お家での子ども英語教育で最も大切なこと。<子どもに本当に必要な英語力 Vol.4>

アルファベット 【コラム】暮らしをワンランクアップ

2020年の小学校の英語教育必修化まであと一年。グローバル化が進み、英語のスキルが当たり前に求められる世の中に変わりつつあることを、肌で感じることも多くなってきたこの頃、お子さんへの英語教育についてお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?

英語と子育てについて、バイリンガル育成スクールの経営をしながら、「日本の子ども英語教育の改革」に人生を賭けて取り組んでいる羽織 愛さんに、4回に渡りお話をいただきます。

最終回となる今回は、お家での子ども英語教育についてお話いただきました。

アルファベットのブロック

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目次

お家での子ども英語教育

今回は最終回ということで、お家での子ども英語教育についてのお話をしましょう。お家で誰でも取り組める━それが、お家での子ども英語教育です。
良い言語教育となる、お勧めの方法をご紹介します。

1.「英語子育て」ではなく、実は「英語親育て」

最初に、一番大切なポイントをお伝えします。それは、お家英語は「子どものチャレンジ」 ではなく、「親のチャレンジ」だということです!

子育てするのは、親育てでもあるんですよね。大人になってからも、人間は成長することができます。成長を止めて思考停止のままでは、お家での英語教育はできません。

子どもだけが成果を問われると勘違いして、親が威張って英語をやらせるようではいけないのです。
「どうやったら、子どもの英語学習のサポートができるのかな。」
「親として、どんな声かけをすべきなのかな。」
そんな風に、常に自問自答して、親としての自分もどんどんレベルアップさせていく、そんなイメージを持ちましょう。

親子で英会話ができるようになったり、子どもがいつか、「子ども時代、ママと英語取り組みしたのが楽しかった! ありがとう!」なんて言ってくれたら素敵だな……!
そんなキラキラした未来のイメージを持って、
「自分も共に学ぶんだ! そして、親として成長するんだ!」
そんな風に思えたら、スタートの準備はバッチリです!

2. 取り組む前に、自分の気持ちをきちんとケアしよう!

子育てって、結構ハードな面がありますよね。昼夜問わず、親としてずっと働くことを求められます。

私も14歳の娘の母親ですが、子どもを産むとき、人生でこれ以上苦しい思いをしたことはないと思ったし、赤ちゃんを育てているとき、四六時中ずっと従事しなければならないから、人生でこれ以上にハードな仕事はないと思いました。

そんな中で、私にとって娘とのお家での英語取り組みは、気持ちのリフレッシュになる、最高のオアシスでした。

連載の第3回目の記事でも書きましたが、外国語を学ぶことは、精神にも良い影響を与えるんです。鬱を抑制する効果もあるそうです。

私はこれを本当に実感しながら子育てしてきました。英語取り組みは、気持ちのリフレッシュになったり、毎日の親子の温かいコミュニケーションの時間として、私の子育て期を支えてくれました。

私の教室、SUNNY BUNNYに通うお母さんからも、「英語を子育てに取り入れてから、子育てが楽しくなった」という嬉しい報告をいただくことがあります。ぜひ、そんな風にお家英語を取り入れていただきたいです。

英語は怒って教えても上手くいきません。英語タイムは愛情タイム。親も、子も、ほっと一息ついて、取り組む。笑ったり、ハグしたりして、「ああ、今日も我が子は可愛いな」とか、「人生、色々あるけど、こんな時間もあるからまた頑張ろう」と思えるようなタイムにすると上手くいきます。
毛糸でアルファベット
そのために一番お勧めなのが、「深呼吸」です。
目を閉じて、深く息を吸う。そして、吐き出す時に、嫌な気持ちを全部体から吐き出すイメージで、しっかりと吐き切ります。

