キャッシュレス決済に振り回される人、お金が貯まる人【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

バーコードやQRコードを使って決済する○○Payやタッチ決済できる交通系電子マネーなど、クレジットカード以外の決済手段が増えましたね。世にあふれるキャッシュレス決済の多様化には目を見張るものがあります。

このコラムでは、電子マネーやクレジットカード、○○Pay(バーコード決済)など決済手段ごとの支出管理のコツ、キャッシュレス決済に振り回される人と上手に活用できる人の差などをまとめています。

口座残高が心もとなくなるボーナス前のこの時期。このコラムをご自身の買い物行動を振り返る一助としてお役立てください。

 

目次

キャッシュレス決済は前払いか後払いかで考える

キャッシュレス決済には「小銭が増えずにすむ」「ポイントキャンペーンや割引が魅力」などのメリットがありますが、その反面、お店での支払いと銀行口座から代金が引き落とされるタイミングのズレが生じやすく、家計管理に一定の工夫が求められます。

実際、家計相談時にきかれる質問にキャッシュレス決済に関するものも多いのです。
たとえば、
「クレジットカード払いした支出を家計簿にどう書けばいいか?」
「お金が引き落とされるまで差がボーナス払い支出を何月の家計簿につければいいか?」
このような悩みを抱く方がいらっしゃいます。

さまざまな決済手段がありますが、お金の流れを管理することを考えると、決済前に手元からお金が持ち出される前払いか、決済後、一定時間経過後に銀行口座から利用料金が引き落とされる後払いに切り分けると管理しやすいと思います。

キャッシュレス決済を前払いか後払いかでグループ分けしつつ、支出管理の注意点をまとめておきます。「今利用している決済のタイプはどちらか?」そんなことを思いながら読んでみてくださいね。

スマートフォンを操作する

 

(1) 前払いキャッシュレス決済の例

PASMOやSuicaなどの交通系の電子マネーやWAONやnanaco、楽天Edyなど流通系の電子マネーが主なもの。クレジットカードと連携していなければ、チャージと呼ばれる事前入金分の決済しかできないため、支出管理しやすいのがこのタイプの特徴です。

(2) 後払いキャッシュレス決済の例

クレジットカードが代表例。クレジットカード枠という利用額の上限はあるものの、「今いくらまで使えるか」残額をほぼ気にせずに決済できます。店頭でもネットでもほとんど決済できる利用範囲の広い決済手段でもあります。

ただボーナス払いのように、手元からお金がなくなるまでのタイムラグが大きい支払い方法も選べるため、家計管理上の工夫が必要です。家計やりくりに自信の持てない人がクレジットカード決済を利用する場合は、「翌月一括払い」以外の支払い方法を使わないことが鉄則ですが、どうしてもボーナス払いを何度か必要とする場合は、ボーナス支給額の手取りにあらかじめその利用額を差し引いて予算管理するようにしましょう。

(3) 前払い/後払いを選べるキャッシュレス決済の例

○○PayやiDなど新しい決済方法の多くは、店頭で現金チャージする前払いと、クレジットカード決済や携帯電話料金に合算して支払う後払いの両方が可能です。
家計管理上の留意点は、前払いは(1)に、後払いは(2)に準じます。

なぜ、前払いと後払いとでグループを分けたのか?
それは、支払い方法によって家計管理のコツ、具体的には家計簿付けのタイミングが変わるというのが理由です。

前払い決済は現金に準じた管理、後払いは2つのやり方がある

前払いタイプのキャッシュレス決済は、チャージした時点でチャージ金額分のお金が“見た目”上は消えます。家計管理上は「現金と同じ扱い」が管理しやすいと思います。家計簿をつけている人は、チャージ金額をその日の家計簿に「PASMOにチャージ」といった明細で管理すると、その後使い切るまで細かな記帳が発生しないので楽に支出を管理できるのではないでしょうか。

一方、後払いタイプのキャッシュレス決済ですが、こちらは決済時点では手元資金の移動が発生しません。どうやって管理をすべきでしょうか?

後払い決済による支出を管理する方法としては、それも現金と同じとみなして【決済日に使ったと考えて管理】する方法がまず挙げられます。家計簿付けも現金のときと同じになります(欄外に決済種別を表す(C)や(カ)などの符丁を書き残しておくと引き落し予定額の管理もしやすいと思います)。

もう一案は、実際のお金の流れ=資金管理を重視し、【引落日に使ったとみなして管理】する方法です。こちらは家計簿による支出管理ではなく、決済会社の発行する紙明細やWEB明細を活用して毎月の支出を管理することができるため、ズボラさん向きのやり方です。

「今月いくら使ったのか把握しておきたい」人は、決済会社毎の引き落とし予定額を抜き書きして『キャッシュレス決済支出一覧表』を毎月作ると、より支出管理しやすいと思います。

キャッシュレス決済の種類やそれぞれに適した支出管理のコツをまとめてきましたが、キャッシュレス決済で家計の無駄遣いが増える人と抑えられる人、実際には二分されます。
それらの人々の共通項について続いて考えていくことにしましょう。

買い物かごに入ったクレジットカード

 

キャッシュレス決済に振り回される人はこんな人

私見ですが、キャッシュレス決済に振り回される人にはこんなタイプの方が多いです。

・キャンペーンや特典という言葉に弱い人
・利用金額の確認をさぼる人

「本日ポイントアップデー!○○Payで支払うとポイントが○倍です」といったうたい文句につられ、在庫があるにもかかわらず必要のない食料やちょっと便利そうな日用雑貨品、大幅に値引きされた衣料などを買いがちな人がこのタイプです。

