神奈川県にお住まいの音楽家 宮原慶太さん。宮原さんが、毎日イキイキと暮らしている秘訣は何でしょうか。今夢中になっていること、おすすめのストレス解消法、健康のために意識していることなどを伺いました。
宮原 慶太(みやはら けいた)さん
音楽家
神奈川県在住。
妻・娘の3人家族。
目次
キャリアは40年以上。音楽家として歩む人生
ピアニスト、作曲家としてキャリア40年が経ちました。髙橋真梨子さんのコンサートマスターとして年間50本以上のコンサートやテレビ、ディナーショーと全てのライブ活動に携わるかたわら、他のアーティストへの楽曲提供や編曲、テレビCM,テレビアニメや劇場公開映画の劇伴などの創作活動も幅広く行っています。同時に自身のソロ活動としてCDの発売やインストグループ「Fevbre(フェイブル)」の作曲、編曲、ピアノとしてイベント、ライブに出演しています。
それなりに人生を重ねてくると、自分の特性が分かってくることも多く、私自身は音楽やそれに関連したものづくりに携わっているときが一番楽しいと思い夢中になれることがわかりました。
今思い起こせば、若いころはとにかく仕事上で信頼を得るために依頼された事案を全うすることが優先であったり、クライアントの案件に応えるために自分の好みや特性を押し殺したりすることが多く、本来の自分の姿を見失いがちでした。しかし、ひととおりの経験を積んできたいま、自分のやりたい事や、自身が何を好きなのか再発見し、正直に作りたいものを作り発信していくことがとても楽しいと思えるようになりました。
以前はこういった活動すら、一部の批判を気にして自分の軸がぶれたものですが、いい意味でネガティブな意見は排除するようになりました。演奏をするためには音楽を作らなければなりません。オリジナルであったり、カバーであったり皆さんに喜んでもらいつつ、自身も楽しめる曲を探し、メンバーで練習してライブを行い、そしてライブのビデオあるいは新たに撮影してビデオの制作です。ただ音楽を演奏するだけでなく、制作の過程全てにかかわることにより、作編曲だけでなく、ビデオ編集、チラシ制作などいろんなパターンの「モノづくり」に携わることができるのです。
コロナ禍での変化
コロナ禍になって始めたオンラインレッスンですが、これがいまではとても楽しいです。レッスンを受ける方それぞれになるべく興味を持っていただけるように、いつも考えて進めています。レクチャーする側のキャパシティが問われることで、自身の再確認にもなっています。思い返してみれば、私は子どもの頃から人の輪の中にいて「何をどうしたら、もっと楽しくなるかな?」といつも考えていました。この考え方は、今の仕事に活かされていると思っています。もしかすると、幼少期からの何気ない考え方が、今の仕事のきっかけなのかもしれませんね。
だから、今夢中になっていることはオンラインでのレッスンかもしれません。仕事としてこなしてきた音楽ですが、自分でも楽しみたいと思うようになり、経済的な面は二の次にして自身の活動に力をいれだしたのが、夢中になるきっかけだったように思います。オンラインはそれまでは否定的でしたが、コロナ禍でやむを得ず始めたのですが、いまでは未来を感じています。
思い出の小松菜ジュースで健康に
私はあまり体力に自信のあるほうではないので、無理をしないようには気を付けています。仕事が立て込みそうなときはとにかく着手を早くして進めて、溜め込まないようにするとかです。40歳を過ぎて喫煙や飲酒はきっぱりやめました。どちらもたしなんではいたのですが、今は吸いたい、とか飲みたいとか全く思いません。
また、子どものころから、家庭で小松菜のジュースを飲む習慣があり、中学にあがるくらいまではほぼ毎日飲み続けていました。今年に入って小松菜が安く買える機会があったので、久しぶりに飲んでみたのですが、これがびっくりするほど美味しかったのです。100パーセント小松菜だけをジューサーにかけて作ったジュースで、その青臭い匂いは家族にびっくりされるほど不評でしたが、自分では「あっ!」と驚くような再発見というか、なつかしさも混じった美味しさでした。やはり成長過程で体に取りつづけたものは、いつまでも記憶か感覚か体内のどこかに残っているかもしれない、と強く感じてしばらくはまた続けてみようかと思っています。
それから、囲碁将棋チェス。これらは若いころに少しやっていたのですが、いずれはもう少し追及してみたいです。対人ゲームとして、カードや麻雀など「配られる要素」のないゲームが私は好きなようです。局面を自分の差し手で作っていけるからかな。祖父が碁会所に通っていた記憶があり、自分が年齢を重ねたらそういったことをやってみたい、というのもどこかにあるのかもしれません。
オンラインレッスンに未来を感じながら
これからも音楽を作り続けていきたいのはもちろんですが、オンラインレッスンを通じてより多くの方たちと一緒に音楽を楽しんでいきたいと思っています。
なにも極上の演奏でなくても、それぞれの次元で音楽は楽しめる、ということを時間がかかりましたが気づくことができました。自分がスキルの向上を追求していた若いころには得られなかった感覚です。習ってみようという意気込みのもとに練習をした皆さんの演奏は、それだけで価値があるものです。そこに「楽しめる」付加価値をつけることができれば、継続し、より上達していくことができます。そういった観点を忘れないよう心掛けています。
始めてみる前は、個人的に否定的だったオンラインレッスンも、実はデメリットよりもメリットは多くあり、将来的にはほとんどがオンラインになっていくのでは、と今では思っています。対面による直接的な指導は確かに伝わりやすいのですが、オンライン用のカメラを多く用意したり、レッスンを録画して後で見直したり、という再現性は大きなメリットですし、なにより移動の時間や手間が全くいらないのです。指導演奏を鍵盤の上方、斜めから録画したものを何度も見直すことができたり、その音源を何度も聞き返せるということは普通の対面ではありえません。
まだまだいろんな方法を試す余地はあり、今後の対面では得られない体験を増やしていいけるよう、探っていきながら、多くの方たちに音楽を楽しんでいただきたいと思っています。