東京都にお住いで、様々なメディアでも紹介されている完全個別指導型のトレーニングジム「BiP」を経営され、太極拳の元世界チャンピオンという経歴をお持ちの薩田 有紀代さん。なぜ筋トレ素人の女性がパーソナルジムを経営しているのか?きっかけや想いなどを伺いました。
薩田 有紀代(さつた ゆきよ)さん
東京都在住
株式会社BiP 代表取締役
完全個別指導型パーソナルトレーニングジムの経営
健康食品などの開発・製造・販売
2013年・2017年 太極拳世界大会優勝者
プロフィール https://gym.co.jp/satsuta-yukiyo-profile-20190919/
🔲株式会社BiP https://bodyimpactplanner.com/
🔲パーソナルトレーニングジムBiP 公式HP https://gym.co.jp/
🔲パーソナルトレーニングジムBiP ブログ https://gym.co.jp/blog/
目次
なぜ、筋トレ素人の女性がパーソナルトレーニングジムを経営しているのか
株式会社BiPでは、パーソナルトレーニングジムBiPという完全個別指導型のトレーニングジムを東京都内で2店舗運営しています(2020年2月現在)。
有名なところですと、R社さんなどが同業ですね。
もともと「BiP」という名前で運営しているパーソナルトレーニングジムを、2018年2月に現オーナーが前のオーナーから買い受けて(M&A)、株式会社BiPとして登記しました。私はその2ヶ月後に入社しました。
2020年2月20日でちょうど2歳になったばかりで、設立記念partyを行いました。
(2歳になりました〜BiP設立記念partyの様子)※写真左から3人目が薩田さん
https://gym.co.jp/happy-birthday-2yearsold-20200218/
よく「どういう経緯で起業したのですか?」と聞かれるのですが、前述のように、私が起業したということではなく、既に存在していた会社(BiP)に入社後、オーナーから「会社の代表になってほしい。」と依頼がありました。私はその時に「はい」と返事をしただけなので、起業の苦労はしてはいません(笑)。
BiPの前職では、マーケティング・リサーチ会社でリサーチャーをしておりましたが、全社集会はサボる、日報は書かない、社員旅行など会社イベントにはほとんど出席しない、納得できないこと・面倒くさいことはやらない、というようなこともあり、模倣的な社員だったとはとても言えませんでしたね(笑)。当時、会社勤めをしながら外部セミナーへの参加や副業をしていましたので、とにかく時間が欲しかったです。
太極拳の世界大会で優勝した経験がありましたので、太極拳で起業しようと思っていました。会社員の仕事の傍ら、土日の休みや有給などを使って、太極拳の指導や、ワークショック・講演会をやったりしていましたので、当時の私は、「いかに時間を創るか」が最大の関心事でした。
でも、太極拳イベントなどを企画しても、お客様が全く集まらず、友人たちが最初は付き合いで参加してくれるのですが、それも限界がありましたね。
そんな時に、「パーソナルトレーニングジムの運営を手伝ってくれる人を探している人がいる。一度会ってみないか?」と友人が声をかけてくれました。それがBiPの今のオーナーでした。
私は太極拳をずっとやっていたこともあり、筋トレには懐疑的というか、むしろ反対でした。強い筋肉をつけると身体が重くなってむしろ動けない身体になってしまう、だから身体に悪い、と思っていたのです。
もっと言うと、「筋トレなんてムキムキマッチョが、重いダンベル持ち上げてるだけ。プロテインを飲むと太る」というくらいの認識しかありませんでした。実際にオーナーと会って、「ひとまず1ヶ月、会社員と並行でパーソナルトレーニングジムBiPのアルバイトをしてみて、それで転職するかどうか決めましょう。」という話になりました。
筋トレには懐疑的でしたが、「太極拳での独立がどうも実現しそうもない・・・。今の会社に勤めていてもなにか楽しくない・・・。」そんな状態だったので、「とりあえず試しにやってみよう!」という気持ちになりました。
1ヶ月間のアルバイトといっても、実際にBiPの会社に行ったのは、会議に参加した1〜2度だけでした。あとは、いろいろなパーソナルトレーニングジムの体験に行き、私なりの視点でその結果をまとめたレポートをメールで提出したり、LINEで日々送られてくる業務についてコメントを返したりということをやっていました。
アルバイトを始めてから1ヶ月後、再びオーナーと会いました。予め、オーナーからBiPに「来てください」と言われても「来ないでください」と言われても、何と言われても「はい」と答えようと決めていましたので、オーナーからの依頼に「はい」と答えました。それで、今はBiPでジムの経営に携わっています。
「自分の正しさ」を押し付けた結果、失敗をしてしまい・・・
入社してからは、いろいろありました。いま思えば、反省すべき点もたくさんあります。
すでに店舗があり、お客様も社員(トレーナー)もいる状態で、後から私が代表取締役として入ったわけですが、元々いたトレーナーたちからすれば、後から入社してきて、しかもトレーニングや食事指導や栄養学の素人の女性からいろいろと言われても、きっと納得できないことも多くあっただろうなぁ、と思いますね(笑)。
でも入社して1年目くらいのときは、「結果を出さなければ!」「成果を出さなければ!」と焦って、現場やお客様さんのこと、トレーナーたちのことが見えていませんでした。
また、トレーナーたちの話を“聴いている”つもりで、実は「あなたたちがこう言ったからこうしたのよ」と、失敗したら後になって私が言い訳をできるように逃げ道を作っていたんだな、ということに、ある時、気がつきました。
原因は、私の中にある「認めてほしい」「評価してほしい」「すごいって言われたい」という気持ちと、自信の無さでした。
これって、いつも他人からの評価を求めているんですよね。
オーナーやトレーナー、お客様からの良い評価を求めていたから、しゃかりきになって、逆にうまくいかない。
