得意な人も苦手な人もいるけれど、日常生活に置いて欠かすことのできない家事のひとつ「片づけ」。
しかし、今や片付けは「お母さん」の仕事ではないのです。 家族みんなが楽に片づけられるようになると、家族が仲良く、気持ちよく過ごせる時間が増えます。
一緒に暮らす家族がそれぞれ快適に過ごせるようにするために、「ライフオーガナイズ 」という片づけのスキルをもとにした効果的な方法を、こそだてオーガナイザーの田中佐江子さんに3回にわたって教えていただくシリーズ。1回目は家族内での片付けのルールづくりについて、2回目は収納の工夫について教えていただきました。
最終回となる今回は、片付けのシェアがもたらす「生活力のアップ」について教えていただきます。
目次
片づけの練習はまずプライベートから!
Vol.1でパブリックとプライベートを分けることをおすすめしました。
家族で片づけを始めるには、パブリックスペースではなくそれぞれのプライベート空間からスタートしょう。 いろんなものが集まる場所だと、一人では判断がつかなかったり、他の家族と意見が合わなかったりして片づけに時間がかかります。
また、人の持ち物ほど片づけたくなって強要してしまう、なんてことも。 片づけは脳をフル回転しているので、判断することが多ければ多いほど、疲れてしまいます。せっかく取り掛かったのに途中で終わってしまわないように、まずは完結しやすい個人のスペースがおすすめなのです。 クローゼットや学習机、書斎など個人の持ち物が名の場所であれば、自分の判断で片づけ、管理する練習ができます。
片づけの作業でも、ご希望のリビングや押入れといったスペースの前にクローゼットの片づけをおすすめすることがあります。 クローゼットの自分のお洋服やバッグ、アクセサリーなどを片づける中で、ご自身の判断基準=価値観がクリアになり、片づけスピードが早くなります。
そして、きれいな空間は伝染していきますので、片づけに消極的な家族にも片づいた空間があることはとても効果的です。
家族で取り組む片づけは連想ゲームで!
では、みんなが使うモノはどうすれば片づけやすくなるでしょうか。
使う人が多いものほど「定位置管理」が必要になります。モノの住所をきちんと決める、ということです。 ただ、細かく決めてしまうと戻せない場合があるので、「仲間」を作って定位置をざっくりと決めます。 使う場所やシチュエーションなどを連想ゲームのようにして仲間を作っていくと、行方不明が減ります。
例えば、我が家では「まとめるもの」といったカテゴリーを設け、梱包テープや荷作りロープ、結束バンドなどをまとめた引き出しがあります。 「きっとこの中にある」くらいのカテゴリーにしておくと、片づけが苦手な人もその仲間のところに戻しやすくなります。 この「仲間決め」はぜひ家族みんなで取り組んでください。 こうして定位置を決めていと、全員に家中のモノに対して共通認識が出来ます。「お母さん、あれはどこ?」と聞かれる回数も激減します!
自分の家でやりたいことがスムーズにできる、というのは家庭生活においてとても基本的で大切なことだと思います。もちろんお子さんの年齢やご家庭の環境などにもよりますが、お母さんがいないと何がどこにあるかわからない、では快適には過ごせません。 完璧な収納でなくても大丈夫!少しゆるい収納から試してみましょう。
ときに考えるのが面倒、というところで工夫できることがもう一つあります。
片づけができると家事シェアが進む!
最近よく言われるようになった「家事シェア」。
誰か一人が担っている家事の「手伝い」をするのではなく、家族の一員として家事をしてくれれば、お母さんは時間にも気持ちにも余裕が出ますよね。 前途のように家庭内で家中のモノに対しての共通認識があれば、全てをお母さんが指示しなくても家事に必要な道具が使えるようになりますし、使い終わった後戻すことも各自でできるようになります。 夫や子どもがお料理を作ってくれるけど、後片づけができなくて余計に仕事が増える……なんてことがなくなります。
家事には一連の流れがあるもの。モノの定位置が決まっていて戻しやすい状態になっていれば、出しっぱなしやりっぱなしも少なくなりますし、「名もなき家事」と言われる日常の細かな用事にも気づいてくれるようになります。
我が家では週末にホットプレートでパーティーをすることが多いのですが、準備はもちろん、食事が終わると家族全員で一斉に後片づけに取りかかります。 余った食材にラップをかけ、食器を出し、ホットプレートを洗い、テーブルを拭く。油が飛んだ床や壁を拭く、ゴミをまとめるなど、やるべきことはたくさんありますよね。 この全てを私一人でするとなると食後にくつろぐ家族の姿を恨めしくも思ってしまいそうになりますが、「ごちそうさま!さあ、片づけるよ!」と一緒に取りかかるとあっという間に完了します。 それができるのは、家族の全員が何がどこにあるか、どこへ戻せばいいかをわかっているからです。
そして、こうして家事を一緒に行うことで家事の流れや手順を覚え、さらに家事シェアが進み、家族の生活力がアップします。
それぞれができることが増えると家庭の快適さは増しますし、お互いへの感謝も生まれます。家族が仲良く、気持ちよく過ごせる時間が増える、ということですね。
人生の長い時間を過ごす家。ぜひ家族みんなが快適に、楽しく過ごせる家をキープできるように、家族みんなで片づけに取り組んでみてください!
田中 佐江子(たなか さえこ)
「チーム家族」を育てる、こそだてオーガナイザー。大手企業関連会社を出産のため退社、10年間の専業主婦から整理収納アドバイザー、ライフオーガナイザーを取得し起業。日本ライフオーガナイザー協会認定講師。「がんばらなくてもうまくいく!」子育て・己育て、暮らしのサポーターとして、学校園PTA、公共機関、学校授業など講座実績多数。ライフオーガナイズのスキルを元に、空間の片づけだけでなく人生と暮らしの整え方を伝えている。ワークライフバランスやキャリア設計と暮らしの関係を考える企業研修なども実施。
高3女子、高1男子、中1女子の母。
ホームページ:人生を楽しむ母になろう
*La Vida Alegre* http://saetan.com