2021年10月から振込手数料が引き下げに。メインバンクを変える?変えない?【暮らしとお金のヒント】

暮らしとお金のヒント

金融機関を選ぶ際、店舗やATMの場所や手数料無料の回数など重視するポイントは人それぞれですが、利息がほとんどつかない現状です。出費は1円でも少ないほうがいいに決まっています。

横並びになりがちであった金融機関の各種手数料。このところその風向きが変わりつつあり銀行によって対応に幅が出てきました。給与振り込み指定の銀行であるなど動かせない事情がなければ、金融機関とのつきあい方を再考してもよいかもしれません。

今回コラムでは、ネット銀行を含めた各銀行の手数料改定まとめとともに、メインバンクの選び方をまとめてみました。世帯の銀行口座を整理・統合したい方やネット銀行に口座を開設したい方などぜひご一読ください。

目次

通帳発行もタダではない時代に!

昨年あたりから、小銭入金や通帳発行などこれまで「無料」であったことに対して手数料を新設、料金改定する銀行が現れました。

(通帳発行手数料がかかる銀行の例)
みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行

(小銭入金に手数料がかかる銀行の例)
ATM硬貨預払料金の新設:ゆうちょ銀行(2022年1月より)
窓口での硬貨入金手数料の改定:りそな銀行(2021年10月より)

また、三菱UFJ銀行のように数年間口座の利用がなかった場合に手数料を課す金融機関もあります。今後は取引銀行を選ぶときに利率や顧客サービスの内容だけでなく、口座の維持コストについても目を向けていく必要があります。

銀行店舗が近くになく寝かしたままの、いわゆる「休眠口座」をお持ちの方や、転勤で作った地方銀行口座など複数の口座をお持ちの方は、銀行口座の整理整とんをするべき時期かもしれません。

銀行の看板

2021年10月から多くの銀行で振込手数料が値下げに

手数料値上げではなく、庶民にうれしい手数料値下げのニュースもあります。
詳細は省きますが、銀行をまたぐ送金にかかるシステム手数料が2021年10月1日より一律62円に引き下げられたことによるもので、銀行間で料金の改定日や値下げ幅など対応が異なります。ニュースリリースから主な銀行の改定についてまとめてみました。

銀行通帳

※以下、記載がない限り【他の金融機関宛】の振込手数料です。

(1) ゆうちょ銀行:2021年11月1日(月)改定

11月改定後は、ATMよりゆうちょダイレクト経由で振り込むほうが手数料が下がります。

(振込金額が5万円未満の場合)
ATM:「220円(変わらず)」
ゆうちょダイレクト:220円→165円へ

(振込金額が5万円以上の場合)
ATM:「440円(変わらず)」
ゆうちょダイレクト:440円→165円へ

(2) 三菱UFJ銀行:2021年10月1日(金)改定

ATM、インターネットともに手数料引き下げ。

(銀行キャッシュカード利用、かつ、振込金額が3万円未満の場合)
ATM:275円→209円へ
三菱UFJダイレクト:220円→154円へ

(銀行キャッシュカード利用、かつ、振込金額が3万円以上の場合)
ATM:440円→330円へ
三菱UFJダイレクト:330円→220円へ

(3) みずほ銀行:2021年10月1日(金)改定

ATM、インターネットともに手数料引き下げ。

(銀行キャッシュカード利用、かつ、振込金額が3万円未満の場合)
ATM:330円→270円へ
みずほダイレクト:220円→150円へ

(銀行キャッシュカード利用、かつ、振込金額が3万円以上の場合)
ATM:440円→330円へ
みずほダイレクト:440円→330円へ

(4) auじぶん銀行:2021年10月1日(金)改定

(振込金額が3万円未満の場合)
178円→99円へ

(振込金額が5万円以上の場合)
283円→99円へ

(5) 住信SBIネット銀行:2021年10月1日(金)改定

他行宛の振込手数料:一律157円→88円へ引き下げ。

このほか、三井住友銀行やソニー銀行の手数料も改定または改定予定です。気になる方は「銀行名 手数料改定」でネット検索してみましょう。

コンビニやスーパー内ATMをよく利用する人

忙しい人にとって重要な手数料と言えば、コンビニATM利用時にかかる出金手数料ではないでしょうか。

通帳を見ながらパソコンを操作

よく利用するコンビニはどこか、また出金頻度は月に何回ぐらいかなどで選び方も変わりますが、セブンイレブンなど自社グルーブで金融機関を持つコンビニであれば、基本的に提携の銀行口座を持つメリットが大きいと言えます。
また、ネット銀行のように店舗を持たない金融機関の場合もコンビニATM手数料が優遇されるケースが多いため、ネット銀行の口座を1つ持っていると便利かもしれません。

