「STEAM教育」という言葉を聞いたことがあるでしょう。これは世界的に注目されている教育法で、日本でも、文部科学省が推進しています。今回のコラムでは、親子で楽しめる工作レシピをご紹介いただいた、「子どもの心を育む遊びのヒント」主宰の黄野いづみさんに、親子で楽しめるSTEAMアクティビティを教えていただきます。
目次
STEAMって何?
STEAMあるいは、STEMという言葉を聞いたことはありますか?
STEAM教育は、現在、文部科学省が推進している教育法です。「STEAM(スティーム)」とは、Science(サイエンス/科学)、Technology(テクノロジー/技術)、Engineering(エンジニアリング/工学)、Art(アート/芸術)、Mathematics(マスマティックス/数学)の5つの頭文字をとってつくられた言葉で、文部科学省では、「各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育」としています。
STEAMの“前身”が、「A(Art)」を含まない、「STEM(ステム)」。この教育法が広く知れ渡るきっかけと言われるのが、アメリカのオバマ前大統領の演説です。演説の中で、オバマ氏は、STEM教育を重要な国家戦略と語りました。
日本では、将来の国際的な科学技術関係人材を育成するため、先進的な理数教育を実施する高等学校等を文部科学省が「スーパーサイエンスハイスクール」として指定したり、小学校でプログラミング教育がスタートしたりなど、様々な形でSTEAM教育が取り入れられています。
とは言っても、STEAM教育について、そんなに難しく考える必要はありません。簡単に言うと、問題を発見して、科学や技術、芸術、数学など、様々な教科で学んだことを総合的に使って解決方法を見つけたり、自分でテーマを見つけて探究しまとめたりすることで、AI時代を生き抜く人間になろう! ということなのです。
参照:Society 5.0 に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~、STEAM教育について
家庭でできるSTEAMアクティビティ
STEAM教育は小学生以上に限ったことではありません。実は、家でも、簡単にSTEAMアクティビティを体験できます。このコラム(シリーズ)では、お家でお子様と一緒に楽しめるSTEAMアクティビティ(実験など)をご紹介していきます。海外では子ども向けのSTEAM関連書籍も数多く出版されており、それらも参考にしてみました。
今回ご紹介するのは、とっても楽しい理科実験です。お子様と一緒にお楽しみください。
色水がカップからカップへ移動する?!
カップに入れた色水が、別のカップに移動します。さらに、色が変化します。どうしてでしょうか?
用意するもの
・透明のカップ 6個
・食用色素 赤、青、黄
・ペーパータオル 6枚
・水
実験方法
1. 6つのカップの内、3つに水を入れます。
2. 水を入れた3つのカップに、それぞれ、赤、青、黄の食用色素を入れて混ぜます。
3. ペーパータオル6枚を細長く折ります。
4. 6つのカップを、水あり、水なし、水あり、水なし……の順番で円形に並べます。
5. ペーパータオルの一端を水ありのカップに入れ、もう一方の端を隣り合った水なしのカップに入れます。6つのカップを繋ぐように、6枚のペーパータオルで橋渡しをしましょう。
6. その状態で数時間置きます。どんな変化が現れるか、観察してみましょう。
空だったカップに水がたまりました!
なぜ? STEAM的思考
水は、ペーパータオルを伝います。この現象を、「毛細管現象(Capillary action)」と言います。毛細管現象とは、細い管状物体の内側を液体が上昇したり下降したりする物理現象のことです。キッチンペーパーの繊維の隙間が管となって、水が伝っていくのです。
また、黄色の水が空のカップに移動し、青の水も同じ空のカップに移動したとき、色水が混ざり、緑色に変わります。赤と黄色のカップに挟まれた空のカップにはオレンジの水、赤と青のカップに挟まれたカップには紫色の水が溜まりました。この現象も、お子様にとっては大発見です。
子どもは、体験から様々なことを学びます。ぜひ、ご家庭で、たくさん実験をして好奇心の芽を育んでみてください。
黄野 いづみ
「子どもの心を育む遊びのヒント」主宰/ピープルビヨンド株式会社取締役
16歳で単身アメリカへ留学。大学卒業後はシアトルのテレビ局や日系メディア会社にてインターンとなる。帰国後、出版社で企画編集ライターとして活動。10年間の出版社勤務を経て独立し、キアノ・インターナショナル株式会社(現ピープルビヨンド株式会社)を設立。「子どもの輝く未来のために、子どもの心を育み親子でHAPPYに!」をコンセプトに、心を育む遊びの提案や、グローバル時代を生きる子どものために、豊かな感性や表現力、発信力、人間力を育むプロジェクトに取り組んでいる。主宰する非公開Facebookグループ「子どもの心を育む遊びのヒント」には、現在11,000名以上のメンバーが参加中。
■ピープルビヨンド株式会社 https://www.peoplebeyond.jp/
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