また、筋トレには懐疑的だけど、太極拳を通して身体をメンテナンスすることの素晴らしさを実感していた私は、「こうすべき」みたいなものを、トレーナーたちに押し付けていた部分もありました。
今では、トレーニングの本質を日々学び、身体というものの奥の深さや神秘をますます実感していくなかで、「こうあるべき」「これをしなければならない」というような『自分の正しさ』を手放しました。そのためか、いまは仕事がとても楽しいです。
そうやって自分の正しさというか、正義感みたいなものを手放してみると、トレーナーたちは、トレーニング指導の現場に立たない私よりも、お客様のことをよく見ているし、考えている、ということがよく分かってきました。
だから今は、私はお客様のサポートをするために、トレーナーのサポートをしようと思っています。
上司と部下というよりも、単に役割が違うだけなんだと思います。
トレーナーの皆さんから、身体のことや食事・栄養について、いろいろと教えてもらうのは本当に楽しくてずっと聴いていたいと思いますし、とにかく飽きないです。
人間として、変化していることを実感する毎日ですので、トレーナーやサポートしてくださっている皆さん、もちろんお客様にもとても感謝しています。
とにかく楽しいことだけやってください
2週に1回は全社ミーティングを行い、更に2週に1回、個別で1人ずつトレーナーとミーティングを行っていますので、少なくとも週に1回はトレーナーに会うようにしています。
普段、私が業務をしている事務所と、トレーナーたちがいる店舗が物理的に距離が離れているので、なるべく会うようにしていますが、これ以上でも以下でもなく週1回がちょうどいいなというのが私の感覚です。そういう意味で、私の仕事は「トレーナーに会うこと」です。
「お客様の話を聴きましょう」と言いながら、私がトレーナーの話を聴けてるかな?と、いつも振り返りながら会っています。
会うたびごとに、みんな良い意味で変わるので会っていてとても楽しいです。
トレーナー全員に感じるのは、心がとてもクリアだということ。透き通っているので、会っているとこちらがそのまま映し出される感じがします。私に1点の曇りがあると、それがそのまま映し出されるので、それに気づくことができるというか、そういう感じですね。
トレーナーに会う理由は、コミュニケーションのためです。
特に話すことがなくてもいい。ただ、会って、顔をみて、帰る。それで良いと思っています。
トレーナーにとっては、貴重な時間を取られて嫌だと思われているかもしれませんが(笑)、私はトレーナーに会うのが楽しい。だからやっています。
トレーナーにも、とにかく楽しいことだけやってください、とお伝えしています。
なぜなら、楽しいことをやっている人は、楽しいオーラを放つので、それがお客さんに伝わるからです。
トレーナーに「アレやコレをやってください」とお願いすることもありますが、それをやったほうが良いと思うのと同時に、「こうしたらいいのでは?」と提案することが楽しいから言っているのであって、トレーナーがそれをやろうがやるまいがどちらでも構わないのです。
それをやらないからといって、評価を下げたりすることはしません。
ただ、居てくれるだけでいい。皆さんよくやってくれているし、それで十分だと思っています。
今後は、トレーナーだけでなくお客様にももっと会っていきたいと思っています。
私にとって人に会うことは、楽しいことだからです。
筋力トレーニングとは、不要なものを身体と頭からそぎ落としていくこと
「楽しいこと」の逆は、「一生懸命」と「努力」です。
私は一生懸命、努力しても、太極拳の大会で負けたことがあります。
※参考:「勝ちたい」と思うと勝てない 〜成果を得るたった一つのコツ〜
一生懸命に努力しても、「会社で認められなかった。評価してくれなかった」と思い込んでいました。一生懸命とか努力って、いつも他人と比べているから、いつまでたっても報われないし、幸せになれない。自分にとっての楽しいことをやっていれば、たとえそれが他人から「一生懸命」に見えたとしても、本人は楽しくてやっているのだから、好きなだけやればいい。すると、それは幸せな時間になる。そういう「楽しいことを積み上げていくと、毎日が楽しさだけになる」ということを太極拳や仕事を通して学びました。
そして、同じように「痩せればモテる」「身体が変われば自信がつく」と言う人がいますがそうではないと思います。一生懸命に努力をするというよりも、トレーニングが楽しくて続けていたら、いつのまにか痩せて、身体が変わっている。楽しいことをしているから、痩せようが痩せまいが、その人は幸せに満ちて、結果として、モテる・自信がつくのだと思います。
だから、BiPでのトレーニングは努力も一生懸命も手放して、楽しくやることを大切にしています。苦しいこと、辛いことは続きません。
せっかく痩せてもリバウンドしてしまったら、そこまでに投資した時間とお金がもったいない。
BiPでのトレーニングを続けて頂けると、身体が変わっていきますが、それよりも、ダイエットや食事、身体の使い方などに関する固定観念が削ぎ落とされていきます。
だから、心身ともに健やかになり、あなたが本来もっている身体の能力が呼び起こされて、本来あるべき体型に整っていきます。そういう意味で、トレーニングとは、不要なものを身体と頭から削ぎ落としていくことなのだと感じています。
「筋トレは身体に良くない」という自分にとっての正しさ(固定観念)を飛び越えて、BiPにジャンプインして本当に良かったと思います。私のとっては、BiPでの仕事が、不要なものを身体と頭から削ぎ落としていくとても楽しい時間になっています。
24時間365日、いつでもどこでもすべてが仕事ですべてが遊んでいる感じです。なので、疲れたとかストレスを感じることがありません。こんな気持ちで仕事ができているので、トレーナーの皆さんや関係者、お客様には、感謝の気持ちでいっぱいです。
以上、今回は薩田有紀代さんへのインタビュー内容を記事にさせていただきました。