家族、周りの大切な人の受ける住民サービスや社会制度を支える大切な原資なのです。
大人になった“証し”とプラスに受け止めていただきたいと思います。

社会保険料や税金。具体的に何か?

社会保険料とは、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」などを総括した呼称です。乱暴ですが端的にいえば、福祉や公的医療など社会制度を維持する助け合いの掛金。個人で計算して保険料を国や自治体に納めるのは非現実的で効率も悪いため、会社員の場合、給与に応じて会社で計算・徴収し、まとめて納める仕組みになっています。

所得税は、その名の通り一定ルールで算出する「所得」に応じて決まる税金。専業主婦やパート勤務者など所得ゼロの方は課税されません(源泉徴収されていたとしても確定申告により還付されます)。

自治体により税率は変わってくるのですが、住民税も所得に応じお住いの自治体に収めるべきもので、給与収入のみであれば概ね100万円未満で非課税となります。

会社員と社会保障制度

自営業と給与所得者の違いは大きく2つ、健康保険と公的年金制度の差です。

会社員・公務員が加入する職域の健康保険(共済組合)には通常「傷病手当金」、「出産手当金」がありますが、国民健康保険にはありません。病気やけがへの備えという意味では、会社員が加入する健康保険がより手厚いと言えます。

公的年金制度は3階建て構造になっています。
土台となる国民年金に加えて、会社員は厚生年金にも加入しています。さらに勤め先に企業年金制度(確定拠出年金や確定給付年金)があることも!老後資金を考えるなら、ご自身ですでに備えているこの部分の確認からスタートしましょう。

額面給与から控除される社会保険料や所得税(住民税)の知識は、これからの働き方や老後資金準備、節税につながる現代人の必須情報です。まず手近な給与明細の確認から!チェックしてみましょう。

 

海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

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