夏のボーナスを受け取り、ほっとしたのも束の間のこと。家計やりくりに頭を悩ます方が今後少なくなるとは残念ながら思えません。実際に、電気代やガス代がここ何カ月値上がり続けています。「インフレが忍び足で近づいている」そんな不安が高まりつつあるようです。みなさんは、どのように感じていますか?
今回コラムでは、黒田総裁の「家計は値上げ許容」発言に関連するレポートのご紹介とともに、光熱費などライフラインの値上げが家計に及ぼす影響にも触れています。よろしければ最後までご一読ください。
目次
黒田総裁発言に関するアンケートの読み解きレポートが興味深い!
物議をかもした黒田総裁の「家計は値上げ許容」発言の顛末を覚えている方は多いと思います。この発言がなされた総裁講演で引用されたアンケート調査を分析したシンクタンクのレポートが興味深かったので、ご紹介させていただこうと思います。
さっそくですが、アンケートでこんな設問があります。あなたはどのように答えますか?
「Q.いつもスーパーで買っている商品の値段が10%上がったとします。あなたならどうしますか?」
同調査結果によると、「何も変わらない。それまでと同じように、その店でその商品を同じ量、買い続ける」と回答した割合が2021年より2022年調査のほうが13%も高く56%まで上昇したとのこと。
一見すると“値上げやむなし”の生活者の声を代弁する結果のように見受けられますが、家計を預かるあなたの実感と合っていますか?
値上げを「許容している」のではなく「許容させられている」が実態?
前項のレポートでは、関連する別の回答に注目しています。「その商品をその店で買い続ける。ただし、買う量を減らしたり、買う頻度を落としたりして節約する」への回答です。「よく当てはまる」と答えた割合が過去3年でもっとも高い値でした。
詳細は省きますが、上記レポートでは、値上げを「許容させられている」というのが実情に近い可能性が高い。とまとめています。
値上げを「許しているわけではないが、現状、受け入れざるを得ない」。そんな心境が反映されたアンケート結果だったように思います。
ライフライン契約、今こそ見直そう!
冒頭触れたように、電気代やガス代の値上げが続いています。ライフラインは文字通り日暮らしに直結しています。まさに、許容せざるを得ない出費ですよね。そのため家計への影響は大きく、今後長期にわたってさらなる値上げが続くとなれば、家計支出の増加は避けきれません。
コロナ禍の下、リモートワークで在宅時間が大幅に増えたご家庭も少なくありません。ライフライン支出はかつてないほど増えやすいものに。この機に何らかの手を打つ必要があります。
電気やガスなどライフラインの多くは、惰性でずっと同じ会社、同じプランで契約している方が多いと思われます。電気やガスが自由化されてかなりの時間が経過しています。こうした会社やプランを見直しすることで家計改善の余地があります。
日常の買い物をできるだけ減らすといった行動も大事ですが、継続して支出を抑えることにも意識を向けましょう。こんな時だからこそ、しっかりリサーチしてライフライン支出を見直す。【行動の優先順位】も大事ではないでしょうか。
<参考>
■読売新聞オンライン>ニュース>経済>7月の電気ガス料金、軒並み値上げ…東電と東京ガスは1年前から2割強上昇
■時事ドットコムニュース>特集>「家計は値上げ許容」 黒田「前代未聞」失言生んだ日銀ロジック【解説委員室から】
■みずほリサーチ&テクノロジーズ>オピニオン>Report>調査レポート>Mizuho RT EXPRESS>家計の値上げ許容度は高まっているのか?
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト
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