幼児期の困った時の対応法 <やさしさと強さをもった子どもを育てるための年齢別アドバイスvol.2>

ハリネズミ 【コラム】暮らしをワンランクアップ

変化の大きなこれからの時代、人へのやさしさと自分を守る強さをもった子どもに育てたい! どこのお母さん、お父さんもそのように考えていますよね。しかし現実は……決して簡単なことではない、というのがリアルな声ではないでしょうか。

人への優しさと自分を守る強さを持った子どもに育てるための大事な考え方(理論)とすぐにご家庭でも使えるアドバイスをセットにし、「子どもとの関わり方(発達)」をテーマにQ&Aの形で一般社団法人あそびの先生協会 代表理事 宝田ひか里さんに教えていただくシリーズ。2回目となる今回は、1回目の乳児編に続く幼児編です。

赤ちゃんから成長し、できるようになることや興味を持つことがたくさん増えてくる幼児期。子どもたちのできた!は成長の証として嬉しいことではありますが、その多くは大人にとっては困った!どうしよう!という行動になってしまうことも多くあります。今回は、そんな大人にとって困った行動への対応法をQ&Aの形で教えていただきます。

 

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Q:これ僕の!これも僕の!人のものを取ってしまう時の対応法は?

A:1人で集中して遊べる空間づくりをしてあげましょう。

これ僕の!と全部自分のものと認識してしまうことは、3才までの子どもたちには発達段階的に仕方のないことです。「このおもちゃはみんなのものでしょ?」「他の人にも貸してあげなさい」と言い聞かせるのは、0才の生まれたての赤ちゃんに、立ちなさい!なんで立てないの?と言うのと同じことです。

もちろん、しつけや教育として人にも譲ること、相手を思いやることの大切さも少しずつ教えていく必要がありますが、行き慣れた場所、慣れた相手、眠かったりお腹が空いていたりしていない調子のいい時間帯の時に少しずつはじめてください。くり返しになりますが、3才までのお子さんにとっては、まだまだ他者の気持ちを考えること自体とても難しいことなのです。

でも、児童館や公園に行くなどして、同じ年齢のお子さんが集まる場面ではどう対応すればいいのか? ポイントは2つ。1人で遊べば良いと思うことと、空間づくりです。

1つ目の1人で遊べばいい!というのは、先に説明したように譲り合って遊ぶのは難しく、保育園や幼稚園などいつも同じ環境や同じ子どもが集う場面であればまだしも、いつもと異なる場面で譲り合いを教えるのはとても難しいから。友だちとの関わりを学ぶ前に、1人で集中し好きなことを満足いくまでじっくり遊びこむことが、次のステップ、誰かと一緒に遊ぶことを楽しむことができるようになるための前段階としてとても大切です。

2つ目は、空間づくりです。お子さんの見える視角の中に、他の子の動きが入り込むと当然ですが気になってしまいます。私たちは、ついつい言葉がけ、つまり聴覚へのアプローチをメインで考えがちですが、実は、場所のもつ力、空間や環境のもつ力はとても大きく、視覚的なアプローチの方法を知っておくことは、大人も指示や注意の声を出す回数が少なくなり、騒がしくなく過ごせるようになるのでとてもオススメです。視覚へのアプローチとは、感染対策のソーシャルディスタンスを促すため、店内アナウンスだけでなく、レジに並ぶ際に分かりやすい目印がついているのがそれにあたります。

言葉の理解がまだまだ習得過程にある子どもたちには、言葉のアプローチよりも視覚的なアプローチの方法が有効です。

簡単にできる方法をひとつお伝えします。児童館などに行った際、はじめに遊び(おもちゃ)を決めたら、他が見えないところで遊べるように場所を決めてみてください。部屋の中央や人の出入りが頻繁にある入口近くではなく、部屋の端がオススメです。壁側におもちゃを置いて、できるだけ視覚に他の子や気が散るような動くものが見えない場所を探してください。イメージは個別指導塾です。たったこれだけですが、きっと満足して好きな遊びを満喫できる時間になるはずです。ぜひ試してみてください。

Q:友達やきょうだいとケンカばかり。仲良く遊べるようになってほしい!

A:たくさんの経験が必要です。うまく1人の時間も確保してあげましょう。

では、次のステップ。
人との関わりはいつからどうやって教えていけばいい?についてですが、これについては3才くらいいから、とにかくたくさんの具体的な経験をさせてあげることが重要です。自分と違う他者の気持ちをイメージし、理解できる能力が育ってくるのは何才頃からだと思いますか?もちろん個人差はあるのですが、実は10才。小学4年生なんです!これは、脳科学などの研究からもわかってきていることなのですが、小学校の低学年でもまだ他者の気持ちをイメージすることはとても難しいのです。

イメージする力、つまり抽象の能力が育ってくる10才までの間に子どもたちがするべきことは、たくさんの経験をすることです。ついつい親や周りの大人が先回りして、「一緒に遊んであげたらどう?」「ごめんなさいと言いなさい」と促してしまうことがあると思いますが、大きなケガなど起きないようにだけ気を付けて見守り、大人は少しの間我慢して、ケンカも言い合いも、ちょっとした意地悪も見守って大切な学ぶ機会を奪わないように気を付けてあげてください。

幼児期の今、ごめんなさい!とすぐに言えることも大切ですが、学童期、思春期、そして大人になった時に、自分とは違う価値観やバックグラウンドをもった人に対しても、本当に相手のことを思いやることのできるやさしい心をもった大人に育ってほしいと思いませんか?

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宝田 ひか里(たからだ ひかり)

元幼稚園教諭。息子3才・娘0才の時にオランダの幼児教育法ピラミーデと出会い、ティーチャー資格取得。そのわかり易さと理論の奥深さに魅了され、講座の構築と自身の子育てに取り入れ7年目。子どもと育ち総合研究監修の元、「あそびの先生」の講座・プログラムを構築し、2016年一般社団法人を設立。

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