住宅購入前に家計のどこをチェックすべきか?【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

拡がるリモートワーク。夫はダイニングテーブルでメールチェックをしている、同時刻、妻は寝室でオンライン会議に参加中。そんな共働き世帯はそう珍しくないと思われます。コロナ禍をきっかけに、みなさんの勤務形態にはどのような変化がありましたか?

在宅時間が長くなるにつれ、これまで気にならなかった家の狭さや間取りの使い勝手の悪さなどが気になった人もいるかもしれません。リモートワークをきっかけに、引越しや住宅購入を検討する方もいるのではないでしょうか。

今回は、金利と住宅ローン借入額の関係性、住宅購入後にかかるお金の見積もり、最後まで安心して返せる返済計画に欠かせない家計のゆとりの大切さについてまとめてみました。
家を買いたい人だけでなく、住宅ローンの借り替えや繰り上げ返済を検討中の人にとっても知っておいていただきたい住居費の考え方です。最後までどうぞおつきあいください。

目次

低金利だからこそ気をつけたい住宅ローン借入額

多くの方はキャッシュではなく、キャッシュ+住宅ローンで家を買うと思います。
住宅ローンを組む際に気になることは、そう、借入時の金利ですよね。実は、低金利だからこそ気をつけたいことがあります。

それは、住宅ローンの借入額が大きくなりやすいことです。

住宅ローンの毎月返済額10万円(ボーナス返済なし/借入期間35年/元利均等返済方式)とすると、借入金利が1.2%であれば借入額は約3,370万円ですが、金利が0.8%まで下がると約3,660万円借りられます。コンマ数パーセントの違いで290万円ほど借入額が変わります。

低金利になるほど金融機関の審査上重要な項目である「年間返済合計額」も下がります。そのため、同じ年収でも住宅ローンをより多く借り入れ可能に。以前なら頭金がより多く必要になる物件、住宅ローンが通らない高価格帯物件に手が出やすい状況です。
多少予算オーバーでも「住宅ローンが通るなら…」そう考える人がいてもおかしくはありません。ただ、借りられるからと言って安易に購入予算を引き上げるべきではありません。

住宅ローンの借り入れが多くなると、何がダメか?

際たる理由は、単純ですが「住宅ローンの借り入れが多くなると家計収支にゆとりがなくなること!」です。

分譲マンションの場合、毎月の住宅ローン返済額に加え管理費や修繕積立費などもかかってきます。住居費は家計に締める最大の固定費ですので、家計収支がぎりぎりでボーナスで一息つく家計になりやすい。さらに言えば、貯蓄の積み上げが難しくなるばかりでなく、世帯収入が減れば、たちまち家計が立ちゆかなくなる危険性も孕みます。

借入額を決める前に、金利や頭金、場合によっては繰り上げ返済なども織り込んで住宅ローン返済をシミュレーションすることをおすすめします。

見落とされがちな住宅ローン以外の支出

安心して返せる住宅購入予算を考えるのなら、毎月返済額だけでなく、修繕積立や管理費、駐車場代などの関連する支出も考慮すること。また、それら住居費の上振れにも耐えられそうか? 将来起きる家電の買い替えやリフォーム費用は支払えそうか? 共働き世帯の場合、子育て中の妻の収入減少によって貯蓄がどれだけ減りそうか、そんな検討もできればしたほうがよいでしょう。

属性的により注意が必要な方もおります。
お勤め先の住宅補助が手厚い方や実家暮らし・寮生活からいきなり持ち家を買われる方は住居費の変動幅が大きいため、より慎重な家計収支の見積もりが必要です。

40代以降で住宅を買う場合、定年後も住宅ローン返済が残りがちです。繰り上げ返済用の貯蓄ができる購入予算に抑えることが大切になってきます。また、当初支払い額を重視変動金利タイプの住宅ローンを選んだ場合、将来の金利上昇リスクも背負うことになります。その場合も家計のゆとりはたいへん重要です。

まとめ

家計相談時によくお伝えするのですが、住宅販売会社や金融機関は<契約して終わり>かもしれませんが、住宅ローンを組んだあなたにとって、住宅ローンは<最後まで返す>もの。長い時間の家計変化に耐えうる必要があります。

貯蓄できる家計が維持できれば、教育費と住宅ローン返済がダブルでかかる時期も安心ですし、手元資金で繰り上げ返済や借り換えを実行することもできますよね。

「今の家賃と月々の支払いは変わらないから…」、「我が家は共働き。いざとなったら繰り上げ返済すればいい」など自分のいいように将来の家計を見積もると後悔するかもしれません。低金利だからこそ慎重に住宅ローンの借入額を決めることをおすすめします。

海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

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