(コンビニATM出金手数料が無料になる銀行の例)
auじぶん銀行、楽天銀行、ソニー銀行、東京スター銀行

銀行口座を増やしたくない方は、今ある銀行口座の利用状況を変えることでコンビニATMの無料回数が増える場合もあります。顧客向けポイントプログラムがあるかHPなどで確認してみましょう。

当コラムをお読みの方の中には、スマホやPCからお金の出し入れをするインターネットバンキングに不安を感じる方もいるかもしれません。そんな方は、給与振り込み口座などメインバンクはそのまま活用しつつ、コンビニATMが無料で使える口座をサブとして毎月のお小遣い分だけ、あるいは緊急利用を想定し少額だけ口座入金して使ってみるのも一案です。

お住まいの地域によっては、コンビニよりスーパー内に設置されたATMをよく利用する人がいるかもしれません。イオン銀行やセブン銀行などスーパーを展開する企業とつながりの深い銀行で口座を開くことも考えてみましょう。

メインバンクをどう選ぶべきか

スマホバンキング
給与振込口座をメインバンクとして漫然と利用している方が多いのかもしれませんが、銀行によって手数料やサービスが変わりつつある今、見直したほうがいいことも。
基本的に、すぐ記帳できるようATMが近い、各種手数料が安い、住宅ローンを借り入れ中の銀行であるなど利便性や特典の大きい銀行をメインにしたほうがよいでしょう。

生活スタイルを考慮して決めるのも一案です。
たとえば、転勤が多いお仕事に就かれている方であれば、都市銀行よりは全国に支店のあるゆうちょ銀行のほうが一貫して長く利用ができてよいかもしれません。残業が多くて銀行店舗よりコンビニ利用のほうが多いという方であれば、コンビニチェーンの提携銀行をメインで使うほうが多くの特典を享受できるかもしれません。

資産運用している方であれば、ネット証券会社と連携できる銀行に口座を持つことも考えてみてはいかがでしょうか。資金移動や残高確認がしやすいので個人的におすすめです。

筆者の場合で恐縮ですが、つみたてNISA口座のある証券会社に資金移動しやすく、振込入金メールが即座に届くなどの利便性が高い住信SBIネット銀行を仕事用メイン口座として使っています。また、よく利用する商業施設がイオン系列ばかりなので、イオン銀行を生活用メイン口座として切り分けて使っています。

ただ、銀行口座を増やせば増やすほど資金管理は複雑になります。できれば、ひとり2、3金融機関ぐらいに留めておくほうが管理しやすいのではないでしょうか。

まとめ

「家や会社の近くにATMがあるから」「給与振り込みで指定された銀行だから」などわかりやすい理由で銀行口座を開設することが多数派だと思われます。また一度利用し始めたら銀行の利率や手数料などに無頓着な方も少なくないのでは?

でもこれからは、金融機関毎に違ったサービスや手数料となっていく方向にあります。お金の出入り口である銀行口座。携帯電話会社選びのように金融機関も定期的な見直しやサービス点検が必要な時代と言えるかもしれません。
ときどきでもいいので、銀行HPのニュースリリースに目を通してみましょう。

<参考サイト>
■ゆうちょ銀行>お知らせ(2021年度)>一部商品・サービスの料金新設・改定について
■りそな銀行 硬貨入金整理手数料 改定のご案内
■三菱UFJ銀行「未利用口座管理手数料(2021年7月以降に新たに普通預金口座を開設されるお客さま)」
■Sankei Biz>ビジネス>金融「銀行間送金手数料、現行半額程度に 10月1日から利用者負担軽減」(2021.3.19)
■ゆうちょ銀行>お知らせ(2021年度)>振込料金等の一部改定について
■三菱UFJ銀行「2021年10月1日(金)より振込手数料等を改定します」
■みずほ銀行>金利・手数料>振込手数料の改定について
■auじぶん銀行>お知らせ>振込手数料改定のお知らせ
■住信SBIネット銀行>プレスリリース>振込手数料改定のお知らせ
■三井住友銀行>カテゴリー検索 > お困りの際は > ATM > 振込手数料の改定内容について知りたい(2021年11月・2022年1月)
■ソニー銀行「2021年10月1日からのお振り込み手数料引き下げのお知らせ」

 

海老原 政子
海老原 政子 (「おゆみの相談室」代表)
大学卒業後、SE、インテリアコーディネーターなど仕事に明け暮れる生活から一転、出産1年後に未経験ながら国内生保に再就職。営業活動するなかでライフプランの重要性に目覚める。ファイナンシャルプランナー資格を取得後に独立。現在、働くママのキャリアチェンジ前後の家計相談や保険の見直し、住宅ローン相談を行う。マネーセミナー講師やコラム執筆実績も多数。子育て中の主婦の目線を活かした家計改善アドバイスが好評。
<保有資格>
ファイナンシャルプランナー(二級FP技能士/AFP)、住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
「エムプランニング」WEBサイト

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