子どもの英語教育は、「嫉妬」とか「競争心」とか「焦り」、「見栄」とか「意地」とか「エゴ」 があると、絶対に上手くいきません。

親がそんな自分勝手なマインドで取り組んでしまうと、例え幼児期は上手く行っているように見えても、意思と知恵を持った中学生、高校生になったとき、「あの英語時間は大嫌いだった!」なんて言われてしまうかもしれません。

そんな風にはならないように、きちんと「親育て」と向き合って取り組みましょう。
ネガティブな思いを持ってしまうのは、誰でもあること。人間は誰でも、完璧ではないのだから、仕方ありません。大切なのは、それをそのまま英語教育に持ち込まないことです。

そのために深呼吸をして、まずは自分の気持ちをケアしましょう。気持ちよく息を吸って、嫌な気持ちを全部吐き出す。最低5回は深呼吸してみてください。

眉間のシワがスーッと消えて、肩の力がスーッと抜けて、無意識に力を入れていた体の場所に気が付いて、どんどんリラックスして、ホッとした気持ちになったらスタートしましょう。

この過程で、自分の気持ちのわだかまりに気が付いたりすることもあると思います。自分の気持ちと向き合うことで、泣きたくなってしまう時もあるかも知れません。そんな時は、ちゃんと泣いちゃいましょう!

あれは嫌だったとか、こんなに頑張っているのに辛いとか。ここでちゃんと時間を使うことって、すごく大切。今日は心の準備が整わないなと思ったら、ちゃんと気持ちと向き合って、心の準備を整えることに全力を注ぎましょうね。

お母さんは完璧じゃなくて良いんです!でも、心のわだかまりを抱えたまま、それを子ども英語という形で子どもにきつく当たってしまうのはNGです。ちゃんと自分のことは自分で責任を持ってケアして、ホッとリラックスした気持ちでスタートすることが、お家での言語教育を成功させる 最重要ポイントです。

ここまでの2つのポイントを押さえていれば、どんなやり方でも、大抵上手くいきます。ちょっと 拙くても、発音がおかしくても、大丈夫!教育としての根本がちゃんとしていれば、子どもはきっと英語が好きになるし、上手く教えてあげあられなかったことも、自分でそのうち獲得してくれます。

まずはその大切な土台を作ること。親子の正しい関係で、ちゃんと取り組むこと。それ以上に大切なことはありません。

3.「量」より「質」の絵本読み

では、具体的に何をするか。最初のステップとして一番お勧めなのは、絵本を買うことです。まずは絵本を2~3冊買ってみましょう。
ちょっと面倒でも、洋書の置いてある本屋さんに親子で足を運んで、一緒に「これが良いかな」 とかおしゃべりしながら選ぶのがベスト。

読んであげる方にとって、難しすぎない絵本が良いですね。ちょっと難しくても、少し頑張れば読めるかな、というくらいでも良いですね。
近くに洋書の置いてある本屋さんがない場合は、アマゾンが便利ですよ。今はインターネットで 何でも取り寄せられるので、良さそうな絵本を選んでみてください。
お勧めとしては、Eric Carle や Dr.Seuss など、英語圏で大人気で、その人気が世界中に広まっている著者の絵本です。

英語が初めてなら、“Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?” Eric Carle が良いでしょ う。

読んであげるお家の方が英語が得意なら、“THE CAT IN THE HAT” Dr.Seuss を読み込んで、小さい頃からこの英語圏独特の絵本に親しませてあげるのも最高です。
子どもに読み聞かせをしている様子
英語圏のもので、有名なものを選ぶことで、いわゆる子どもの教育として良い効果のある良書を誰でも簡単に選ぶことができます。
一気に大量の英語絵本セットや英語教材のセットを買ってしまうことは、私はお勧めしません。購入したという方300人以上はお会いしてきましたが、ほとんどの場合、飽きてしまって使いきれないというのが実情です。

買うときに期待していたような効果が得られず、大量のセットが余ってしまうのは、あまり賢い買い物とは言えません。幼児期の英語教育は、「ポンとDVDをつけるだけ」とか「CDをかけ流すだけ」とかでは全く効果は得られません。

