働き始めたいママが事前に知っておくと役立つ保育の諸制度【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

清々しい空気に誘われ、公園遊びや街歩きが楽しみな季節になりました。春は、新しい何かにチャレンジしたくなる人もきっと多いはず!
読者の中に「この春から働きたい!」と考えるママさんもいるのではないでしょうか。

ただ、実際には、家事や育児と並行しての仕事探しや我が子を預ける保育園選びの難しさから、はじめの一歩を踏み出す前に就労を半ば諦めてしまっている方も……。

そこで、ファミリー・サポート・センター事業や保育の無償化など、働き出す前に知っておくと何かと便利な保育関連の諸制度をまとめました。

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子育て世帯がまずチェックすべきは、自治体ホームページ

地域のことは近くにお住いの方々に伺うのが一番なのですが、引っ越したばかりで周りに知り合いがいないお家もあると思います。頼りになる先輩ワーママさんが身近にいらっしゃればよいのですが、誰もがそう恵まれた環境とは限りません。
そんな時はまず、お住まいの自治体ホームページで子育て関連ページを探してみましょう!

自治体ホームページには子育てをサポートしてくれる国の制度の案内だけでなく、その地域で提供している支援制度や保育園の一覧、空き状況など役に立つ情報が載っています。
保育サービスを申し込む前に書類の提出や登録が必要なものもあります。家事の合間にまずは情報収集からスタートしてみませんか。

子育ては本来、その地域全体で支え合うもの。お母さんはお家の中の太陽です。子どもに疲れた顔をみせず、いつも笑顔でいられるように、ひとりで抱えないでほしい!!と思います。
頼れる子育て支援制度を知り、使える自治体サービスはどんどん利用していきましょう。

保育園の送迎や預かり保育が心強いファミリー・サポート

いきなり私事で恐縮ですが、ゼロ歳児の長男を抱えての引っ越し準備、再就職後の保育園のお迎えなどでお世話になった国の制度がこちら、子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)です。

現在大学2年在学中の筆者の息子が幼い頃に利用させていただいた制度ですので、もう老舗サービスと言えます。
コラムをお読みの方で「ファミリー・サポート」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。認知度もあるように思います。

まず制度の概要をかいつまんでおさらいします。
ファミリー・サポート・センターは「相互援助組織」で、サービスを提供したい会員さんとサービスを利用したい会員さん、その間の調整役としてセンターの職員さんがいる。三者間ので役割分担する構成になっています。

受けられるサービスは何かと言うと、主に子どもの送迎や預かり保育になります。

例;
・保育施設等までの送迎を行う。
・保育施設の開始前や終了後又は学校の放課後、子どもを預かる。
・保護者の病気や急用等の場合に子どもを預かる。
・冠婚葬祭や他の子どもの学校行事の際、子どもを預かる。
厚生労働省HPより一部抜粋

自治体によって会員構成は異なるのでしょうが、筆者が利用していた千葉市の例で言うと、子育てが終わった世代の方が提供会員となり、まさに子育て真っ最中の、小さなお子さんがいるご家庭(利用会員)の保育をサポートするケースや、自分も子育て中で外に働きには行けないけれど逆によそのお子さんも預かれるということで、子どもを預かったり預けたりできる両方会員 になる人がいました。

ファミリー・サポート・センターは、預かり保育サービスを利用する側だけでなく、提供側にとってもメリットがあります。

提供会員さんは、会員登録前の研修やサービス提供時に入る補償制度(保険)を活用することができるため、預かり保育サービスの質の向上やトラブル回避ができます。サービスを利用する側も、我が子を預けるにあたり、自力で保育者を探す手間が省け、かつ、利用料金体系が明示されているのでお金のトラブルに悩まされることもなく安心です。

子育て中のママも、子育てを終え、地場で何か始めようと考えている主婦の方にとっても知っておくべき制度の筆頭ではないでしょうか。

ファミリー・サポート利用のメリット(筆者の場合)

筆者の場合、引っ越しの準備で段ボールに家財を詰めなくてはいけなかったのですが、作業時に幼い子どもがいると危ないですし、なかなか作業も捗らずで大変でした。
そこで、初めてファミリー・サポート・センターを利用することにしたのです。

幸い近くにお住いの同年代ぐらいの方が見つかり、引越し日までの何日間か、一日あたり2~3時間ほど預かり保育をお願いしました。また、他区へ引っ越した後に再就職を契機に、週に何度か、息子が通っていた保育園のお迎えとその後1時間ほど預かり保育をお願いしていました。その時は、子育てを終えたご年配の女性会員さんでした。

筆者は、引っ越しの前後で、同じ市内の異なる区のファミリー・サポートを利用したのですが、子どもを預ける前に顔合わせを行うなど会員間の橋渡しを必ずセンターの職員さんがしてくれたため、とくに引越し後にサポートを依頼した時、周囲に知り合いがいなかったとは言え、とても安心した覚えがあります。

働いていると自宅と職場の往復で、案外、ご近所情報に疎いもの。提供会員さんは地域に根付いた方が多いため、家の近くで信頼できるお医者様や学校関係の情報を教えていただくなど、とても助かりました。
ファミリー・サポート・センター利用には、こうした安心感や金銭以外のメリットもあります。

蛇足ですが、ファミリー・サポートの利用料金も次項で紹介する「幼児教育・保育の無償化 」の対象となっています。経済面からも民間の保育サービスを探す前に一度チェックしてみることをおすすめします。

保育士さん

幼児教育・保育の無償化で何が無償になる?

