食事の時間をほんの少しの心がけで特別な時間に <食事を通してかたちと心を整えるマナー力の磨き方 vol.1>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

食べるために生きるのか、生きるために食べるのか。

いずれにせよ食べることは大きな喜びのひとつです。 正直、毎日何を食べよう? 何を作ろう? と考えるのは面倒だなぁ、と思うこともあります。多様化した今、生き方も考え方も様々ですが、食べることつまり「食事」を大切にしようと心がけている方は多いと思います。

食事には、私たちが生きていく上で大切な3つのアプローチが含まれています。 1つ目は、栄養を取ることで体の健康を築くこと。 2つ目は、食べ物を味わうことから喜びと幸せを感じること。 そして3つ目は、マナー・コミュニケーションを身に付けることです。 ご存じの通り「食事」とは“人を良くすること”と書きますね。 昔から大切にされてきた想いが「食事」と言う言葉に込められています。

コロナの影響で、外で誰かと会食する機会は減っているかもしれませんが、そんな時だからこそ、「食事」について改めて考えてみるのも良いですね。今回から3回にわたり、マナーアドバイザーの山木理代さんに「食事を通してかたちと心を整えるマナー力の磨き方」について教えていただきます。第1回目となる今回は、食事の時間をほんの少しの心がけで特別な時間にするための方法をご紹介いただきます。

■第1回目は、食事の時間をほんの少しの心がけで特別な時間に←この記事はこちら
第2回目は、優しさ・心遣いを育てる丁寧な器やお箸の扱い方
第3回目は、毎日の小さな積み重ねで身に付くマナーの意識

 

新型コロナで入院
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食事マナーは人間だけができる知性と品格の表現方法

食べるという行為は生きていく上で必須ですから、人間だけではなく動物にとっても欠かせないことです。

ただし「美しく食べる」ことができるのは人間だけ。 ですから、美しく食べるためには様々な点に心を配らないといけません。 座り方や姿勢、お箸やナイフフォークの持ち方に動かし方、器の扱い方など… 実はその一つ一つには、元々、全ての物や人への感謝、自然への敬意、物を大切に扱う心などが込められているのです。 それに食べやすいように無駄なく考えられた「かたち」でもあり、シンプルかつ美しさが備わっています。

本質を知って納得できれば、理に適っているので体得しやすいですし、決して難しいことはありません。食事は生きることの原点であり、その食事を大切にする心がマナーではないでしょうか。 日頃から食事を大切にしようという意識を持つと、心もかたちも整います。 やみくもに美しさを追わなくても、自然体の美しさ・素敵さが備わるはずです。 その姿やたたずまいが魅力となり、知性・品格として映ります。

食卓を整えることで「食事」がより大切に思えるようになります

皆さまは、毎日の食事で心がけていることは何かありますか?

旬の素材を取り入れた献立にする、五色(ごしき)を意識する、栄養バランスを考える……など様々ではないでしょうか。 このように「何を食べるか」ももちろん大切な事です。 そして「どのように食べるか」と工夫をしてみると、グッと食事が充実します。 各家庭によって、食卓を取り巻く環境は様々だと思いますが、そこをあえて、できるだけ食事をする環境を整えてみることで、食事の満足度が上がることに気付きます。

例えば、お箸や箸置き、取り分けのお皿やランチョンマットなどをテーブルに並べてみる。主役のお料理をバックアップする脇役の力で喜びを感じる楽しみも生まれます。 まずは是非、箸置きだけは置くことをお勧めします。和食マナーの原点は箸置きとお箸遣いからですから。箸置きはお箸のスタート地点であり、途中の休憩場所、お食事の最後には箸を戻して「ごちそうさま」です。 そしてご飯茶碗は左、お味噌汁は右に置くといった基本の配膳も和食マナーの基本です。 洋食の時は、ナイフとフォークを揃えることでテーブルセッティングも覚えられます。

もしお子様がいらっしゃるなら、一緒に手伝わせたりしながら自然にマナーを体得しましょう。 それにお気に入りの素敵な器で食べると「物を大切にする心」が育ちます。 頑張って作ったお料理もテイクアウトのお惣菜でも、素敵な器に盛りつけたら一段と美味しそうに見えて気分も盛り上がりますね。 お子様は感覚的に綺麗なものや素敵なものに対して優しく丁寧にしたい、という心が芽生えるようです。 このように整えた食卓でのお食事は「綺麗に食べよう」と思えるようになるのですから不思議なものです。

この一言があれば、いつでも食事を特別な時間に

ところで、「いただきます」「ごちそうさま」のお食事のあいさつ、実は大人になればなるほど言えていないような気がしませんか?

何かと忙しくて、慌てて食べることも多いと思います。 それでも当たり前ですが、「いただきます」「ごちそうさま」の言葉をたとえ心の中で唱えるだけでも、「ただ食べる」から「食事」という特別な時間に気持ちが切り替わります。 ご存じの通り「いただきます」は「命を戴く(いただ)」という意味があり「ごちそうさま」は食事を作るために走り回って下さったことへの感謝が込められています。 この心を噛み締め伝えられたら、食事の時間がより温かく幸せになることでしょう。 それに、何事も始まりと終わりを大切にできる人は、その時間を感謝して有意義に過ごせる人ではないでしょうか。 昔から「礼に始まり、礼に終わる」と言われますが、まさしくお食事にもその考えが流れていますね。

また、よく使われる「おいしい」の一言。この言葉はみんなを笑顔にします。 料理が登場したら「わー、おいしそう!」一口食べて「おいしい!」そして食べ終えて「あー、おいしかった!!」 このように「おいしい の3段活用」は、周りの方に幸せを発信できるのです 無理をせず、できる範囲で自分やご家族がちょっぴり嬉しくなる工夫を。 心ひとつ、言葉ひとつです。それだけでも充分なのです。

食事を通して優しさや思い遣り、感謝の心が通い合うひとときが生まれますように。

山木理
マナーアドバイザー。大学卒業後、都内企業数社にて秘書として勤務。 社外活動で経済界・財界の勉強会等の接遇を経験し、出逢いの中で「感謝の心を表し、謙虚な姿勢であること」「丁寧な暮らしで心を満たす生き方」が心からのマナーに繋がることを学ぶ。 マナーの魅力に惹き込まれ2008年よりマナー講師として活動をスタート。 都内スクールにて各種マナー講座やマナー講師養成に携わる。 2013年より「サロン・ド・エサンシエル」を主宰。 本質をモットーとしたレッスンは全国から受講生が訪れていて、リピート率は92%。 企業研修、大学講義、マナーコラム執筆や取材・監修等多岐に渡りマナーをお伝えしている。
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