このタイプの人は、(仮に購入予算を決めていたとしても)なし崩しに買うケースが多いため、予算は実効的ではありません。キャンペーンを目にする機会を物理的になくすほうが効果があります。
たとえば、ショップの販促メールをただちに配信停止をする。特典のある日はサイトを絶対見ない。などのキャンペーンを目にする機会を減らすことをおすすめします。

また、キャッシュレス決済は預貯金と手元現金の出入りが連動しないため、利用総額の確認は必須です。交通系電子マネーを利用する人はせめて週1回、その他の人は月に3回ぐらいは利用金額をチェックするようにしましょう。

決済会社の提供するスマホアプリがある場合は、インストールして毎日時間を決めてチェックすることをおすすめします。家計簿をつけなくても確認をマメに行うだけで生活支出に対する感度は高まり、必然的に無駄遣いも減っていきます。ぜひお試しください。

 

キャッシュレス決済でお金が貯まる人はこんな人

キャッシュレス決済を利用して上手に支出を抑え、お金を貯められる人はこんなタイプが多いと思います。

・よく買う商品は必ず決済特典を比較して購入する人
・定額チャージやメール設定など使い過ぎない工夫ができる人

上の2つに共通するのは、計画性のある購入ができる、支出予算を立て、かつ、守れる人だということです。使い過ぎや無駄遣いにありがちな「欲しくなりポチッとしてしまう」「特典がつくからいつもより高くても買っちゃう」。こうした買い物行動とは真逆の行動の人とも言えます。

リピート購入品の価格に敏感になる。大きな金額の品物こそ衝動買いせず、割引やポイント特典がつく日に買う等行動を律するマイルールを持つ。今からでも遅くはありません、これらを意識して、買い物かごに入れる前の自らの行動を見直しましょう。

筆者の例で恐縮ですが、宅飲み(晩酌ともいう)にビールが欠かせない我が家。2ケース単位でインターネット購入しています。ある程度購入ショップを絞っているのですが、買う前に必ず、大手ネット通販サイトの定期購入価格と○○Pay支払い特典が大きいショッピングサイトで特典を加味した実質的な購入価格を比較・検討してから買っています。よく買うからこそ厳し目に選んでいます。

また、大きな金額というと抽象的で守りにくい条件のため、たとえばですが
「1万円の商品なら1日検討、3万円の商品なら3日検討する。」
このようにわかりやすい数字のマイルールを作り、情報を比較検討する時間=買い物欲をコントロールする冷却期間を持つのもおすすめです。「節約する!」の旗印だけでは行動は変わらないことを肝に銘じましょう。

キャッシュレス決済イメージ

 

キャッシュレス決済は便利だけど浪費の温床になり得る

「財布の紐を引き締める」という表現があるように、触れて、一枚一枚数えられる財布の現金に対して引き締め(無駄遣い)を意識しやすいものの、キャッシュレス決済に対しては、みなさん、どうでしょうか?

ポチッとすぐ決済できるがゆえに、引き締め(無駄遣い)イメージを現金ほど持てない、そんな方も多いのではないでしょうか。キャッシュレス決済を利用するようになり、「気づいたら随分お金を使っていた」そんな経験をした方もいるのではないでしょうか。

手元にお金がなくても買い物できるキャッシュレス決済は、買い逃しや大物買いに対応できる便利な決済ツールですが、それだけに浪費の温床となり得ます。

節約を意識している人や収入アップが見込めない年金生活者の中には、キャッシュレス決済は使わず現金払いにこだわる人もいます。キャッシュレスで買い物をするようになってから支出が増えた人は、このままキャッシュレス決済を続けるか、いったん現金払いに戻すか、一度検討してみてください。

現金払いの良さはお金の流れのわかりやすさ

現金払いには現金払いのよさがあります。
現金払いの最大の利点は、買ったその場で、代金分のお金が自分の財布から相手へ渡る、わかりやすさにあります。

ビンに入った小銭

元々お金がなければモノやサービスは買えませんでした。そのような環境に身を置くと、人は自然に財布と相談してお金を使うようになります。「今、これを買うべきか、否か?」を考え、買い物をする習慣が身につきます。お金を使えば使ったで、お金を支払った感覚がたしかに残ります。

不必要な買い物=浪費とすれば、浪費に対する抑止力として、“いつもニコニコ現金払い”は大きな力を発揮すると言えます。

現金払いに生活を戻せないまでも、「買い物の必要性や身の丈に合った支出かどうか」ひと呼吸おいて買うことを意識してみてください。

 

キャッシュレス決済ありの家計管理は難しい…

筆者は過去、諸事情があり「これ以上1円たりとも貯蓄を減らすことができない」方からのご相談を受けたことがありました。ムダな買い物は論外。必要な物品ですら優先順位をつけて買う/買わないを決断しなければならないご状況でした。そのような方が頼りがちだったものが、クレジットカードのリボ払いでした。

生じた手数料が雪だるま式に増えやすいリボ払いは、まるで真綿で首を絞められるがごとく相談者の家計を悪化させます。目先の今月の支払い金額は一定に抑えられるものの、リボ払い残債は徐々に増え、完済日は遠くなっていくケースがあるからです。

キャッシュレス決済を利用することで、現在の金融資産の管理に加えて、将来支払うであろう支出の管理もしなければなりません。

決済手段が複数になれば引落日もそれだけ増えます。気軽に利用できるキャッシュレス決済ですが、家計管理の観点からは上級者向けの決済ツールと言えるのではないでしょうか。

 

海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

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