新型コロナウイルスの終息がなかなか見えてこないことで、自分を取り巻く環境に大きな変化があった方も多いのでは?
年末が近づくにつれ、「来年は良い年を迎えたい」という想いは皆共通のはず。
もしかすると、読者の中に、年末年始の休みを利用して、家族で「どんな年にしたいか」話し合いたいと考える人もいるかもしれません。
ただ、パートナーに対して何から話せばいいかわからず、モヤモヤしたまま行動がストップしてしまいそうですよね。
そこで、今後の暮らしについて話し合うときにあると便利な“ある表”をご紹介します。
目次
子の巣立ちまでの家族イベントをすぐ想像できる?できない?
みなさんは「ライフイベント表」という言葉を見聞きしたことがありますか?
「ライフイベント表」とは、簡単にまとめると【家族全員の今後のイベント予定表】です。
手帳やカレンダーではその年一年間の予定を書きますが、「ライフイベント表」は少し違います。10年から数十年のスパンで、家族の年齢やお子様の学校行事/仕事/プライベートの節目をひとつの表にまとめていきます。
歴史の教科書などの巻末にある年表を頭の中でイメージすると少しわかりやすいでしょうか。年と家族の年齢を表に書き入れたら、その年に起こりそうな家族行事を、「来年の我が家のイベントは〇〇ちゃんの七五三!」「再来年は長男の小学校入学」といった具合に書き連ねていきます。
「ライフイベント表」では、小学生になったお子さんやご主人が退職を迎える頃など任意の未来に簡単に脳内トリップできます。
カレンダーではなかなかイメージできない、ご家族の成長とそれに伴って必要になる教育費や住宅購入資金、定年後の家計を考えるヒントが満載なので、とくに子育て世代におすすめです。
「ちょっと大変そう」と思った人がいるかもしれません。でも、案ずるより産むが易し。難しそうだと感じたら、無理して自作せず「ライフイベント表 ダウンロード」とインターネット検索して雛形を探してみましょう。
実際に検索してみるとわかりますが、日本FP協会 をはじめさまざまな団体が無償で「ライフイベント表」を提供しています。ファイルスキャンを行ってあらかじめ安全性を確認した後に雛形ファイルをダウンロードして表を作りだせば完成までのハードルはぐんと低くなります。気軽な気持ちで取り組んでみてください。
もちろん、手書きで家族の似顔絵イラスト入りで表を作るもよし!表計算ソフトが使える人は、計算式も埋め込んで集計しやすいようにカスタマイズしてもよいでしょう。
夫婦でワクワクしながら作る我が家の未来予想図。そう考えると、楽しい時間に思えてきませんか?
ライフイベント表を作るメリット
実際に「ライフイベント表」の作り方を説明する前に、なぜ、「ライフイベント表」を作るとよいのか、表の効用を明らかにしておきましょう。
「ライフイベント表」を作るメリットは、大きく分けて2つあります。
ひとつは、今後の家族の暮らしやお子様の成長イメージが持ちやすくなることが挙げられます。
ちょうど今、年賀状のあて名書きの時期ですが、一言メッセージを書き添える際、「あのお宅のお子さんは来年いくつになるんだっけ?」と思った人はいませんか?
年賀状作りでハッとすることがありますが、これはよそ様の家だけに限りません。我が家でも同様に起こり得ることなんです。
例えば、二歳違いの兄弟のいるご家庭の場合、上のお子さんの高校受験(中学校卒業)と下のお子さんの中学校入学の年がかぶりますが、こうしたことも我が子が大きくなるまでほとんど意識しないのではないでしょうか。
「ライフイベント表」には、家族の【年齢】や年中、年少といったお子様の【学年】や入園卒園など【学校の節目】、【定年】という現役世代とリタイアの大きな区切り、車の買い替えなど【定期的な支出】を一緒に並べていきます。
表づくりをする中で、例えば再来年の車の買い替えと二人目のお子様の入園が同じ年に起こりそうだといったことにも気がつきます。家族の未来がイメージしやすくなり、教育費や住宅購入の頭金などを夫婦で話し合う際の良いたたき台になるのです。
今後の暮らしぶりがイメージできると将来必要な大きなお金もイメージしやすくなる━これが第二のメリットです。
「ライフイベント表」を実際に作ってみよう!
「ライフイベント表」に決まったフォーマットはありませんが、以下に挙げる項目が入っていれば十分です。
・年(和暦西暦どちらでもOK)
・家族の名前
・年齢(該当年の年末に何歳になるかを書き入れます)
・お子様の学年や入学・卒業(例;年少、中2、小学校入学など)
・お仕事の節目(例;育休産休予定や職場復帰、定年退職など)
・プライベート行事(例;結婚10周年、お子様のご結婚式など)
「ライフイベント表」には大きく分けて二つのタイプがあります。
上から下へ年齢を書き入れていく、縦に延びる表タイプと、最上段に西暦が右へ右へと書かれていく横に伸びていくタイプです。
絶対ではありませんが、まずはこの10年ぐらいのイベントをコンパクトにまとめてみようとお考えでしたら縦型の「ライフイベント表」がおすすめです。ちょうどA4用紙1枚分ぐらいになって視認性も良く、縮小コピーして手帳に貼り付けるなど加工もしやすいと思います。
※日本FP協会サイトで提供しているデザインがこちらに該当します。
Excelなど表計算ソフトであれば、西暦や家族の年齢をオート入力や関数などで計算して表示することができます。PC操作に慣れている人であれば、思い切って子どもの大学卒業の年、あるいは、夫婦どちらかが定年退職するまでの横型の「ライフイベント表」を作ってみてはいかがでしょう。
※表計算ソフトで読み込める形式のファイルを直接ダウンロードできるサイトもあります。そうした表を活用するのも一案です。
「ライフイベント表」にどんな項目を書き入れるべき?
