新しいお料理に挑戦する!キッチンでエクササイズ!脳を活性化する食材を使う!<料理で介護予防・認知症予防vol.3>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

料理研究家・フードコーディネーター・介護予防運動指導員の池田康子さんに、いつまでも元気で楽しい生活を送っていくために、また、できるだけ介護状態にならない心と身体を保っていくために「お料理で介護予防 認知症予防」を教えていただくシリーズ。第1回目は「お料理をすることがどうして介護予防、認知症予防になるのか?」について、実践方法とともに教えていただきました。第2回目は「お料理をする時の一連の作業で脳を活性化」というテーマでお話しいただき、何気ない普段の行動が脳の活性化の一助となることについて教えていただきました。

最終回、第3回目となる今回は「キッチンで脳を活性化させるアラカルト」を教えていただきます。

 

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日々のお料理が脳に与える良い影響

美味しいものを作るためにいろいろ考え、脳と手を動かし、時には鼻歌を歌ったり、好きな音楽を聴きながらクッキング! おひとり様でも、パートナーやお子さん、お孫さんと一緒に。たまにはお友達を呼んで、キッチンで過ごす楽しい時間。笑顔の食卓。こだわりがあってもいい。簡単なものでもいい。買ってきたご飯をちょっとオシャレに並べてもいい。普段使わない食器に盛り付けてみたり。料理は、楽しさに溢れています。

シリーズ最終回となる今回は、更に具体的に、脳を活性化させる方法についてお話ししましょう。

毎日ではなくても、それぞれの生活の中でお料理をする。食べる。継続する。これが身体と心と脳を元気にしてくれる秘訣だと考えます。長い人生、介護状態や認知症にならない、もしかしたら発症してしまうかもしれませんが、その時期を遅らせるためにもキッチンに入りましょう。

オリジナルのレシピを作る。お料理の情報を得る。懐かしい味を再現してみる。電子レンジで温める。

「今日はお買い物に行かないと決めた。冷蔵庫に残っているもので作ってみよう」と意気込み、残っている○○と○○を組み合わせて調理してみる。思い付きだけど意外と美味しい1品ができた!なんてこともありますよね。私はこれを「ある ある クッキング」といっています。

料理名があるものでも食材や味付けを変えてみたアレンジ料理。例えばお肉をツナ缶にして少し残っていたカレーパウダーを使い「ツナじゃが カレー風味」の完成。「ある ある クッキング」始めるとお料理のレパートリーがどんどん増えていきます。

また、「今日の夕飯は何を作ろうかな?」とテレビの料理番組や料理本、料理のアプリや動画を見てメモをとったり、内容を理解してトライする。これも脳トレになります。

それから、子どもの頃よく食卓に上った大好きなお母さんのお料理。「おふくろの味」を再現してみる。お母さんに限らず、お父さん、祖父母、親戚の家に行くと必ず食卓に上っていた郷土料理など、誰にでもひとつやふたつ、懐かしい思い出の味というものがあるのではないでしょうか。「あのお料理、もう一度食べたいな〜」と思った時、その頃の食事の情景が蘇ってきたり。思い出の1品作りにチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。

記憶の中にある食事を頭の引き出しから取り出したり、お料理メモを作ったり、レシピや動画を見ながらお料理をする。発想を変えてお料理をしてみる。これもお料理で脳を活性化!ですね。

作ったら片付ける。

「さあ、できた!食べよう〜」となった時、キッチンもすっきり片付いていると嬉しいですよね。でも、なかなか容易なことではありません。洗わなければならない調理器具がいっぱい。食後の食器も含めると「もう、嫌だ〜」となってしまうこともよくある話だと思います。調理中に少しずつ洗って片付けができれば理想的なのですが…。

調理開始から片付けまでのキッチンでの手順、時間配分を考えて動くことができれば完璧!なのだと思います。でも、まあ、そこはできる範囲で…。せっかく最後に作った温かいお料理はすぐに食べたいですものね。

また、今までキッチンに立ったことのないシニアの男性が、まずは洗い物から始め、調理に興味を持つようになったという話を身近で聞いたことがあります。これもあり!ではないでしょうか。

キッチンでエクササイズをしよう。

キッチンの調理台や流し台は、手を伸ばして身体を支えるのにちょうどいい高さに作られています。それを利用してスクワットや爪先の上げ下げなどの筋トレやストレッチを行ってみてはどうでしょうか。

手毬寿司
また、冷蔵庫を背にし、踵と背中をつけてまっすぐに立ち、両手を上げ、できれば後頭部、両肩、お尻をピッタリつけて全身を伸ばす。電子レンジタイムに1分間の片足立ち。最初は1分できなくても少しずつタイムが伸びてきます。1分から3分へ。電子レンジのタイマーを見ながら挑戦。続けることで身体のバランス力がついてきます。

キッチンで隙間時間を活かして身体を鍛えていきましょう。

脳を活性化させるといわれている食材を使おう。

脳が元気でいるためにもバランスの良い食事を取ることが大切です。また、脳を活性化させるといわれている食材(ブレインフード)をできるだけ使うことで、認知症を予防できるともいわれています。

キッチンエクササイズ

青魚や鮭にはDHAがたくさん含まれています。血液サラサラ効果があり、集中力や記憶力がアップ。また、魚以外でDHAを含んでいるのがナッツ類。特に胡桃にはα-リノレン酸が多く含まれていて、これが体内でDHAに変わるのだそうです。

また、ポリフェノールを摂ると脳が活性化するといわれています。ポリフェノールにはたくさんの種類があります。アントシアニンは赤ワイン、ブルーベリー、ナス、カシス。カテキンは緑茶や紅茶。カカオポリフェノールはココア、チョコレート。ルチンは蕎麦や柑橘類。イソフラボンは豆類。クルクミンはターメリック。ショウガオールは生姜。コーヒーポリフェノールはコーヒーなどです。食卓によく上がるお馴染みの食品ですが、意識して食べたいものですね。

また、オリーブオイルやアマニオイル、ココナッツオイル、エゴマオイルなどの油も積極的に使っていくといいのではないでしょうか。

以上、全3回に渡って、「料理」の視点から、特別な行動を起こさなくてもそれぞれご自身のライフスタイルの中で実践できる介護予防についてご紹介しました。人生100年時代と言われる現代、人生を謳歌するためにも大切な視点です。

池田康子池田康子
料理研究家・フードコーディネーター・介護予防運動指導員
2007年〜介護予防の仕事に携わる中で、年齢を重ねても環境が変わっても楽しい食生活を送ることの大切さを痛感。シニア世代に「料理を通していきいきとした生活を送ること」を提案したいという思いからフードコーディネーターの資格取得。2018年10月〜東京都府中市にて「お料理で介護予防 認知症予防をしましょう」がテーマの料理教室「Y+I Kitchen」を開き、「お料理&エクササイズ」「介護予防講座付きお料理教室」「おとな男子のお料理教室」を実施。その他、認知症予防のレシピ、高齢者向けのレシピ開発など。
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