英語は、日本語と何ら変わらない、単なる「ことば」の一つです。
良い日本語を教えてあげよう、日本語が上手な子に育てよう、と思ったら、優しい、綺麗な言葉で語りかけてあげたりするイメージが湧きませんか?ひたすら日本語CDをかけられて育った子どもが、良いコミュニケーションをして、日本人として日本人から愛されて尊敬されるような人に育つでしょうか?なるわけがありませんよね。

言葉の上手い下手は、「量」では決まりません。言語とは、人と人が気持ちを伝え合うための手段です。だから、どれだけペラペラ話すか、なんて、さほど意味はありません。大切なのは、「質」。何を、どんなタイミングで、どんな風に伝えられるか。つまり、人間力があるかどうかが、一番大切なポイントなのです。

絵本も同じ。「量」よりも「質」です。無意味に数百冊を幼児期に読ませようとしたりするのはやめましょう。子どもが絵本の世界に没頭して、目をキラキラさせて楽しんでいるかが大切なのであって、読んだ冊数など、さほどの意味はないのです。

2~3冊買って読んでみて、もうちょっと簡単なのが良いな、とか、もうちょっとこういう 内容の方が好きだな、とか、考えながら、次の2~3冊を追加する。

そんな風にしていくと、オーダーメイドで素敵な親子の洋書コーナーが出来上がります。これが、お家で英語に取り組む際の、最高に「質」が高い絵本の取り組みです。
これは、一斉にレッスンをする英語教室では提供できない、とっても素敵な親子の取り組みと言えます。
英語の絵本読みは、何冊読んだという「量」よりも、「質」を意識して取り組みましょう。

4. 英語で会話してみよう!

最後にお勧めなのが、ちょっと英会話をしてみることです。絵本読みからスタートして、絵本についてお話ししてみましょう。

What’s this? (これは何?)
It’s a tree. (木だよ)

こんな簡単なところからでOK!

上手にできたら、ちゃんと英語で褒めてあげましょう。
Very good! (よく出来たね!)

親は、見張って叱る監督ではなくて、一緒に練習して、一緒に楽しむお友達、みたいな感覚で楽 しめたら最高です。
一緒にやってみよう!と、お母さんやお父さんがニコニコして絵本を持ってきてくれたら、きっと お子さんは嬉しくなりますよ。
日本語訳を入れるのは良くないので、英語だけで言える簡単なところを、英語だけでお話しして みてくださいね。

最後に。
お家での取り組みは、「毎日1時間以上!」とか、「目標1000冊!」とか、「量」で勝負しようとすると本当に苦しい毎日になってしまいます。そんな、根性論では楽しくありませんね。
子どもは、楽しいときに、最高の知能を発揮して、柔軟な発想を育て、最速で知識を吸収します。

子どもを賢いバイリンガルに育てたいと思うなら、親子で一緒に、温かい英語タイムを作ることです!
笑うこと、褒めること、一緒に幸せを感じること。こんな時間に、英語という外国語のエッセンスを入れてあげる。
そんな風に取り組んでくれる親子が1組でも増えてくれたら、何より嬉しいです。

羽織愛さん

羽織 愛
SUNNY BUNNYバイリンガル育成スクール代表
バイリンガル育成スクールの経営をしながら、「日本の子ども英語教育の改革」に人生を賭けて取り組んでいる。自身もレッスンに入り、子どもたちに英語を教えることもあり、情報を多角的に取ることを常に意識しながら、日々勉強と実践を繰り返している。

■SUNNY BUNNY バイリンガル育成スクールhttp://sunnybunnyinfo.com

 

■「輝く人の生き方とは?」のコーナーでもご紹介。

羽織愛さん

人生を賭けて取り組んでいるのは「日本の子ども英語教育の改革」。「日本バイリンガル化計画」促進のために日々実践、挑戦!/羽織愛さん(言語教育研究者、英語教師、英語教室経営者)

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