「ライフイベント表」のデザインを決めたら、具体的に書き入れていきます。
最初に、【年】や【家族の名前】、家族それぞれの【年齢】を埋めたら、まずご夫婦の仕事の節目を書き入れてみましょう。
具体的には、妻の行(列)に、【産休・育休】や【職場復帰(時短勤務)】、働きはじめる年など、夫の行(列)には【転職】や【定年退職】時期などを入れます。
続いて、お子様の【学年】や【入学】【卒業】など学校関連イベントを入れる列(行)を追加しましょう。
おすすめは、学校種別毎に色分けすることです。例えば、小学校の6年間は【黄色】、中学校の3年間は【ピンク】、高校3年間は【水色】……といった感じです。
兄弟姉妹が多いご家庭の場合でも、色分けしておけばその重なり具合で「この年は入学が重なるから忙しくなりそうだ」「大学生が2人になるこの2年間は、我が家でもっともお金がかかる時期だな」といった暮らしや家計のイメージを持つことができます。便利ですよ。
「いつまでに」「いくら必要か」わかると、毎月の貯蓄にも張りが出るというものです。できたら、【学年】のすぐ下(隣り)に、その年までに用意しておきたい【学費(目安)】を入れておくと良いでしょう。
学費がいくらかかるかわからない人は、公立か私立か進路の想定をしたうえで、平均値を仮の金額として入れておくことをおすすめします。データは、「子供の学習費調査 」でインターネット検索してください。文部科学省の調査データが進路別・学年別にまとめられています。「中高一貫校」や「大学費用」は気になる大学名を具体的に検索窓に入れて探してみるとよいでしょう。それらを参考に目安を立ててみてくださいね。
学費とともに【貯蓄額】も書き込んでおくと、家計の負担感が減るかもしれません。
例えば、学資保険の満期金の降りる年にお祝い金の額を書き入れる。児童手当 は使わずに全額貯めているというご家庭は、その年に貯まる予定額を入れておいてもよいのではないでしょうか。
進学するまでに「あといくら貯めればよいか?」そんな計算がしやすくなりますよね。
学校関係のイベントが埋め終わったら、家全体に関わるイベントを思いつく限り入れてみます。
例えば、長女が小学校に上がるまでに家を建てたいのであれば、長女・年中の年に【住宅頭金○○万円】と書き入れてみる。持ち家で住宅ローンを返済中の人は、「子どもたちが小学校の間に一度ローンの繰り上げをしておきたいな」ということで、長男・小4の年に【繰上返済○○万円】等、想定レベル妄想レベルでOKです!
理想の生活を自由に思い描いていきましょう。
さり気なく費用や貯蓄目標を入れ込むことにも触れておきましたが、お金の話はとかく暗くなりがちですが、時期を待つのが楽しみなお金もあります。
例えば、【結婚10周年】の夫婦旅行予算や【息子・娘の結婚式】費用の一部援助などです。こうした楽しみも忘れずに「ライフイベント表」に書き入れておくと「○○まであと3年かぁ。頑張って働こう!」と前向きな気持ちになれるのではないでしょうか。
主なイベントが埋められたら、忘れそうな数年に一度の家計支出も書き入れておきましょう。例えば、【浄化槽のメンテナンス代金】や【自家用車の買い替え予算】、マンションの【大規模修繕積立資金】、住宅設備の【リフォーム予算】などですね。
どんなことを書けばよいかわからない人は、前の項でお伝えしたようにインターネット上で手に入る雛形ファイルとその記入例を参考にして表に書き込んでみることからはじめてみましょう。
まとめ
家族のより良い暮らしを頭の中にイメージすることはとても良いことだと思いますが、より良い暮らしを実現させるためには、羅針盤となる具体的な数字も必要になってきます。
今回ご紹介した「ライフイベント表」は、あまり一般的ではないかもしれません。また、完成まである程度の時間が必要とされるため、大変さは否めません。とは言え、「夢に日付を!」というタイトルの本がありましたが、「ライフイベント表」には、夢を現実に引き寄せる力があると信じています。
コロナ禍の下で、なかなか夢を描く気になれない人もいるとは思いつつ、だからこそ「来年こそは良い年に!」。家族の未来を長期的な視点で俯瞰すると、今の働き方や家計の収支もまた違った目線で捉えることができるのではないでしょうか。
普段は忙しくて、あれこれ考える暇がない人も、年末年始なら少しゆっくりする時間が取れると思います。そんなときにご夫婦でぜひ「ライフイベント表」にトライしてみてください。
家族の年齢を並べていくだけでもさまざまな感慨が思い浮かぶのではないでしょうか。
<参考サイト>
■日本FP協会>便利ツールで家計をチェック
■平成30年度子供の学習費調査の結果について
■平成30年度子供の学習費調査の結果について
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト
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