三寒四温。少しずつ春の気配が感じられる季節。
花粉症の方々にとってはつらい春ですが、もうすぐ入園・入学するお子様のいるご家庭では、桜の開花同様、待ち遠しい春なのではないでしょうか。
新学期スタート直前のこの時期は、習い事が気になる季節でもあります。実際、新聞チラシなどで学習塾の入塾テストの案内や習い事の入会キャンペーンが目に付きます。ご家庭で習い事が話題に上ることもあるかもしれません。
そこで、「習い事」について、どんなものが人気なのか、どうやって習い事を決めれば後悔が少ないのか、家計から習い事予算をどう組んだらいいのか等をまとめてみました。
記事の後半に、通学とオンラインの習い事の違いやメリットデメリットもあるので、ご自身の習い事選びにも役立つ内容です。どうぞ最後までお付き合いください。
目次
どんな習い事が、今、人気か?
一年前の調査結果ではありますが、「プログラミング学習とパソコン使用実態に関する調査」から習い事に関するデータをご紹介します。
同調査の設問の中に、「現在、習っているもの」と「習わせたいもの」があり、集計結果がランキング形式でまとめられています。
まず、「現在、習っているもの」の上位5つを挙げると、
- 第5位・・・書道
- 第4位・・・英語・英会話
- 第3位・・・ピアノ
- 第2位・・・学習塾
- 第1位・・・水泳
となっていて、水泳を習わせているご家庭が多いようです。
筆者の家計相談でも習い事支出の項があるのですが、就学前のお子さんを持つご家庭で水泳教室の月謝が含まれることがよくあります。
私事ですが、息子も小さい頃に水泳教室に通っていましたので、共感を覚える習い事ランキングです。
もう少し下の順位をみてみると、サッカー(第6位)や体操(第8位)、ダンス(第10位)、テニス(第12位)、がランクイン!数十年前に比べて、運動系の習い事の種類がずいぶん増えたように思われます。
続いて、「習わせたいもの」ランキングをみてみましょう。
この意識調査は、小学生のお子様がいる保護者を対象としたもの。親が小学生の我が子に習わせたい習い事です。こうして実際に習っているものと習わせたいものを見比べるととても興味深いです。
では同じく、第5位から。
第5位・・・書道
第4位・・・ピアノ
第3位・・・学習塾
第2位・・・水泳
第1位・・・英語・英会話
もう少し下、第10位までみてみると、そろばん(第6位)、プログラミング(第7位)、サッカー(第8位)、体操(第9位)、ダンス(第10位)となっています。
ピアノを除くと、どちらかと言うと芸術系より運動系や語学・科学系の人気が高いようですね。プログラミングがランクインしているのも、小学校でのプログラミング教育必修化 を見越してのことと思われます。そろばんやお習字が全盛だった筆者世代からすると、習い事事情も隔世の感があります。
コラムをお読みのみなさんは、お子様にどのような習い事をさせたいですか?
また、お子様は今、どのような習い事に興味を示しているのでしょうか?
その習い事は子が望むのか?親がさせたいのか?
我々大人が趣味としてたしなむ習い事もありますが、ここでの習い事は、お子さんの習い事に絞っています。子の習い事には、多かれ少なかれ親の意向が反映されています。だからこそ、その習い事は子が望むのか?親がさせたいのか?はじめる前に必ず確認が必要なのです。
お子さん(あるいは親であるあなた自身)が習い事をはじめた動機について、まず考えてみましょう。
兄弟姉妹がいるご家庭で多いのが、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)が通う」ことをきっかけに
下のお子さんも「僕も(私も)習いたい!」となるケースです。
親の意向が強く、「子どもにはぜひ○○を習わせたくて……」といったことも考えられます。就学前の小さなお子さんの場合は、どちらかというとこうした事情で習い事をはじめることが多いのではないでしょうか?
習い事をスタートするきっかけは、親からの働きかけや兄弟姉妹・友だちの後姿を追ってなどさまざまだと思いますが、大事なことは、子ども自身がその習い事をしたいと望んでいるかどうかです。
習い事を実際に習得するまでには通常多くの時間がかかります。
いざ習いはじめたら思っていたことと違っていた、徐々に難度が上がってなかなか上達しなくなり、心が折れそうな時期がくるかもしれません。
そんな時に初心を思い起こすためにも、その習い事は「本当に自分がしたいことなのか」「ずっと続けていけるのか」、必ず確認するようにしたいもの。お子様が小さい場合は難しいと思いますが、できるだけお子様自身の言葉で思いを口にしてもらいましょう!
習い事をはじめる前に、学びたい理由や定期的に通う気持ちがあることをお子様自身に話してもらい、親子で納得して習い事をスタートしたほうが後悔は少ないと思います。
習い事予算はどう決める?
お子様の習い事への意欲は大切にしたいものの、習いたいものをすべて習わせるゆとりがあるご家庭はわずかではないでしょうか。就学前の小さなお子さんが複数の習い事をかけ持つ例もあります。習い事も放っておけば徐々に膨らみ、家計を圧迫する可能性があります。兄弟姉妹がいればなおさらのことではないでしょうか。
将来かかる教育費を考えると、習い事にかけるお金にも限りがあります。
やはり習い事にも予算を設けることが必要です。
では、習い事予算をどのように考えたらよいのでしょうか?
いったん決めた予算をどのように守っていけばよいのでしょうか?
