お料理をする時の一連の作業で脳を活性化 !<料理で介護予防・認知症予防vol.2>

【コラム】暮らしをワンランクアップ

年齢を重ねてくると、いろいろなことが心配になってきますよね。「元気?」って聞くと「元気だよ〜」と答えるものの、足腰が弱くなってきた、疲れやすくなった、眠れなくなった、なんかやる気が出ない、など、生活に支障があるほどではないものの、「ちょっと気になる身体のこと」ってことありませんか?

そんな気になることのひとつに「物忘れ」があります。「一昨日の夕飯は何を食べたかなあ?」「以前に会ったことがある人なのに、すぐに名前が思い出せない」「あれ?スマホ、どこに置いたかしら?」など、ちょっとした物忘れ。これも誰にでもあることだと思います。心配性な方は「これって認知症なの?」と。いえいえ、まだまだ大丈夫です。しばらくすると思い出せたり、誰かに聞いて「そうだった!」となれば年相応の物忘れなのだそうです。ただ、身体も脳もトレーニングをしていくことは大切です。

 

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お料理をする時の一連の作業で脳を活性化する方法を解説!

料理研究家・フードコーディネーター・介護予防運動指導員の池田康子さんに、元気で楽しい生活を送っていくために、できるだけ介護状態にならない心と身体を保っていくため「お料理で介護予防 認知症予防」を教えていただくシリーズ。第1回目は「お料理をすることがどうして介護予防、認知症予防になるのか?」について、実践方法とともに教えていただきました。第2回目となる今回は、「お料理をする時の一連の作業で脳を活性化」というテーマでお話しいただきます。

ライフスタイルの中でできる運動や脳トレを楽しんで実践していきませんか。そう、まずは生きていくための基本中の基本である食事。キッチンに入ってお料理をすること、楽しく、美味しく食べることから介護予防、認知症予防を始めていきませんか。

 

電子レンジで温める。

買ってきたものを電子レンジで温めるだけ!という日もあるでしょう。

でも、その時も商品のパッケージに書いてある調理方法を読んだり、電子レンジに入れてワット数と時間をセットしたり。その間に器や飲み物を用意したり。その5分の間にもキッチンでいろいろな作業を行っていますね。

「美味しそうな香りがしてきた!早く食べたい」と思っている間にも脳は活性化しているのです。

料理イメージ

食材や調味料を出す。野菜を洗って切る。お湯を沸かす。煮る。味付けをする献立を考える。買い物メモを作る。買い物に行く。

たとえば「じゃがいもと小松菜のお味噌汁」を作る時、まず、じゃがいもと小松菜を洗い、鍋に水を入れて火にかけ、その間にじゃがいもと小松菜を切ります。お湯が沸いたら粉末の和風だしを入れ、じゃがいも、小松菜の順に入れて煮えたら味噌を入れて完成。

この行程の中で、野菜を切る、鍋に湯を沸かすというふたつの作業を同時に行っていますね。これって脳を使っているのです。「お湯が沸騰しているのにまだ野菜を切り終わっていない。火を止めなくちゃ!」と慌てたりすることもありますよね。そんなことにならないように注意を払うことも脳トレなのです。

料理イメージ

 

3品のお料理を作る。

和の食卓では一汁三菜といいますが、主食、主菜、副菜と汁物があればバランスの良い食事を作ることができます。ご飯はお米を洗ってセットしておけば炊飯器が炊いてくれるとして、お料理を3品作るって手間も時間も掛かり、大変だなあ〜と思われる方も多いのではないでしょうか。でも、3品を作るとなれば、ますます脳は活性化!します。

お味噌汁と焼き魚、煮物、サラダか和え物。焼き魚は温かい状態で食べたいし、サラダは冷蔵庫から出してすぐの冷たい状態で。和え物はできれば食べる前に和えた方が水っぽくならなくて美味しいかな。煮物は味が染みていた方がいいし、時間が掛かるから一番先に作っておく方がいい?などと考えると調理する順番が決まってきます。だらだらと1品ずつ作っていては夕飯に間に合いません。

そこで大切なのは同時進行です。食材を切る順番を考え、煮物をしながら、お味噌汁は味噌を入れる手前まで作り、サラダや和え物の準備、食べる直前に魚が焼ければパーフェクトです!あとはご飯をよそい、お茶かビール?

3品のお料理を作る時、段取りを考え、計画的に調理をしていますね。2つ、3つ以上のことに注意を払っています。そうでなければ、煮物が生煮えだったり、魚が焦げてしまったり。頑張ったのに残念な食卓になってしまいます。

認知症になると、この同時進行ができなくなったりもするようです。時計を気にして段取り良く、気を配りながら調理をする。この時、脳はまさにフル回転です。

料理イメージ

美味しい食事を作って脳が活性化をするのなら、毎日は難しくても、最初は上手にできなくても、何十年もキッチンに立ってきたからそろそろ卒業したいと思っても、簡単なものでもいいですから、お料理をして認知症を予防していきませんか〜 認知症にならないことが介護予防につながっていくのです。

池田康子池田康子
料理研究家・フードコーディネーター・介護予防運動指導員
2007年〜介護予防の仕事に携わる中で、年齢を重ねても環境が変わっても楽しい食生活を送ることの大切さを痛感。シニア世代に「料理を通していきいきとした生活を送ること」を提案したいという思いからフードコーディネーターの資格取得。2018年10月〜東京都府中市にて「お料理で介護予防 認知症予防をしましょう」がテーマの料理教室「Y+I Kitchen」を開き、「お料理&エクササイズ」「介護予防講座付きお料理教室」「おとな男子のお料理教室」を実施。その他、認知症予防のレシピ、高齢者向けのレシピ開発など。
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