手話が特別なものではなく、あたり前になる社会を目指して/岡崎伸彦さん(一般社団法人代表)

ライフスタイル

大阪府にお住まいで手話によるパフォーマンス活動を行っている岡崎伸彦さん。岡崎さんが、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。

岡崎伸彦(おかざき のぶひこ)さん
一般社団法人 手話エンターテイメント発信団oioi  代表理事
独身
一般社団法人 手話エンターテイメント発信団oioi HP

目次

“きこえる人”と“きこえない人”の間にある心のバリアを壊すために

私が代表を務めているのは、“きこえる人”と“きこえない人”の間にある心のバリアを壊すために、手話コントや手話歌などのパフォーマンス活動を行っている団体です。それだけではなく、 “手話”や“聴覚障がい”について楽しく学べるワークショップも開催しています。 というのも、私が目指しているのは、エンターテイメントの力で”手話”を世の中に広め、手話が当たり前の社会を創る ことで”きこえる人”と“きこえない人”が歩み寄りやすい社会を創ることなのです!

だから、私自身も、手話パフォーマンスをしているときが一番楽しいですね!お客様の目の前でパフォーマンスをして、いっぱいウケたときは気分爽快ですし、スベったときは悲しい気持ちになりますが、とてもやりがいのあることだと、自分自身でも思っています(笑)。

なにより、自分たちのパフォーマンスをきっかけに“手話”や“きこえない人”について興味を持つようになったという方がたくさんいることも、やりがいのひとつです。自分たちが楽しいことをしながら手話を広めていけるなんて、これ以上に楽しいことはないと思います!!

岡崎信彦さん

 

「きこえる人にとっての手話の価値ってなんだろう?」の自問自答

もともとはと言えば、いろいろなところで手話パフォーマンスをしている内に「この活動は本気で社会を変える可能性がある」と思えたことが、私の活動のきっかけです。そこからますます本気になり、どんどんのめりこんでいきました。

最初は、ただ自分自身が楽しいから手話パフォーマンスをしていただけでしたが、自分たちのパフォーマンスをきっかけに手話の勉強を始めた人が少しずつ増えていくのを目の前にして、だんだん「手話を社会に広めていくのは自分たちの役割なんだ!」と使命感を持つようになりました。

今では、「きこえる人にとっての手話の価値ってなんだろう?」ということを、常に考えています。一般的に手話は耳がきこえない人のための言語というイメージが強いと思いますが、きこえる人の生活を豊かにしてくれる言語でもあると思います。例えば、“表情”や“ジェスチャー”が豊かになる。視覚的言語だからこそ、face to faceなコミュニケーションが自然に生まれ、より気持ちの通った会話ができるようになる。そして、音声コミュニケーションにはできない手話ならではの会話(窓越しの会話、騒音下での会話、海の中での会話など)ができるようになる。このように、 “きこえる人”が手話に関心を持ちやすくなるような魅力の発信も心掛けています。

 

笑い飛ばすことで、ストレスフリーの日々

そんな私のストレス発散方法は、とにかく笑い飛ばすことです。
悲しいことがあったり、嫌なことがあったとしてもそれをネタに変えてしまい、いろんな人に明るく伝えるようにすれば、話を聞いていた人も笑ってくれるし、自分もそれを見て嬉しくなります。

実際、僕自身も生まれた時から聴覚障がいがあり、高校を卒業するまではずっと自分の障がいにコンプレックスを持っていました。ですが、oioiの活動をはじめ、自分の障がいをネタにしたトークをするようになってからは、自分でもビックリするぐらいに自分の障がいのことが気にならなくなりました。むしろ、そこから先は耳がきこえなくて困ったことがあるたびに「よっしゃ!新しいネタが増えた!」と喜ぶようになったぐらいです(笑)。

もちろん、日々、健康にも気をつけています。体力をつけるために、できるだけエレベーターやエスカレーターなどは使わずに階段を使って移動するようにしています。毎日、ビルの1階から12階まで上り下りしているので、足腰には自信があります(笑)!
家の中では、いつでもトレーニングしやすいように5kgのメディシンボールやハンドグリップなどを自分のそばに置いておき、テレビを観る時間を使って、胸や腕、腹筋、握力などの「ながらトレーニング」をしています。

 

日常に手話が溢れる社会を目指して

これから、まずは、手話を使った本格的なエクササイズの開発に挑戦してみたいですね。コロナ禍の影響で運動不足になりがちな今、自宅の中で気軽に取り組むことができるようなエクササイズの需要は高いと思います。そこで、手話の要素をたくさん盛り込んだ新しいエクササイズを創り上げることができれば、健康に良いことをしつつ、自然に手話も楽しく覚えることができて一石二鳥ではないでしょうか。ここには、新しいエンターテイメントのひとつとして、手話エクササイズの可能性を感じています。

そして、将来的には日常生活の中で手話があふれるような社会を創りたいですね。そのために私は手話エンターテイメントをもっと盛り上げていきます。全国各地で手話パフォーマンス大会が開催されるようになったり、テレビ番組で手話パフォーマンス特番が組まれるようになったりするぐらい手話を身近な存在に変えていきたいです。手話が当たり前の世の中になれば、“きこえる人”と“きこえない人”は今以上にコミュニケーションを深め、お互いのことをさらに理解しあえるようになると思います。そうなれば、自然とお互いにとって暮らしやすい社会になっていくと信じています。

岡崎信彦さん
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