家計収支の状況によって習い事に使える予算は大きく変わります。とは言え、何も目安がないと子どもの言うままに増やして後々後悔することになりかねません。
必要な教育資金の積立をしたうえでの話となりますが、習い事予算の目安として、お子様一人当たりに使える【習い事費用の上限を決める】、あるい【習い事の本数を決める】ことからスタートしてみてはいかがでしょう?
悩みやすい習い事費用の上限、習い事の数ですが、最初に、ありがちなNG例を挙げておきますね。それは、家計相談でよく質問される「ほかのご家庭ではいくらぐらいかけているんでしょうか?」です。
家計収支は100世帯あれば100通りあります。
ママ友のお家の習い事予算や統計データの平均値は、多少の参考にはなるかもしれませんが、鵜呑みにしてはならない数字です。
面倒に思われるかもしれませんが、家計収支を把握したうえで、ご夫婦で話し合って「我が家の習い事予算」を決めるようにしてください。
習い事予算はもちろん固定しなくてOKです。
たとえば、「今年受験生となる長男の習い事予算は○万円、次男のほうは少し我慢してもらって△千円」など、お子様の成長とともに節目で予算を見直すほうが合理的です。
兄弟姉妹が多いご家庭の場合は、一人当たりの予算ではなく、世帯全体で毎年の習い事予算を考えていくほうがやりくりしやすいかもしれません。
「今年の我が家の習い事予算は毎月○万円まで!」と子ども達にも伝えて、それぞれプレゼンさせて習い事を勝ち取っていく……こんなお家があっても良いのではないでしょうか。
習い事予算を組む際の注意点として、たとえば、習い事のためのユニフォーム代や試合の遠征費など、月謝以外にかかる費用の見積もりも入念に行ってください。
月謝自体は安くても、付随してかかる費用が馬鹿にならない、なんてことがあるからです。
もし予算をオーバーしそうになったら、安易に予算を増やさずに初心に帰り「その習い事をするか否か」親子で話し合ってみましょう。
話し合いの中で、惰性で続けている習い事、教室の内容それ自体ではなく、交友関係が切れてしまうのが惜しくて止められない習い事だったなど、月謝以外の面で取捨選択できるケースがあるかもしれないからです。
通学での学びのメリットデメリット
最期に、コロナ禍の下、集団で集まる習い事はしたくない人の学びの選択肢となるオンラインでの習い事について、通学との違いやメリットデメリットなどを簡単にまとめておきます。参考にしてくださいね。
習い事のことを“手習い”などと言い表すことがあるように、先生の所作を見て、教室の雰囲気を感じつつ得られる学びは通学ならではのものでしょう。
とくに、初めて学ぶ運動などは、オンラインで画面越しに自分でマネをするだけではなかなか習得しにくいのではないでしょうか。
通学の習い事の最大のメリットと言えば、やはり先生から「直に」教えてもらうこと、これに尽きます。
逆に、デメリットとして、教室までの移動(送迎)が必要であること、自宅そばに希望する習い事の先生がいないため学ぶことができないことが挙げられます。
オンラインの学びのメリットデメリット
筆者には昨年の春大学に進学した息子がいるのですが、コロナ禍でオンライン授業三昧です。彼に「大学生になった感じがしないよ」と言われたくらいですが、PCやスマホとインターネットに接続できる通信環境があれば、自宅でもどこでも、いつでもオンラインで学ぶことができます。
スキマ時間にマイペースに学ぶやり方ができるのも、オンラインならではのこと。オンラインの学びは、政府のすすめるGIGAスクール構想と相まって今後も広がっていくと考えられます。
通学のデメリットとして挙げた、教室までの移動も不要ですし、習いたいことを教えてくれる先生がいないこともまずないでしょう。すべてがオンラインの学びのメリットにつながります。
オンラインの学習システムを利用することにより、月に数千円の安価な月謝で有名な講師の講義動画を視聴することができるため、家計負担も抑えることができます。経済的なメリットも見逃せません。
ただ、楽器演奏や体を使う運動系の習い事など動作を伴う学びは、オンラインにはやや不向きなジャンルかもしれません。
また、リモートワークをする方には共感してもらえると思うのですが、画面越しでの会話を自宅のリビングで長時間していると気が散りやすい。集中力を保つことが難しいのもオンラインの学びのデメリットと言えるのではないでしょうか。
自宅で学ぶ周辺環境を整える費用が必要なことも見逃しがちな注意点ですね。
まとめ
小学校や中学校とは異なり、習い事は個々人が任意に選択して学ぶ場です。
それだけに、どんな習い事を子どもにさせようかと悩むご家庭は少なくありません。
ただ、習い事を実際にするのは、ほかでもないお子様自身です。迷ったら、本人がどうしたいのかを聞いてあげてください。
プログラミングなど魅力的な新しい習い事が豊富な現在、放っておくと習い事に支払う月謝も増えがちです。将来の教育費を念頭に置きつつ、習い事予算を抑えていかないと、本当にお金が必要な大学進学時に困ってしまうことになりかねません。
あれもこれもではなく、習い事予算の枠内で「習い事を続ける/やめる」を決める。兄弟姉妹のいるご家庭においては、世帯全体における習い事費用の総額を意識して取捨選択することが大切です。
お子様も親も納得の学びが続いていくことを祈っています!
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト
(「千葉 家計相談」で検索)