保育園の保育料は世帯の所得で決まります。
平たく言ってしまえば、お金を稼ぐ夫がいるご家庭ほど、妻が働きに出る際の保育料負担が重いのです。とくに三歳未満児の保育料が高く、無償化制度がはじまるまでは、自治体によって異なりますが、東京都渋谷区など毎月7万円超の保育料を納めなくてはならないケースもありました。

「働いても働いても、みんな保育料に消えてしまう」とため息交じりのワーママのつぶやきが当時はよく聞かれました。

子育て世帯の負担軽減に大きく貢献する「幼児教育・保育の無償化」。
では、何が無償で、何が有償となるのでしょう?

幼児教育・保育の無償化とは

無償となる世帯の対象範囲、対象施設、諸注意を簡単にまとめると次のとおりです。

【無償化の対象者・範囲】

幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する、
・3歳から5歳までの子をもつ全ての子育て世帯
・住民税非課税世帯、かつ、0歳から2歳までの子をもつ子育て世帯
において、利用料が無償化される

【対象施設】

・幼稚園、保育所、認定こども園
・地域型保育(定員1人以上5人以下の少人数の保育事業等)
・企業主導型保育施設(会社が設置した社内保育所)

【利用料の月額上限など諸注意】

・幼稚園については、月額上限2.57万円まで
・子育て支援新制度の対象となるには幼稚園が一定要件をクリアする必要がある

保育園の利用料は上限なしで無償化されますが、幼稚園には月額上限があります。
また、幼稚園の預かり保育なども対象になるのですが、お住いの市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。このあたりは、預けようとする幼稚園に事前に確認するといいですね。

また、誤解が生じやすい点としては、利用料のみが対象なので、おやつ代や副食費、遠足代通園バス代など実費で支払う費用は変わらずに発生するということ。無償化と言ったところで、まったくのタダには「ならない」のでご注意を!

両親の手と赤ちゃん

働くママがもっとも困るのが子どもの病気

保育サポート制度や保育の無償化など、さまざまな備えがあることを知って、働くことへのハードルが随分下がってきたのではないでしょうか。
とは言え、やっぱり不安なことも……。
そう、「子どもが病気になったら誰が面倒みるのか?」ですよね。

近くにご両親や親族がいて、いざという時に頼れる方は別にして、保育園から「お子さんが熱を出したのですぐ迎えに来てください!」と連絡があれば、父親か母親のどちらかが仕事を切り上げて迎えに行かなければなりません。

病気になったときのことを考えると、病児保育室を利用できるようにしておくのがよいと思います。

病児保育室は、小児科などに隣接して開設されていることが多いのですが、感染症や病気などで通所できないお子さんを預かってくれる施設のことです。

筆者も2か所の病児保育所に登録していました。
インフルエンザなどで治癒証明をもらうまでは保育園に行けないので、定休日が異なる2か所をはしごして利用させてもらったこともありました。

施設がない地区もあるかもしれません。
「病児保育 お住まいの市区町村名」でまず一度検索してみてください。
車がなければ行けないような場所であれば、保育園に通わせる間は軽自動車をもう一台用意することも検討しなければならないからです。

なお、病気のお子さんを受け入れてもらうには当日予約のほかに事前登録が必要です。
自宅そばに病児保育施設があることがわかったら、登録手続きを確認して働き出す前に手続きを完了しておくことをおすすめします。
なぜなら、保育園にはたくさんの園児・職員がいますので、預けたばかりの頃はよく病気にかかって発熱しやすいからです。

筆者の体験談ですが、息子は初月の慣らし保育時に3、4回熱を出してお迎えが必要になりました。正直凹みました。「これから働き続けられるかな?」と不安になったほどです。そんなときも、病児保育施設のお蔭で乗り切ることができました。

まとめ

家事や子育ても完璧!仕事も手を抜かない!!
なんてパーフェクトを目指すほど疲弊して体を壊してしまいがちです。

今回は、主に役立つ制度や施設についてまとめましたが、働き出そうと考えた時に、家事の時短化に役立つ家電に積極投資するのもおすすめです。
例えば、食器洗い機や洗濯乾燥機、お掃除ロボットなど、手を抜ける部分、代行が可能な部分は役割を譲り、どうか体を労わってくださいね。

子どもは一日一日成長して、いずれ手がかからなくなります。
多少割高に感じたとしても、保育にかかわる出費は期間限定なので長い目で見ると大きな影響がないことが多いものです。

細く長く、ラクしつつ働く。
ライフプランを描くうえで、これも一つの戦略ではないでしょうか。

<参考サイト>
■千葉市HP>子育て・教育>子育て・家庭>児童福祉のための施設>ちばしファミリー・サポート・センター
■内閣府HP>内閣府の政策>子ども・子育て本部>子ども・子育て支援新制度>よくわかる「子ども・子育て支援新制度」
■渋谷区HP>月額保育料【区立・私立保育園・区立幼保一元化施設(長時間)・認定こども園(長時間)】

 
 

海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

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